国民民主党党首の玉木雄一郎氏が、長年訴え続けてきたガソリン暫定税率の廃止、いわゆる「ガソリン減税」について、これまでの経緯と今後の展望を解説する。ロシアによるウクライナ侵攻以降の物価高騰を受け、減税実現への動きが加速する中、玉木氏が「選挙で訴えた政策を実現するために」全力で取り組むと語る。
「51年間」続いた暫定税率を廃止へ
ガソリンの暫定税率廃止は、国民民主党が2021年の衆議院選挙から一貫して掲げてきた公約だ。
ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとした世界的な原油価格の高騰を受け、政府は当初、補助金による価格抑制策を講じていた。しかし、玉木氏は「補助金で下げることにも様々な問題が出てきて、やっぱり取って配るんじゃなくて、最初から取らないガソリン減税、暫定税率の廃止」という国民の民意を受け、減税への方向転換を主張してきた。
そもそも暫定税率とは、「1974年51年前に最初2年間だけ増税しますと言って始めたものを引っ張って引っ張って約半世紀やってきたもの」である。物価高騰という現状において、このような歴史的経緯を持つ税は廃止すべきだという考えだ。
直近の参議院選挙で与党が衆議院に加え参議院でも過半数を割ったことにより、玉木氏は「いよいよ野党がまとまれば成立できるという状況になった」と語る。そして、野党は協力し、臨時国会初日に法案を提出するに至ったのだ。
軽油は除外?対象油種をめぐる駆け引き
国民民主党が提出した法案は、ガソリン暫定税率の廃止を「11月1日からやろう」という内容だ。
当初、国民民主党はガソリンに加えて軽油の暫定税率も廃止するよう主張していた。しかし、「みんなが合意できる範囲に絞った結果ガソリンだけになった」という。
軽油が除外された背景には、地方財政への影響を懸念した日本維新の会などの存在がある。軽油の減税は、地方自治体の歳入減に直結するため、地方行政を預かる立場からは、安定財源の確保が課題となるのだ。
しかし、玉木氏は、トラック運送業者などからは「軽油を下げてもらわないと銀行からの融資も受けられないし、従業員の給料も払えない」という切実な声が上がっていることを認識している。そのため、国民民主党としては、「軽油も含めて今年度から下げられるように引き続き努力をしていきたい」と述べており、今後も軽油減税に向けた働きかけを続ける方針だ。
与野党協議の開始と「民意の尊重」
参議院での与党の過半数割れを受け、与野党の国会対策委員長会談が行われ、「円滑にガソリンの値下げを実現していくことが必要だ」との合意がなされた。これにより、与野党が共に協議する場が設けられた。
協議では財源に関する議論も行われているが、国民民主党は「そういう問題じゃないだろうと、民意が示されたんでやっぱり今年度から下げると」と、国民の意思を尊重すべきだと強く主張している。
ガソリン減税は、「エネルギーコスト、物流コストを下げていく」ことにつながる。玉木氏は、特に「車を乗ってる方は地方には沢山いらっしゃいますからね。そういった方々の負担を減らして手取りを増やす」効果に期待を寄せている。
「物価高等対策としては効果がある政策の1つだと思います」と語る玉木氏。この夏も、「粘り強く実現に向けて頑張りたい」と、政策実現への決意を強調した。
はたして、国民の負担を軽減するため、ガソリン減税は今年度中に実現するのだろうか――。
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