元航空幕僚長の田母神俊雄氏が、参政党の神谷宗幣氏との対談で、大東亜戦争に対する自身の歴史認識と、戦後の日本の歴史教育や政治が抱える問題点について語る。田母神氏は、大東亜戦争を「白人国家の植民地支配を粉砕する人類にとって聖なる戦い」と位置づけ、その結果として「アジアやアフリカで次々に独立していった」ことを強調する。また、日本が真珠湾攻撃に「誘導された戦争だった」という見方を示し、戦後の「アメリカ発の歴史観」によって日本の歴史が歪められていると強く批判する。参政党が「日本の政局の大きな転換点になる可能性」を秘めているとし、その躍進に期待を寄せている。
「日本の政局の大きな転換点」──参政党への期待と参院選の意義
元航空幕僚長の田母神俊雄氏が、参政党の神谷宗幣氏との対談に応じ、今回の参議院選挙が「日本の政局の大きな転換点になる可能性」を秘めていると語った。これまで認知度が低かった参政党が、ネットでの露出増加により「国民が気がつき始めてんじゃないかな」と、その理念が浸透しつつあることに手応えを感じているという。田母神氏は、今回の都知事選と参院選を通じて「参政党の勢力が伸びてですね」、「参政党が中核となる保守の政党が将来できるような格好に一歩踏み出すことになるんじゃないか」と、参政党の躍進に大きな期待を寄せた。
大東亜戦争は「聖戦」であった──白人国家の植民地支配とアジア解放
田母神氏は、自身が航空幕僚長を罷免されるきっかけとなった論文について触れ、その内容が「本当に馬鹿げてる」と語った。氏の論文は、日本の第二次世界大戦までの歴史、特に大東亜戦争の真実を訴えるものだ。
田母神氏は、15世紀以降「白人国家が世界中を植民地にしようとして有色人の国を荒らし回った」と指摘する。第二次世界大戦開戦前、アジアで独立国は日本だけであり、日本が「白人国家の圧力に屈して植民地になってしまっていれば」、「今頃日本人は植民地で生活していた可能性が高い」と主張した。
しかし、「日本が立ち上がって戦った」結果、世界中で「アジアやアフリカで次々に独立していった」と強調し、「それは日本が戦った結果だと思うんですよ」と述べる。タイのクリット・プラモート元首相が「日本のおかげで独立をできた」、「我々が今こうして白人国家と対等がな口が聞けるのは一体誰のおかげであるのか」と語った言葉を引用し、日本の果たした役割を強調した。このことから、田母神氏は「大東亜戦争っていうのは本当聖戦であったと思う」と語った。
アメリカによる「誘導」と中国への「侵略」否定
田母神氏は、日本の開戦経緯についても独自の視点を示す。アメリカが「日本に何かやらせて」、「真珠湾攻撃に誘導された戦争だったということ」だと指摘し、アメリカが意図的に日本を戦争に誘導した側面があったと主張する。特に、「海軍が非常に立派な軍で陸軍は駄目だったということは嘘」であり、「海軍が間違った判断をして真珠湾をやってしまった」ことが、日本の当初計画にない戦いを引き起こしたと述べた。
また、中国への「侵略」という認識に対しては、「当時のアジアに国はあったのかと。植民地しかないですよと」と問いかけ、日本軍は白人の植民地になっていた地域を「解放していった側面もある」と主張した。当時の中国は「国家ないですよね。軍閥が乱立しただけ」であり、日本は「軍のテロに対して」防衛ラインを伸ばしたに過ぎないとし、「相手が嫌がってるのに日本が軍を進めたということなんか1回もない」と、一方的な侵略ではなかったと語った。
歪められた戦後史観と自衛隊教育への影響
戦後の日本の歴史認識が「全く嘘」だと田母神氏は断言する。「日本が真珠湾攻撃をしたから戦争になったんだ」という教育はGHQによる「アメリカの歴史観」であり、「日本が侵略戦争したから戦争になったと思い込んでる人は多い」と指摘した。
田母神氏は、自身が統合幕僚学校長時代に「第二次大戦までの歴史をちゃんと理解しようという目的で講座を作った」と述べた。しかし、自身が論文問題で罷免されたことにより、「この講座を自民党の防衛大臣が廃止してしまった」ことを「本当残念です」と遺憾の意を示した。
また、「日本軍が沖縄の人を殺したんだとか言ってるのは全くおかしい」と、自虐史観が国防意識に悪影響を与えることを懸念し、「自分たちの国を守ろうとした方々を悪く言うようなことやってたら自衛官なんかやってられない」と語った。
戦後政治・メディアへの批判と「US AID」の介入
田母神氏は、戦後の日本の政治やメディアが意図的に日本の弱体化を促す勢力に影響されてきたと見ている。トランプ大統領が言及したUS AIDの活動を例に挙げ、「他国に対する内政をずっとやってきた」とし、「日本もやりたくない戦争に巻き込まれてしまった」と述べた。US AIDが「すごい金を使ってた」ことから、「日本の自民党の政治家なんかも相当やられてる可能性が高い」、「マスコミなんかも相当工作を受けてる」と推測した。
靖国神社問題についても、中曽根総理大臣の靖国参拝を中国が問題視し始めた経緯に触れ、「問題を引き起こしましたね」と、日本の政治家が中国の介入を受け入れたことが問題を深刻化させたと指摘した。東京裁判で「罪を被せられた」とされるA級戦犯についても、独立後の国会で「全会一致で罪はないという風な決議をしてるわけですから日本に戦犯はいない」と述べ、GHQの主張をそのまま受け入れる現状を批判した。
田母神俊雄氏の言葉は、日本の近現代史、特に大東亜戦争に対する保守派の強い問題意識を鮮明にしている。氏が提唱する「聖戦」としての再評価は、戦後の「アメリカ発の歴史観」や「半日主義者」による教育が日本の誇りを損なっているという危機感に基づいている。自衛隊における歴史教育の現状への批判や、戦後の政治・メディアに対するUS AIDの影響への言及は、日本の現状を深く憂う氏の姿勢を示している。はたして、参政党は田母神氏が期待するように、日本の歴史認識を是正し、新たな保守勢力の中核となることができるだろうか。
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