評論家・伊藤貫が語る「トランプ革命とグローバリズムの終焉」:ディープステートとの戦い

評論家・伊藤貫が語る「トランプ革命とグローバリズムの終焉」:ディープステートとの戦い 国際政治
評論家・伊藤貫が語る「トランプ革命とグローバリズムの終焉」:ディープステートとの戦い

評論家の伊藤貫氏が、「トランプ革命とグローバリズムの終焉」をテーマに、国際政治の深層に迫る。1991年のソ連崩壊後にアメリカが目指した一極支配の構図が、いかにして「ネオコロニアリズム(新植民地主義)」へと変質し、アメリカ国内の労働者をも搾取するに至ったのか。その背景にあるディープステート/ネオコンの存在と影響力、そしてトランプ大統領の立ち位置と限界について、独自の視点から解説する。

グローバリズムの始まりは「新植民地主義」だった

伊藤貫氏は、グローバリズムの始まりを「1992年2月」と特定している。これは、1991年12月のソビエト連邦崩壊を受け、アメリカが「我々だけが世界中を支配する時代が来た」と認識し、世界が「ユニポーラ(一極)」になると考えたことに起因すると述べる。

この考えに基づき、1992年3月に暴露された国防総省の機密文書「ディフェンス・プランニング・ガイダンス」には、アメリカの「現在の仮想的国は、ロシア、チャイナ、ジャーマニー、ジャパン」と明記されており、これらの国々が「リージョナルリーダーシップさえ取らせない」政策が採られたと指摘する。

そして、このグローバリズムの本質を「ネオコロニアリズム(新植民地主義)」と断じる。「ネオコロニアリズムなんですよ本当はね。アメリカ以外の国を全部植民地の労働者みたいにしてアメリカの株主と金融業者が儲かる」と伊藤氏は語る。

さらに、この新植民地主義の対象が、他国だけでなく「アメリカの労働者にもしちゃった」と述べ、クリントン政権時代から貧富の差が拡大し、庶民の生活水準が低下したことが、2016年のトランプ大統領の当選に繋がったと分析する。

ロシア略奪の衝撃とディープステートの暗躍

クリントン政権初期のロシア政策について、伊藤氏は元CIAロシア担当官のフリッツ・エアマース氏の証言を引用し、衝撃的な事実を明らかにする。「アメリカがロシアの経済改革を助けてあげるんだというポーズを取りながら、実際にやってたことはロシア資源の略奪であると。でこの略奪のせいで2000億ドルから5000億ものお金がイスラエルとかスイスでマネーロンダリングされた後、アメリカに流れ込んだと」。

この資金は「アメリカの金融業者不動産業者」だけでなく、「アメリカの民主共和両党の政治家たち」や「アメリカのマスコミに入っていった」と述べ、広範な不正の存在を指摘する。また、当時のクリントン政権の財務長官が元ゴールドマンサックス会長のルービンであったことを挙げ、政策が金融業界に都合の良いようにアレンジされた可能性を示唆した。

CIA長官を務めたジェームズ・ウールジー氏も1999年に「クリントン政権の対ロ政策は犯罪だと知っていたと」と証言したと述べられており、アメリカ政府内部にもこの略奪行為を問題視するキャリア官僚が存在したにもかかわらず、その声が握り潰されていた状況を明らかにした。

ネオコンとイスラエルロビー:アメリカを操る影の勢力

伊藤氏は、アメリカの外交・戦争政策を動かす「ディープステート」の中核として、「ネオコンとイスラエルロビー」の存在を強調する。「アメリカの戦争政策を実際にやっぱり動かしてんのはネオコンとイスラエルロビーなんですね。でネオコンとイスラエルロビーは下の方でくっついてまして」。

ネオコンは「1930年のニューヨークシティで出てきた集団」で、「ほとんど全てがユダヤ人でしかもトロツキスト」であると説明する。彼らは1950年代から民主党に入り込み、外交政策を操り、カーター政権との対立を経て共和党へと移り、レーガン政権からブッシュ(息子)政権まで影響力を持ち続けたと解説した。2003年のイラク戦争も「ネオコンが全部シナリオを書いて実行した戦争」であると断言する。

トランプが戦争批判を展開したことで、ネオコン勢力は再び民主党へと回帰したとし、「民主党も共和党もイスラエルロビーとネオコンに都合のいいように利用されてるだけ」であり、彼らには政党への忠誠心はなく、「アメリカという国家を使って自分たちの利益を追求してる」と結論付ける。ウクライナ戦争も「2014年のクーデタやったのはネオコンです」と述べ、停戦が進まない背景にも彼らの影響があると指摘した。

トランプのジレンマと中東情勢の裏側

トランプはグローバリズムや戦争に批判的な姿勢を見せる一方で、イスラエルロビーやネオコンの圧力に屈する場面がある点が強調される。「ヒラリーとかバイデンよりはトランプの方がまだましだという立場なんですけれども、トランプを信用してるかってそうでもないんです」。

イランとの核合意に関するトランプの行動は、このジレンマを象徴する。オバマ政権下の合意を破棄した後、一度はそれに似た合意を復活させようと交渉を開始したにもかかわらず、突然「イランの濃縮は一切許さないと」と強硬な要求を突きつけ、最終的にイランの軍幹部を狙った攻撃を行ったという。

この「騙し打ち」のような攻撃は、「トランプとネタニヤフが相談して最初から騙すつもりで」計画された可能性が高いと伊藤氏は示唆する。また、尊敬する大学の宮山氏の見解として、「トランプはイスラエルロビーとネオコンに追い詰められて屈服したんだろうと」し、「本音ではトランプはやりたくなかったはずだと」いう分析を紹介する。

伊藤貫氏の国際政治に関する詳細な洞察は、グローバリズムの歴史的起源、その「新植民地主義」としての実態、そしてアメリカの深層に存在するネオコンやイスラエルロビーの強力な影響力について、改めて考えさせるものだ。はたして、私たちはこの複雑な国際情勢の真実をどこまで見抜くことができるだろうか――。真の「トランプ革命」が実現する日は訪れるのだろうか。

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