国民民主党代表の玉木雄一郎氏が、参議院選挙の第一声で、新橋SL広場を「私たちの原点の地」と位置づけ、決意を新たにした。玉木氏は、かつて「いつ亡くなるんだ」と揶揄されながらも党を存続させてきた歴史を振り返り、「この国の未来をどうするんだ日本の未来をどうするんだ。そんな覚悟を決めた政治集団を作ろう」という結党の原点を強調した。今回の参院選では、「手取りを増やす夏」をスローガンに掲げ、現役世代を支え、強い日本経済を取り戻すための具体的な経済政策を訴えた。
「対決より解決」──批判だけでなく「体案と政策」を
玉木氏は、国民民主党の政治姿勢として「対決より解決」を掲げた。「確かにおかしいことがいっぱいある。厳しく私も追求をし、そしておかしいことには批判の声をあげる」としながらも、「批判と反対だけで止まっていたのでは皆さんの給料も年金もGDPも増えない」と断言した。
国民民主党は、「おかしいと見つけたら厳しく指摘をする。同時にどうやったらそれを変えられるんだその体案と政策を必ず右の手に持ってやる」と、新しい政治スタイルを牽引していく決意を示した。現状の政治が「右だ、左だ、保守だ、革新だ」といった対立ばかりに終始し、結果として日本が「右にも行けない、左にも行けない。行く先はたった1つ下に下に落ちてくしかない」ことに危機感を表明した。
現役世代からの「所得と手取り」増加を最優先
国民民主党が他の政党と異なる点として、玉木氏は「圧倒的に現役世代の皆さんを支えていこう」という方針を明確に出していることを挙げた。「なぜ私たちが現役世代から豊かになろうメッセージを出してるかというと。親の介護やってるのは誰ですか?子育てしてるのは誰ですか?この国の成長とイノベーションを生み出してるのは誰ですか?皆さんですよ現役世代だ」と強調した。
現役世代が豊かにならなければ、彼らが支える高齢者も不安になり、年金や医療・介護も縮小していくと指摘。その上で、「2万円を4万円を選挙の前に配るのではなくて、この国を支えている人や、支え続ける世代が頑張れば報われる。自分たちが努力すれば夢は叶うんだともう1回思えるような、そういう社会を国民民主党が中心となって作り上げていきたい」と、本質的な所得向上を目指す姿勢を示した。
「新3本の矢」で日本経済を復活──手取りを増やし、投資を促し、人に投資
玉木氏は、日本の経済が30年間成長できなかったのは、「所得や手取りの増加を生み出す経済成長が全くできなかったこと。そして新たな成長戦略を政治が描くことができなかったこと」が問題だと指摘。国民民主党は、物価高騰対策と同時に「日本の経済を復活させる国民民主党の新3本の矢の柱にある経済成長戦略」を打ち出していると説明した。
1. 手取りを増やす経済政策
「皆さんが一生懸命頑張って労使の努力で30年ぶりの賃上げをしても、それ以上に税金と保険料、高いガソリン代、電気代で出ていくものばっかりが多ければ皆さんの手取りは増えない」とし、手取りを増やす経済政策を推進すると述べた。具体的には、所得税の「103万円の壁」を「178万円まで所得制限なく引き上げること」を公約した。これにより「ここにいらっしゃる皆さん全ての年間の手取りが10万円から22万円増える」と試算し、「2万円配るより消費税の食料品だけ減税しても年間4万から6万の軽減だけなのだ」と、国民民主党の政策が最も「皆さんの懐を潤す」と強調した。
この政策は、単に手取りを増やすだけでなく、「稼ぎたい人はもっと稼げる、働きたい人はもっと働けるようになる」と、日本経済の成長にも繋がると説明した。現在の「人手不足」は、30年も前の古い基準が原因であり、「外国人労働者に頼るこれね順番が逆だ」と指摘した。
2. 投資を増やす「ハイパー償却税制」
社会経済の変化に対応するため、「新たな投資をして産業構造や会社の構造を変えていかなければならない」と述べ、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)などへの新しい投資を促すとした。そのための具体策として、「投資額以上の償却減税を認めるハイパー償却税制」を提案。100億円投資したら160億円まで償却を認める制度により、「今100兆円規模の民間投資を10年間で300兆円にしていきたい」と述べた。
3. 教育予算倍増と「人づくりこそ国づくり」
「人作りこそ国作り資源のない日本で経済を発展させるそのエンジンは最後は人だ」と強調し、「人に投資せずしてどこに金使うんだ」と訴えた。このために、「教育国債発行して子育て、教育、科学技術この3分野の予算、今概ね5兆円だがこれを10兆円に倍増して国を上げて教育、科学技術、そしてイノベーションこれしっかりと応援をしていきたい」と表明した。
これらの「新3本の矢」により、「日本のGDPを10年間で1000兆円にしたい」と述べた。GDP1000兆円が実現すれば、「税収は120兆円、税外収入は15兆円になるから135兆あるいは140兆円の収入が確保できる」とし、「財政は劇的に健全化する」と主張した。増税を伴わない税収増を目指す「増税なき税収増」が可能であるとし、現在の税収の上振れ分が「納税者国民皆さんのものだ」と強調。「選挙の前に選挙対策でばらまくのではなく一生懸命働いてそれを払っていただいた納税者の皆さんに減税でお返しするのが筋だ」と訴えた。
国民民主党代表の玉木雄一郎氏が参院選で掲げる「手取りを増やす夏」というスローガンは、現役世代の経済的負担軽減と、それを起点とした日本経済全体の成長戦略に焦点を当てている。はたして、この「対決より解決」の姿勢と具体的な経済政策は、有権者の支持を集め、参議院で予算を伴う法案を単独で提出できる21議席の獲得という目標を達成できるだろうか――。
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