国民民主党党首の玉木雄一郎氏が、自身のYouTubeチャンネル「たまきチャンネル」で、参議院選挙の大きなテーマである「物価高騰対策」を超え、日本の「成長戦略」を競い合う選挙にしたいと語った。玉木氏は、国民民主党が提唱する「新3本の矢」と呼ぶ経済成長戦略を解説。経済成長の3要素である「人とお金とイノベーション」に沿った具体的な政策を提示し、約10年で「1000兆円のGDPを達成する」という壮大なビジョンを掲げた。
物価高騰対策のその先へ──経済成長こそが不安解消の鍵
参議院選挙が始まり、物価高騰対策が大きなテーマとなっていると玉木氏は述べる。しかし、原材料価格の上昇などを踏まえれば、ある程度の物価上昇は「必要なんです」と指摘する。これは、生産者がコストに見合った利益を確保し、働く人の「賃上げの原資を確保するためにも適正価格転嫁は必要なんです」という考えに基づく。
玉木氏は、多くの現役世代が抱える不安の根源は、物価上昇をカバーできるだけの「所得や手取りや経済の成長が見込めないこと」だと分析する。この選挙で問いかけたいのは、「その先の大きな日本のビジョン」であり、「経済成長のS型をどう描くのか」という、日本経済復活の戦略を持っているかどうかだと強調した。
経済成長は伝統的に「労働投入、資本投入、イノベーション」の3要素で決まると説明。国民民主党は、この3要素に沿った「新3本の矢」で経済成長戦略を提案すると語った。
新・3本の矢で日本経済を復活させる
国民民主党が掲げる「新3本の矢」は、以下の3つの柱から構成される。
- 「人」への投資:手取りを増やす 玉木氏は、まず「手取りを増やす」ことを強調した。具体的には、「所得税の控除額を103万から178万に引き上げる」ことを公約に掲げる。これにより、手取りが増えるだけでなく、今まで「103万の壁を気にして働き控えをしていた人」が、もっと働いて稼げるようになると説明。結果として人手不足が解消され、「労働投入量が増える」ことを目指す。
- 「お金」への投資:投資を増やす 次に、玉木氏は「投資を増やしていく」ことの重要性を説いた。企業が投資した額以上に減税を認める「投資額以上の償却、減税を認める」という大胆な政策を提唱する。例えば、「100億投資したら160億まで償却を認める」ことで、企業が「どんどん投資しないと損だというような状況」を作り出す。これにより、デジタル化やGX、DXを企業で推進し、「今100兆円規模の民間投資を2倍から3倍、200兆から300兆にしていきたい」と述べた。
- 「イノベーション」への投資:教育・科学予算を倍増 そして、玉木氏が「一番大事」と強調するのが、この3番目の矢だ。日本は資源のない国だからこそ、「人づくりこそ国づくり」という考えを持つ。国民民主党は、「教育、そして科学、予算、これを教育国債の発行で倍にして」、「国を上げて研究開発とイノベーションをどんどん推進していきたい」と力説した。このイノベーションの推進と2番目の投資拡大が組み合わされば、「日本の経済の生産性はぐっと上がっていきます」とし、「給料が上がる経済が実現していく」と展望を語る。
「増税なき税収増」で財政健全化と国民の豊かさを実現
玉木氏は、これら3つの政策を「集中的に大胆にやる」ことで、約10年で「1000兆円のGDPを達成する」というビジョンを掲げている。GDPが1000兆円に達すれば、「税収だけで120兆、税外収入で15兆円ぐらい135兆、歳入が入ってくるので財政は極めて健全化する」と説明した。
このような「ビジョンを示しているのは国民民主党だけ」だと玉木氏は強調する。現状の日本は、「元々のパイを大きくするという発想がなくて」、限られたパイの中でどう割り振るかという発想で政治が行われてきたため、「日本は成長から取り残された」と分析した。
国民民主党が目指すのは、「経済を大きくして税収を上げていく」ことだ。「一言で言うと増税なき税収増」を実現する経済政策こそが今必要だと訴える。特に「現役世代を重視する」とし、「働いたらこう報われるんだと。元気に頑張れば夢が叶うんだ」という社会や経済を作り上げることが重要だと語った。
玉木氏は、「日本経済、皆さん必ず良くなります」と力強く断言する。国民民主党の経済政策は、「経済理論にも基づいた、人とお金とイノベーションを促す総合的な経済政策」であり、「残念ながら自民党にはない」ものだと強調した。経済を成長させ、皆の豊かさを作る「手取りを増やす経済政策はこれしかありません」と語り、有権者に対し、「国民民主党に託していただければ必ず私たちはやります」と支持を訴えた。
はたして、国民民主党の「新3本の矢」は、日本の経済を再成長させ、国民の不安を解消できるだろうか――。
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