チームみらい・党首、安野たかひろが語る参院選戦略──「分断を煽らない」デジタル民主主義で政治を変える

チームみらい・党首、安野たかひろが語る参院選戦略──「分断を煽らない」デジタル民主主義で政治を変える 最新ニュース
チームみらい・党首、安野たかひろが語る参院選戦略──「分断を煽らない」デジタル民主主義で政治を変える

チームみらいの安野たかひろ党首が、選挙ドットコム編集部の中山智き氏との対談で、今夏の参院選に向けた「チームみらい」の戦略と展望を語る。安野氏は、昨年都知事選で得た15万票を原動力に「自分たちがやりたいことをしっかりやっていくためには自分たちで政党を立ち上げないといけない」と新党結成の経緯を説明する。日本を「もっともっと長期的に成長し続けられる国にしていきたい」という目標を掲げ、「デジタル民主主義」と長期投資によって、国民の声が届く、未来志向の政治を実現するとしている。

「わざと」の「党首」──新党「チームみらい」が目指すもの

チームみらいの安野たかひろ党首は、自身の肩書きを「党首」とした理由について、「チーム未来っていう名前自体がちょっと政党なのかどうかわかんないじゃないですか」と説明する。あえて古めかしい名称を使うことで、「これって政党なんだなっていうことをアピールしたい」という意図があるという。

新党「チームみらい」の成り立ちについて、安野氏は昨年の都知事選で15万票を獲得したことが大きいと語る。この得票数は「過去歴史上でも、30代で最高の得票数だった」といい、自身の貢献できる点と求められている点が合致したと感じたという。その上で、「自分たちがやりたいことをしっかりやっていくためには自分たちで政党を立ち上げないといけない」という結論に至り、今年5月に新党を立ち上げたと説明した。

チームみらいが目指すのは、「日本をもっともっと長期的に成長し続けられる国にしていきたい」ことだと安野氏は強調する。日本が「徐々に徐々に悪くなり続ける」トレンドにある現状に対し、「2025年って余力がまだある」とし、「ちゃんと成長し続けられる日本に変えていくことができる」という信念を語った。そのために必要なのは、「ちゃんと長期の未来を作ることに投資していく」こと、そして「自分たちの声が届く政治っていうのに変えていかない」ことだという。特に後者については、「デジタルテクノロジーを使えば、AIもスマホもインターネットもSNSもあるので、こういったものと民主主義を組み合わせて、アップデートすることができるんじゃないか」と、「デジタル民主主義」という概念を提唱し、これを実現することで日本を再び成長軌道に乗せたいと訴えている。

「ブロードリスニング」の発明者、安野たかひろが描く永田町の未来

安野氏は、自身が都知事選に出馬して以来、政治の世界で聞かれるようになった「ブロードリスニング」という言葉について、「僕が持ち込んだと思ってます」と述べた。当時は「泡沫候補がなんか言ってるな」という横文字だったものが、「1年経った今は政治の標準的な戦略の1つになってきてる」と、その効果を実感しているという。

都知事選では当選できなかったものの、「新党を作って永田町に入っていくことで、これよりも大きな影響っていうのを既存の方々にも与えていきたい」と意欲を見せる。この関係は「ウィンウィンの関係」だとし、自身が持つ知見を既存の政治家と協力しながら、より良い政治を目指したいという。

チームみらいという党名にも込めた思いとして、「未来のことを考えることが今重要」だと安野氏は語る。既存の政治が「今をどう凌ぐか、今をどう再分配していくかことに集中しがち」であると指摘し、チームみらいは「そもそも大きくしていくことができなければ、日本やばいことになっていく」という問題意識から、「パイを広げるを議論していこう、提案していこう」と訴える。

「泥臭い系スマート」な候補者たち──リアルとデジタルの融合戦略

安野氏は、チームみらいの候補者選定のポイントとして、「専門性があって、それぞれの分野で活躍されている方」であることに加え、「気合入ってるかどうかっていう」点を重視していると明かした。「泥臭いことまでできて、ちゃんと手を自分たちで動かせるのかどうか」を見ているといい、スマートなイメージとは裏腹に「泥臭い系の人かどうか」を選定基準としていると語る。安野氏自身も、「北海道から福岡までいろんなとこ巡ってイベントやらせていただきました」と、ネットだけでなくオフラインでの活動にも力を入れていることを強調する。

選挙戦略においては、「オフラインだけ見ていてもリーチできない方々いるし、オンラインだけ見てても、なんかあの実際の現実乖離していくってことが両方起きる」ため、「ハイブリッドが大事」だと考えているという。「この2つをちゃんと両方とも全力で回す」ことで、幅広い層にリーチし、多様な意見を吸収していくことを目指している。

安野氏は、チームみらいの目標として、最低限「2%ライン」、すなわち「120万票を獲得できなければ国政政党になれない」という国政政党要件のクリアを掲げ、ストレッチゴールとして「2議席以上」の獲得を目指す。過去の新しい政党が多額の資金を投じてきたのに対し、チームみらいは「資金効率よくやらなくちゃいけない」ため、「我々が重要だと考えている地域になるべく人を擁立していく」戦略をとっていると説明した。

「分断を煽らない」政治と「立法府のデジタル化」で問われる日本の未来

今回の参院選が国民に何を問う選挙となるかという問いに対し、安野氏は「2大政党制にしたいのか多党制にしたいのか」が問われていると分析する。日本はこれまで自民党の安定政権が続いてきたが、「その構造が崩れつつある中でどっちを目指していくんですか」と、国民の選択が迫られているという。安野氏は個人的には、「日本の場合は多党制っていう群雄割拠な方がいいんじゃないか」と考えている。アメリカの2大政党制で感じた「違和感」を例に挙げ、「全ての主張、例えば移民の問題とか、あるいはインフレの問題とか…片方に決めた瞬間に全部の主張が決まる」現状に対し、「もっと我々の選択肢って多いはずなのにどっちですかっていうことしか決められない」状況だと指摘した。

多党制がより国民の多様な考えを反映できるとし、そのためには「国会の永田町の中でちゃんと話し合えるのか」が重要だという。つまり「永田町の情報処理能力が求められてる」のだ。安野氏は、「永田町に実際に自分たちみたいな人たちが入っていて、この中で何が起きてるのかっていうのを見える化していこう」と考えている。具体的には、デジタルツールの活用や、将来的には「AIを使う余地」もあるとし、Googleの「ハーバーマスマシン」の論文を例に挙げ、「人間同士の合意形成をAIが仲介する」可能性を示唆した。

チームみらいが最も国民に訴えたい政策の一つは、「立法府のデジタル化」であり、これによって「政治と金の問題の解決」を図りたいとしている。従来のルール作りによるアプローチではなく、「テクノロジーをしっかり使うこと」で解決を目指す。具体的には、民間企業で普及している「クラウド会計サービス」のような仕組みを政治家にも導入し、「ダッシュボード部分を国民に公開することができれば嘘をつけない」状態になると説明する。これを実現することで、「今までの政治と金の問題」を根本的に解決し、国民からの信頼回復につながると安野氏は訴えている。

チームみらいの安野たかひろ党首が掲げる「デジタル民主主義」と「立法府のデジタル化」は、日本の政治に新たな風を吹き込む可能性を秘めている。既存の政治体制では解決しきれなかった「政治と金の問題」にテクノロジーで切り込み、国民の多様な意見が反映される「多党制」の実現を目指す。はたして、安野氏の描く「分断を煽らないタイプの熱狂」が、国民の共感を呼び、日本の政治を未来へと導くことができるだろうか。

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