日本共産党党首の田村智子氏が、参議院選挙の開始にあたり、自民党政治の継続が「私たちの暮らしをダメにしてしまうということを確信いたしました」と述べ、その転換を強く訴えた。物価高騰への無為無策、アメリカ追従の軍拡路線、裏金問題への無反省を自民党の失政として挙げ、日本共産党が「自民党・公明党を少数に追い込み、自民党政治を終わらせて新しい政治への希望を開く」決意で選挙を戦い抜くことを表明した。
「税金を使った選挙買収」と批判、消費税減税を主張
田村氏は、自民党の物価高騰対策について「無為無策」だと厳しく批判した。特に、石破首相が消費税減税を「やらないの一点張り」であり、森山幹事長が「消費税を守り抜く」と発言したことに対し、「守るのは暮らしではないのかと言いたい」と疑問を呈した。
自民党が打ち出した「1人2万円の給付」については、「一度評判が悪くて取り下げたものをまた持ち出す一体何度選挙になったら1回国旗の現金給付を打ち出すんでしょうか」と皮肉り、「これはもう税金を使った選挙買収そのものではありませんか」と強く非難した。
これに対し日本共産党は、「消費税の廃止を目指し緊急に5%への減税を掲げている」と述べ、これが「一番物価高騰対策に有効な政策ではないのか」と主張した。財源については、「儲かっている大企業と富裕層に応分を」と提案し、石破首相に質問した際には「一瞬言葉に詰まりました」と、自民党が大企業に税負担を求められない現状を指摘した。
大企業内部留保への課税と最低賃金引き上げで「政治の責任で賃上げ」
田村氏は、自民党が具体的な賃上げ策を示していないと指摘し、「政治の責任で物価高騰を上回る賃上げ」を実現すると訴えた。その具体策として、日本共産党は「大企業に539兆円も溜め込まれている内部留保」に着目。アベノミクス以降で増えた分に期限を区切って一部課税し、「中小企業への10兆円の支援で中小企業が安心して賃上げできるように」することを提案した。
さらに、「最低賃金1500円を直ちに1700円を目指そう」と掲げ、すでに岩手、群馬、徳島、奈良、茨城の各県が独自に中小企業賃上げ支援に踏み出していることを挙げ、「国こそやるべきだ」と強調した。
医療・介護の崩壊危機を食い止める
医療と介護の分野では、「病院団体がこのままではある日突然病院がなくなりますとこう訴えている」現状に強い危機感を示した。診療報酬の削減が原因で「賃上げもできない医療が経営できない、まさにいつ病院が潰れてもおかしくないという状況」が起きていると指摘し、「直ちに国の予算医療機関に対して5000億円投入をすべきだ」と求めた。
介護についても、「ヘルパーさんたちの給料を上げなきゃ人手不足が止まらない」とし、訪問介護の基本報酬を削減した自民党・公明党の政治を「怒りを持って告発しなければなりません」と非難した。日本共産党は「緊急に削った分を元に戻す」とともに、介護保険の国負担割合を「今より10%引き上げて、介護で働く皆さんの給料を大幅に引き上げていく」道を示した。
さらに、自民・公明・維新が打ち出した「4兆円の医療削減」や「11万床の病院のベッドの削減」に対し、「こんなことで病院を痛めつけたら救急医療が潰れます、産科がなくなります、高齢者だけじゃない、現役世代に激痛が襲いかかってくる」と警鐘を鳴らした。特に、病院でもらえる薬をドラッグストアで買わせる「OTC類似薬外し」についても、「命をこれほど粗末にする政治許すわけにはいかない」と強く反対した。
平和外交と「アメリカ言いなり」からの脱却
外交・安保政策では、「トランプ政権のもとでアメリカ言いなりでいいのか、これを選挙の大争点にしていこうではありませんか」と呼びかけた。トランプ大統領が「パレスチナへのジェノサイド、イランへの先制攻撃を行うイスラエルを擁護し続けている」ことや、「自らイランを一方的に攻撃することまでした」ことに対し、「国連検証も国際法もお構いなしの暴走を続けている」と批判した。
そして、そのアメリカが日本に「軍事費GDP比3.5%以上に増やせと要求」しており、これは「20兆円以上もの大軍拡」であると指摘。すでに軍事費が教育予算の2倍であり、今年度予算で軍事費だけが異常な伸びを示している一方で、「暮らしの予算が現に押しつされている」と述べた。石破首相が「防衛予算の増額は当然だ」と答えたことに対し、田村氏は「首相は暮らしの困難をあまりに甘く見ている」と反論した。
日本共産党は「軍事対軍事ではない、ミサイル対ミサイルではない」とし、「東アジアに平和を作る、平和外交」を主張した。中国を訪問し、「日本と中国は互いに脅威とならない、この合意があるではないか、この合意に基づく行動を取るべきだ」と発言したことを紹介し、台湾問題についても「武力で台湾の人たちの民意を押し付けるこんなことはやってはいけない、同時に第三国が武力介入してもならない、戦争を起こしてはだめなんだときっぱり中国にものを言った」と述べた。
日本共産党の田村智子党首は、参院選において、自公政治の転換を求める立場から、消費税減税、大企業内部留保への課税による賃上げ、医療・介護の再生、そしてアメリカ追従からの脱却と平和外交の推進を主要な争点として掲げた。はたして、これらの訴えは国民に届き、参議院で自公を少数に追い込むことができるだろうか――。
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