日本維新の会・吉村洋文代表、参院選で「社会保険料削減」「副首都構想」を訴える──「口だけではない改革の実績」を強調

選挙

日本維新の会代表の吉村洋文氏が、参議院選挙の開始にあたり、大阪での改革実績を背景に、全国に向けて「社会保険料を下げる改革」と「副首都関西構想」の二つの大きな柱を訴えた。吉村氏は、他党の「目の前のばらまき」を批判し、日本の本質的な問題を解決するための「口だけではない改革の実績」を持つのは維新の会だけだと強調した。

大阪での「改革の実績」が維新の原点

吉村代表は、日本維新の会が「大阪関西で生まれ育ち、赤字だった大阪をなんとか立て直して」きたと、その原点を語った。難波駅前広場や梅北の再開発、そして「夢洲というエリアで万博を開催し、そして多くの人が賑わうというようなとこまでやってくるくることができた」と、具体的な成果を挙げた。これらの改革は「大阪の皆さんに支えられて何とか実現することができた」とし、大阪府民への感謝を表明した。

吉村氏は、自身が大阪府知事として「高校授業の完全無償化」を実現したことを例に挙げ、「皆さんの税金増やしてないですよ。増税してません。むしろ赤字だった大質を黒字に変えたんです。改革で財源を生み出してやったんです」と、増税せずに財源を生み出す改革の姿勢を強調した。また、大阪市の借金が5兆円から3兆円を切り、議員報酬や知事の退職金も削減した実績を示し、「僕たちはまず自分たちのことからやったんです」と、政治家自身の身を切る改革を訴えた。

「2万円のばらまき」を批判、社会保険料削減を強く訴える

吉村氏は、今回の選挙で自民党が掲げる「2万円の現金配ります」という政策に対し、「いやいや違うだろうと」と強く反論した。国民の「貴重な一票を投じる機会で2万円の現金配りますからよろしくというのは僕は違う」とし、これは「買収じゃないですか」と厳しく批判した。

維新の会が第一に掲げるのは「社会保険料を下げる改革」である。吉村氏は、給料から天引きされる社会保険料の負担が非常に大きい現状を指摘した。例えば、「所得が350万円の人。所得税は7万円ですけれども、社会保険料天引きされる社会保険料はなんと50万円です。それだけじゃありません。同じ金額を会社事業主が負担してますから、50万円負担してます。つまり350万円の年収の人というのは100万円社会保険料を負担してるんです」と具体例を挙げ、その負担が今後さらに増えることを警鐘した。

少子高齢化が進む中で、「若い世代が頑張れる。そして若い世代が頑張って高齢者の皆さんをお支えする。これが必要です。そう考えた時にこの社会保険料の負担があまりにも大きすぎるとやっぱり生活は持たないですよ」と述べ、社会保険料の負担軽減が「全世代にとっての問題」であると強調した。来年4月からの社会保険料の増額(子ども・子育て支援金のため)にも触れ、「なんで子育て財源のために社会保険料増えるんですか?医療保険増えるんですか?いざという病気になった時のために払うのが医療保険でしょ?なんで子育て財源にそこ使われるの?子育て財源ぐらい改革で生み出してやれっていうの」と、財源捻出のための改革の必要性を訴えた。

東京一極集中からの脱却と「副首都関西構想」

二つ目の柱として、吉村氏は「中央で全部決めるやり方。僕あれ反対です」と述べ、東京一極集中への疑問を呈した。この30年間日本が成長してこなかったのは、パイを増やすという視点が欠けていたためだとし、その解決策として「首都圏に全部頼るんじゃなくて、いざという時首都圏をバックアップするような、そんな経済圏。いざという時日本を引っ張るような、そんな経済圏が日本にはもう1つ必要なんです」と、副首都の必要性を訴えた。

吉村氏は、その役割を関西が担うとし、「副首都と言われるような、もう1つの中心を日本に作って、そしてまずは2つのツインエンジンで日本を引っ張っていく。その役割が僕は関西にはあると思ってます。副首都関西を作っていく。経済副首都経済圏を作っていく」と、その実現を掲げた。大阪府と大阪市が一体となって改革を進めた結果、52年ぶりに「関西の人口、社会人口が増えた」ことを実績として挙げ、「ここが強くなる。このエリアが強くなる。これを地方のレベルだけでやってきました。国においてもやっぱり改革を実際に実行してきたこの地方からやってきたこの我々が日本を引っ張って、そういった経済を作っていく」と、地方発の改革で日本全体を牽引する意欲を示した。

また、外国人観光客への消費税免税制度について、「おかしいなと思うんです。だからもうそれ免税やめたらええやんかと」と疑問を呈し、免税を廃止すれば3000億円の財源が生まれ、それが「全国の高校の授業料無償化」に必要な4000億円の大部分を賄えると指摘。「皆さんに何の負担も求めることなく」財源を生み出す方法があると主張した。

「政治家の仕事は道の無いところに道を作る」

吉村氏は、自身の政治家としての信念について、「政治家の仕事っていうのは道の無いところに道を作る。これが政治家の仕事だと思ってます。賛否あってもこれが大事だと思ったらそこをギュッと掴んで皆さんに提案をしていく。これが政治家の仕事だと思ってます」と語った。そして、「選挙前に2万円ばら撒くからよろしく。これは僕は政治家の仕事じゃないと思ってます。現役世代に負担を、そして次の子供たち孫たちにどんどん負担を貸していく。こんなのは政治じゃないですよ」と、改めて自民党の政策を批判した。

口で言うのは簡単でも実行するのは難しいんです」と述べ、維新の会が大阪で実際に改革を実行してきた実績があることを強調。全国の有権者に対し、「是非皆さんこの全国の日本維新の会の候補者皆さん後押しお支えをよろしくお願いいたします」と支持を呼びかけた。

日本維新の会代表の吉村洋文氏が参院選で訴える「社会保険料削減」と「副首都関西構想」は、日本の構造的な課題に切り込む改革路線を明確に示すものであった。はたして、大阪での実績を背景にした吉村氏の訴えは、全国の有権者に届き、維新の勢力を拡大することができるだろうか――。

 

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