経済評論家の渡邉哲也氏が、参院選における自民党への「逆風」について解説し、その要因と今後の政局への影響を分析する。特に、現政権の外交姿勢や相次ぐ失言問題に言及し、自民党が「何をやっても文句言われる」状態だと指摘。しかし、その一方で、参政党の躍進が「自民党内の保守系の力も強くなる」という「逆ぶれ現象」につながる可能性も示唆し、悲観的な状況の中にも「希望をやっぱり見つけないとね」と語る。
「何をやっても文句言われる」自民党への逆風
経済評論家の渡邉哲也氏は、現在の自民党が「逆風」にさらされており、「何をやっても文句言われるという状態」だと指摘する。その象徴的な出来事として、「現役の総理大臣が地元の候補から応援に来ないで欲しいって」言われるほど、支持基盤が揺らいでいることを挙げた。
さらに、米国との貿易交渉において、日本が「相手にしてもらえなかったことに対して逆恨みをし」たとし、これが「事実上の日米安保条約の終結言」になりかねない発言だと警鐘を鳴らした。この問題は、米国の日本大使を通じて「アメリカ当局に伝わっている」との情報もあり、「もしこれで関税が上がるということになれば完全に石破総理の責任」だと断言する。
外交交渉の失敗と相次ぐ失言問題
渡邉氏は、麻生太郎元大臣が米国との貿易交渉(TPPなど)に精通しているにもかかわらず、現政権の交渉姿勢に厳しい苦言を呈していることに注目する。麻生氏は、米国の関税問題において、「トランプだからできた感を相手に与えなくてはいけない」と述べたという。渡邉氏はこれを「バカでも分かる外交交渉っていう感じで上手にまとめてますよね」と評価し、交渉の原則が守られていない現状を批判した。
さらに、和歌山での鶴保庸介議員による「運のいいことに能登で地震があった」という発言は、「災害のことに関して運っていう言葉はどう考えても出ないですよね」と厳しく批判した。東日本大震災時の類似発言にも触れ、「その言葉の軽さというか、その感覚っていうものが、なんでしかも応援行った先で言うんだろうか」と、政治家の倫理観の欠如を問題視した。このような発言は、応援される側の候補者にとっても「いい迷惑だ」と、選挙戦への悪影響を強調した。
新潟県上越市の市長が兵庫県三田市の米を「まずい」と公言した問題も取り上げ、「本当にけしからん」と憤りをあらわにした。政治家や首長による相次ぐ失言に対し、「この認識の甘さ、思慮の浅さというか」が、国民の「不信感というか、諦めというか、怒りというのを持たれる」ことにつながると警鐘を鳴らした。
参政党の躍進と自民党保守派の「逆ぐれ現象」
渡邉氏は、参政党が今回「急進をしている」ことについて、「歴史的な必然ですよねある意味ね」と分析した。安倍晋三元総理の暗殺後、「自民党が何をやったか」を考えると、日本が「真の独立国家に向かっていこうという歩みを全部打ち消すようなことばっかりやってる」と批判し、特に「岸田政権特にひどくそれでとどめをさしたのは石破政権」だと断じた。
自民党内では、石破氏を早く下ろしたいという共通認識があるものの、参議院選挙が始まっているため「下ろしようがない」状況だという。しかし、選挙後には石破氏が「どういう形で責任を取らさ れるのか」が問われるとし、もし責任を取らない場合は、両院議員総会での「辞職勧告」や「リコール」といった「最悪の手段」も取りうるという党内の情勢を明かした。
参政党の躍進は、自民党の保守派にとってプラスに作用する可能性を指摘する。これまでの「アンチ自民党の受け皿はリベラル左派だった」が、今回は「自民党より右」の政党に票が集まっているとし、「全体的な右傾化が起こる」可能性があると述べた。
自民党が過半数を割った場合、参政党や日本保守党、あるいは維新の会の保守系勢力との連携が不可避となるだろうと予測する。これにより、「政策的には今よりはまともな方向に打ち出していけるという可能性は出てくる」とし、「これまでのように左に完全に振れる可能性はなくなった」ことは「ある意味いい」と評価した。
また、立憲民主党が「反自民の受け皿になる可能性が限りなく低くなった」とし、万が一自民党が過半数を取れなかったとしても、「悪夢の民主党政権のようなことは起きないだろう」と見ている。
参政党が連立を組んだ場合、プロの政治家が少ないため「完全に抱き込まれる」可能性も指摘するが、全体としては「新しいガラポンが生まれる可能性はある」と述べ、共産党から維新までの連立といった「ありえない」状況は避けられるとの見方を示した。
最終的に、参政党の躍進が「選挙結果として出たらですよ」、一気に「自民党内の保守系の力も強くなる」と強調した。「安倍政権の時の主流派が今反主流派で完全に党内野党で」いる状況だが、彼らが「再び力を持つ可能性というのは逆ブレ現象としてありうる」と述べ、今回の参議院選挙が必ずしも悪い方向ばかりではないと締めくくった。
経済評論家の渡邉哲也氏が描く参院選の構図は、現政権への逆風と、保守勢力の再編という二つの大きな流れが交錯する複雑なものだ。与党の度重なる失態や外交交渉の失敗が国民の不満を増幅させている一方で、参政党の躍進は、自民党内の保守派に新たな活力を与える「逆ブレ現象」を引き起こすかもしれない。はたして、この選挙結果が、日本の政治地図をどのように塗り替えるのだろうか――。そして、国民が本当に望む「真の独立国家」への歩みを、誰が再び始めることができるのだろうか。
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