れいわ新選組代表の山本太郎氏が、参議院選挙の初日に東京で第一声を上げた。「あなたの知っている政治家はあなたの痛みに寄り添える人ですか。そもそも痛みとは何かを分かってる人たちですか」と聴衆に問いかけ、格差や貧困の現状を理解しない政治家を批判した。山本氏は、国民の6割が生活苦を訴える日本の現状を変えるべく、「今すぐ消費税廃止」を主要政策に掲げ、「生きてるだけで価値がある社会」の実現を強く訴えた。
国民の6割が「生活苦しい」──30年不況とコロナ、そして物価高
山本氏は、現在の日本の状況を「国民の6割が生活苦しい」と表現し、その原因が「物価高だけではない」と指摘した。「30年不況これ日本だけなのだ」とし、先進国で唯一長期不況が続く日本にコロナ禍が追い打ちをかけ、さらに物価高が重なったことで、国民は「溺れているのと一緒」だと窮状を訴えた。
現行の政治については、「無策」であると厳しく批判。「物価なんとかします。これしか言わない」政治ではどうにもならないとし、例えば「2万円差し上げます」という物価対策や、「食料品のみ1年間だけ消費税減税、月に直せば5300円支援」といった政策では、「これポッチでどうにかできる状況ではない」と断じた。
「消費税廃止」は国民を救う第一歩
山本氏がこの状況を打破する最も有効な策として掲げるのが「今すぐ消費税廃止」だ。消費税を廃止すれば、「あなたの使えるお金は平均的な世帯で1年間30万円だ。月に直せば2万5000円あなたの生活を助けることになる」と、具体的な恩恵を強調した。
消費税が中小零細企業にもたらす苦痛についても言及。「税金が払えなくて申し訳ない。税の滞納。税の滞納のうち54.8%を占めるのが消費税の滞納。つまりは払えていないのは中小零細だ」と述べ、2024年には倒産件数が1万件を超え、農家、酪農、病院、診療所、老人ホーム、訪問介護、歯医者など、「ありとあらゆる業種で過去最多の倒産件数をマークしている」現状を明らかにした。
消費税廃止に対して「現実的ではない」という意見があることについて、山本氏は「消費税とは私の社会保障を支えるものだ。だから必要なんだって皆さん騙されてませんか」と疑問を投げかけた。テレビや新聞が「消費税の本質」を伝えないのは、軽減税率の対象であり、「雨玉をもらってる」からだと主張。実際には、徴収された消費税の約61%が「大企業減税の穴埋めに使われていると言える」とし、「消費税が上がるに法人税は下げられ続けた30年」が、国民一人ひとりの生活を苦しめてきたと訴えた。
労働環境の破壊と「ジャパンアズナンバー1」の再興
山本氏は、消費税による大企業減税が引き起こしたもう一つの問題として「働く人々の環境破壊」を挙げた。非正規労働者を働く人々の4割にまで増やしたことは、「いつでも首が切れる。給料が安い。忙しい時だけ働いてくれ。その時は俺たちと関係を持ちたくない。そのような資本家の身勝手な振る舞いをそのままルール化した」結果だと述べた。
さらに、非正規労働者の増加の先には「低賃金外国人労働者の流入」があり、それによって「労働者は置き換えが始まっている」とし、人手不足の産業でも賃金が上がらない状況が生まれていると指摘。「あまりにもおかしい政治じゃないですか。一体どちらを向いているんだと。ごめんなさい。あなたのことは目の中に全く入ってないのが今の政治なのだ」と、国民を無視した政治姿勢を強く批判した。
日本の経済を立て直すためには、「ジャパンアズナンバー1を取り戻す」こと、すなわち「日本の物づくり大国の再興」が必要だと訴えた。その手本としてアメリカの「バイアメリカン政策」を挙げ、国が国内製品を買い上げることで「年間100万人の新規雇用が生まれ、そして安定した賃金のもとにその雇用が拡大していった」実績を示した。国が国内産業を支えることで、「新たなサービスコンテンツが増えていく」とし、この30年間の不況を打破するためには、「これを徹底的にやらずして一体何をやるんですか」と問いかけた。
「生きてるだけで価値がある社会」へ──あなたこそが最高権力者
最後に山本氏は、れいわ新選組が目指す究極のビジョンとして「生きてるだけで価値がある社会」を掲げた。「そんな甘ったれたこと。そんなお花畑みたいなこと無理だって思います」という声があることを承知の上で、「あまりにもひどい社会の中で1人1人が毒されてる証拠だ」と反論した。
現在の社会が「生産性で物が語られる」ことで、「何かを生み出さなきゃ。何かを役に立っていなきゃ。あなたが存在することは意味がないと」される地獄のような状況をこれ以上広げたくないとした。年間2〜3万人もの人が自ら命を絶ち、子供の自死が過去最高である現状は、「大人にとって地獄の社会は子供にとっても地獄」であり、「この世が地獄ということを体現させられるこの国。日本。これを変えていく力を持っているのはあなたなのだ」と、国民一人ひとりが「この国のオーナー。最高権力者」であると強調した。そして、総理大臣は「雇われ店長に過ぎない」とし、国民の力を結集することでしか国は変えられないと訴え、比例代表での「れいわ」への投票を呼びかけた。
れいわ新選組代表の山本太郎氏が参院選で掲げる「消費税廃止」は、日本の30年不況と現在の国民の生活苦の根源に切り込む大胆な政策である。はたして、山本氏の訴えは有権者に響き、「生きてるだけで価値がある社会」というビジョンは、日本の未来を照らす光となるだろうか――。
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