山尾志桜里、中道政治への再挑戦──「皇室と憲法」を掲げ参院選出馬へ

山尾志桜里、中道政治への再挑戦──「皇室と憲法」を掲げ参院選出馬へ 最新ニュース
山尾志桜里、中道政治への再挑戦──「皇室と憲法」を掲げ参院選出馬へ

元国会議員の山尾志桜里氏が2025年7月1日、参議院選挙の東京選挙区から無所属で立候補することを表明した会見の詳細をまとめた。会見では、無所属での出馬理由、主要政策である「皇室と憲法」について、そして今後の選挙戦略と政治家としての姿勢が語られた。

中道政治への揺るぎない決意

一言で言えばやはり中道政治を諦められない」。山尾氏は、無所属での出馬の最大の理由をこう語る。左右の分断が進む今の日本において、「中道の政治で日本の自立と国民の尊厳、これをしっかり両立させるそんな政治をもう一度試みたい」という強い思いがある。安全保障と人権保障を「2社択一としては捉えずに、もう一度国運営の両輪として捉えることこれがとても大事だ」と強調した。

国民民主党からの公認取消し後も、「やはり中道政治は諦められないこの決意が揺るぎませんでした」と、自身の信念が揺るがなかったことを明かす。無所属という立場だからこそ、「政治家としての根本的な国家観について、より自由に、自由度高く訴えていくことができる」と考えているという。

「皇室と憲法」を国民的議論へ

今回の選挙で山尾氏が特に訴えたいテーマは「皇室と憲法」である。戦後80年を経て、「今日本には自ら国の形を自分で定義する国家の自立が求められる」とし、その土台を皇室と憲法が担うと認識している。既存政党が党内や支援者の分断を恐れて議論を避ける傾向にあるこのテーマを、「私今回無所属という立場だからこそ国民の皆様に提示をしてこれからの国民的議論に奉止させていただきます」と語った。

第一の提起:国民の支持に支えられた安定的な皇位継承のための「女性天皇」の容認

現行制度が男系男子に限定されているため、皇位継承は「極めて不安定な危機的状況」にあると指摘する。次世代の継承者が一人である現状に警鐘を鳴らし、「国民は約7割がこの皇位継承に危機感あるいは不安を持ち、そして約7割から9割が安定的に女性天皇を支持しています」と国民の総意に基づく継承の重要性を強調する。

国民の指示に基づいた女性天皇の要認を提起します」とし、「母方の血筋を継ぐ女系天皇も含めた検討を進めること」も提起した。旧宮家系男子の皇族復帰については、「そもそも実現可能性に乏しく、世襲による差別として違憲の疑いも提起されています」と懸念を示した。皇室に関する議論は「閉鎖的な議論であってはならない」とし、国民に開かれた穏やかな議論を求めている。

第二の提起:国民の意思に支えられた強い安全保障のための「憲法九条2項」の改正

戦後80年、「佐と右はま いわゆる議論のための議論と言いますかえイデオロギー論争を続けて」きた結果、「軍事の正規化と国民の無関心」が広がったと批判した。「唯一の同盟国であるアメリカが、安全保障にある意味関心を失っているようにも見える今、時刻を守って戦争を抑止するための憲法条文をしっかり国民的議論にふし て複雑なガラス在庫から明解な鉄骨仕様に九条を組み直すべきだ」と主張する。

具体的には、戦争放棄を定めた1項は維持しつつ、戦力不保持と交戦権否認を定めた2項は改正し、「自衛権の存在と統制を定める選択肢を提起します」と述べた。日本の自衛隊は「国際法上も戦力であって、自衛権の行使は厚政権の行使にほならないということを正面から認めるべきだ」と強調し、憲法による手続き統制の重要性を訴えた。「軍事力の存在を直視しないままでは自国も守れず、統制をかけることもできません。見えないふりをし続けることが最も危険だ」と危機感を示した。

重点政策:国民のための4つの課題

「皇室と憲法」の2つの提起に加え、議員時代に積み残した重要課題として以下の4つの政策に焦点を当てて取り組むという。

  1. 自分の国は自分で守る(対中政策、国土・情報保護)
    IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)日本事務局長としての経験を活かし、「正しい法律戦を中国に対して積極的に展開すること」が必要だと主張。外国人による土地取得規制やスパイ行為防止法の制定を提案する。
  2. 子供たちの尊厳を支える(子育て、児童虐待、子どもが巻き込まれる捜査、主権者教育)
    「保育園落ちた」ブログを国会で取り上げた経験に触れつつ、保育の量だけでなく質の向上、待機学童問題、児童虐待問題に取り組むことを表明。犯罪捜査に巻き込まれた子供たちの心身のケア(司法面接の全面展開)の推進、そして「学校内民主主義法案」の成立を目指す。
  3. 真犯人を逃さず、冤罪を撲滅する(刑事司法改革)
    元検事、弁護士としての経験から、治安の確保と冤罪の撲滅は「両立できる。むしろ両立しなければならない」と強調。特殊詐欺などの凶悪犯罪の厳罰化と同時に、取り調べの全面録音・録画、弁護人立会権の保障、再審における証拠開示といった刑事手続きの制度的公正の実現を訴えた。
  4. 人権と司法で世界の安定に貢献する(人権外交、司法外交)
    力の支配に傾く世界で、法の支配の抑止がなくなれば主権を維持できる国はごくわずか」であると述べ、人権外交と司法外交の必要性を強調する。「国際社会は安定した経済力と防衛力に裏付けられた日本の人権外交と司法外交の展開を期待している」との認識を示し、ジェノサイド条約への加盟、国際刑法の国内法整備、国際刑事裁判所の日本拠点設置への協力、人権デューデリジェンスのガイドライン法制化に取り組むことを表明した。

開かれた対話と「マーケティングしない選挙」

選挙後の活動として、当選した場合まず「国民の皆様と憲法、そして皇室についての開かれたミーティングを重ねていきたい」と述べた。自身の提案はあくまで叩き台であり、国民の意見に耳を傾ける場を速やかに開始したいという。会派への所属は「全くの白紙」とし、自身の「中道政治」の実現可能性を基準に判断するとした。

国民民主党への言及については、「リベンジという考えは全くありません一切ありません」と断言し、政策議論を通じて有権者の判断に委ねたいとした。選挙戦の戦略として、「マーケティングをしない選挙というのを挑戦したい」と明言し、「左右の政策パッケージを破って本当にこの国の日本の未来を一緒に考えませんか」と問いかける選挙にしたいと語った。記者会見の姿勢についても、「逃げずに、こういった会見でしっかりと、あの、質疑応答を受けるというスタイル」を貫くとし、過去の反省を踏まえ、質問を一切受けないような会見はしたくないと語った。

山尾志桜里氏は、今回の参議院選挙を「中道政治」実現への挑戦と位置付けている。無所属の立場を活かし、既存政党が避けてきた「皇室と憲法」という国家の根幹に関わる重要テーマについて、国民的議論を喚起することを強く志向する。自身の政治家としてのスタイルを貫き、国民と対話する開かれた選挙戦を目指す姿勢が示された。はたして山尾氏の掲げる「中道政治」は、有権者の心を掴むことができるだろうか。

[引用元]山尾志桜里氏が再び会見 参院選に無所属で立候補へ(2025年7月1日)

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