元自民党参議院議員・杉田水脈が語る自民党の保守票離反と今後の展望

国内政治

元自民党参議院議員の杉田水脈氏が、参議院選挙での自身の落選から見えてきた自民党の現状と、オールドメディアとの戦い、そして日本の未来に向けた自身の思いを語った。自民党の保守票離反の背景には、有権者の意識変化と、政権への失望があると指摘する。

「7万7040票」が突きつけた現実

2024年7月20日に投開票された参議院選挙で、杉田氏は議席を失った。選挙戦中はそれほど逆風を感じていなかったというが、結果を見て「やっぱり逆風だったんだな」と、その厳しさを改めて実感したと語る。

保守票が自民党から離れた背景には、有権者の複雑な思いがあった。杉田氏を応援しつつも「申訳ないけど今回は北村弁護士に入れますみたいなコメントがいっぱい」という状況だ。杉田氏個人の活動を支持しつつも、自民党全体への投票をためらう有権者が多かったことが、保守票の分散につながったと分析する。

杉田氏は、保守層が自民党を見限った段階として、①安倍元総理の死去、②岸田政権下でのLGBT法案成立、③石破氏の総裁就任という3点を挙げる。これらの出来事が、国民の自民党に対する失望を決定的なものにした。

特に石破氏の総裁就任については「国会議員の都合によるもの」と認識されており、国民の信頼を失う原因になったと指摘する。さらに、物価高対策や外国人問題、消費税に対する政策など、国民が求める政策と自民党の政策が乖離していることにも言及し、「財務省の言いなりじゃないか」と、自民党の政策決定プロセスへの不信感も増していると語る。

オールドメディアとの戦い

杉田氏は、自身がオールドメディア、特に新聞やテレビから「徹底的に嫌われてる」と認識している。今回の選挙戦は、自らの落選を狙うオールドメディアとの戦いだったと位置付けていた。

メディアは特定の政治家を「潰したい」と考えて「理不尽な切り取りで叩いてくる」と指摘する。しかし、もし自身が選挙に勝てば、「オールドメディアは政治家1人潰せないんだ」ということが証明できると考えていたという。

杉田氏は、政治家がメディアに潰される状況が続けば、「本質の議論ができるようになる」のが阻害され、「どんどん枝葉の議論ばっかりなっていく」と警鐘を鳴らす。

SNS規制にも反対の立場を取り、「まずは規制すべきは偏向報道を繰り返すオールドメディアじゃないか」と主張する。参政党に対するオールドメディアの報道が「公平公正さをかなぐり捨てて」「悪意を持った報道が向き出しになった」事例を挙げ、国民がオールドメディアに騙されないよう変化していることを実感していると語る。

戦後80年談話と歴史認識問題

石破首相が戦後80年談話を見送るとの報道について、杉田氏は「本当に良かった」と安堵の表情を見せた。

杉田氏は、安倍元総理が出した70年談話は「針の目を通すような積み上げ」で作られたものだと高く評価し、「もうあれで談話は終わりにしないといけない」という強い思いを持っていた。

石破首相の退陣を求めるデモで「歴史修正主義の総理はいらない」という主張が出ていることに対しては、リベラルの人たちがこの言葉を「大事に持っていて」、日本を「いつまで立っても謝り続けなさい」という意図があると分析する。

杉田氏は、自身がオールドメディアに狙われるのは、「私が慰安婦問題をひっくり返しちゃったから」であると認識している。国連での杉山審議官発言を引き出したことで、政府の正式見解が変わり、中国や韓国が慰安婦問題をユネスコ記憶遺産に登録する動きを阻止できたと主張する。

自民党の現状と今後の展望

杉田氏は、自民党が「保守政党だと思っていない」と述べ、最も保守的だったのは「下野していた3年3ヶ月の間」、つまり民主党政権時代だったと分析する。

現在の自民党幹部層は「ネットリテラシーがゼロ」であり、テレビや新聞の情報だけで世論を判断しているため、国民の不満に気づいていない可能性があると指摘する。ネットを見れば「このまま石破さんが続けたら本当に自民党が終わってしまいます」という認識になると語る。

杉田氏は、自民党が「もう1回保守になることが日本のためには1番の近道」だと考えている。そのための「最後の砦」として、次期総裁選を「フルスペック」で実施し、保守のリーダーを立てて自民党を立て直すべきだと主張する。

また、自身が今回の選挙で公認が遅れたことにも言及し、「未だに執行部は安倍排除」だと、現在の党執行部への不信感を露わにした。

今後の活動については、現時点では自民党にこだわり続けて政治活動を継続する意向を示している。しかし、8月8日の両院議員総会やその後の総裁選の動向を「議員じゃない立場で見極めていきたい」とし、状況次第では「その時にまた考えていこうかな」と、今後の選択肢も視野に入れていることを示唆した。

はたして、自民党は国民の信頼を取り戻し、再び保守政党として立ち上がることができるだろうか。

元自民党参議院議員・杉田水脈が語る自民党の保守票離反と今後の展望

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