ジャーナリストの須田慎一郎氏は、日本が抱える外国人問題の現状と、その背景にある政策の課題について深く切り込む。特に、「戦略的帰化」と呼ばれる、日本のパスポートが「世界最強だから」という理由で安易に国籍を取得する動きが増加していることや、社会保障制度の「ただ乗り」問題に強い警鐘を鳴らす。政府が「移民政策」ではないとしながらもなし崩し的に外国人を受け入れてきた結果、社会保障制度の持続可能性や地域コミュニティの安定、さらには国家の安全保障まで脅かされている現状を厳しく指摘する。
「戦略的帰化」と「ただ乗り」社会保障の衝撃
ジャーナリストの須田慎一郎氏は、日本が直面する外国人問題について、その実態と背景にある政策の課題を深く掘り下げている。対談では、日本のパスポートが「世界最強だから」という理由で安易に日本国籍を取得する「戦略的帰化」が増加している現状に強い懸念が示された。これは、日本の制度が「ずるい人ほど得する社会」になっているという認識を生んでいる。
特に問題視されているのは、帰化と永住資格の要件が逆転していることだ。通常、永住資格の方が難易度が高いと思われがちだが、日本では帰化の方が短期間で容易に取得できる現状がある。日本維新の会の柳ヶ瀬裕文参議院議員も、「日本に住めるお手軽な資格のような形で帰化を取られる方が増えている」と指摘している。帰化には居住要件5年、直近1年分の納税・社会保険料記録で良いのに対し、永住資格は居住要件10年、過去5年分の納税記録、2年分の社会保険料記録が必要だという事実は、多くの国民に知られていない。
さらに深刻なのが、社会保障制度の悪用、いわゆる「ただ乗り」問題である。税金を払わずに社会保障だけを受ける外国人の存在が指摘されており、出産育児一時金や高額療養費制度の悪用事例も挙げられている。政治評論家のナザレンコ・アンドリー氏は、「日本はずるい人ほど得する社会になってると感じてまして、外国人の中では税金払わずに社会保守だけはもらえる最強の立場なわけなんですよ」と厳しく批判している。日本に来たばかりの外国人は初年度が非課税世帯となり、最低限の保険料で最大限の社会保障を受けられるという制度の抜け穴が存在し、これが納税者である日本国民にとっての不公平感を生み出し、社会保障制度の持続可能性を脅かす要因となっている。
地域コミュニティの変容と安全保障上の懸念
外国人の急増は、地域コミュニティにも深刻な影響を及ぼしている。特定の地域、例えば東京の中央区、江東区、川口市などでは外国人が急増し、コミュニティが「崩壊の危機に瀕している」状況だという。学校教育現場でも日本語の壁が問題となり、授業が成り立たないといった弊害が顕在化している。
また、外国人による日本の土地購入も急速に進んでおり、特に自衛隊基地周辺や重要施設周辺の土地が買収されていることへの危機感が示されている。「安全保障の観点からするとその土地購入は非常に大事でありまして」とナザレンコ氏は述べ、国家の安全保障上の懸念が高まっている。
「移民政策」の曖昧さと法制度の不備
日本政府は「移民政策」ではないと主張しているが、実質的には人手不足を理由に単純労働者を含む外国人の受け入れを拡大しているのが現状だ。柳ヶ瀬議員は、「人手不足で安い人材が欲しいということで、あまり深く考えずに法整備もすることもなく、とにかく入れ続けてきたということが今害を生んでいる」と、政府の「なし崩し的」な対応が社会問題の根源であると指摘する。明確なグランドデザインや法整備なしに進められた外国人受け入れが、社会のひずみを生み出しているのだ。
さらに、強制送還を拒否する外国人の存在や、それに加担する一部の弁護士の存在も問題視されている。現行制度では「帰化要件の取り消しが実質上できない」という重大な問題も抱えている。一度日本国籍を取得した者が反社会的行為や反国家的な活動を行った場合でも、国籍を剥奪できないという安全保障上のリスクを抱えているのだ。
「共生」と「同化」の議論、そして政治の責任
「共生」のあり方についても議論が及ぶ。ナザレンコ氏は、「多民族共生」は可能だが、「他文化共生」には限界があるという見解を示し、「同化する努力」の必要性を訴える。日本国籍取得者に対し、愛国心や皇室への敬意が欠如していることへの懸念も表明されている。
この問題に対する政府・与党の対応は、「腰が引けている」と批判されており、問題への取り組みの遅さが浮き彫りになっている。特に、公明党の外国人政策への影響力が指摘されており、柳ヶ瀬議員は「規制をかけること自体が排外主義だというようなことをおっしゃる方もかなり多いというのは現実」だと、外国人問題への取り組みが阻害される背景を説明した。
過去には「差別主義者」「ヘイト」と批判されがちだった外国人問題への懸念が、外国人増加の現実を多くの国民が体感する中で、真剣に取り組むべき問題として認識されつつある。これにより、国会での議論も活発化しており、世論を背景にした法改正の可能性も示唆されている。
提言:制度の厳格化と国家戦略の明確化
この問題に対し、専門家からは具体的な提言がなされている。
まず、帰化・永住資格の要件を厳格化し、制度の整合性を図るべきだという。経済的要件や公安調査の徹底、外国政府との繋がりを調べるなど、より厳格な審査が求められる。
次に、社会保障制度の悪用防止策として、「初年度非課税世帯」の問題への対応や、一定年数居住しないと社会保障制度に加入できない仕組みの導入、情報共有の徹底が挙げられる。
さらに、違法滞在者や犯罪者に対する強制送還の徹底、難民申請の悪用を防ぐ「3回ノックアウト制」の運用強化など、法整備の必要性も強調されている。一度取得した日本国籍(帰化)を取り消す制度の導入も喫緊の課題とされている。
「とにかく安い人手」を求める安易な労働力確保だけでなく、長期的な視点での国家戦略に基づいた外国人受け入れ政策の議論と法整備が不可欠だ。
最後に、外国人労働力の輸入に頼るだけでなく、少子化対策や社会保障の見直しにより、日本人自身が子供を産み育てたいと思える社会を作ることに注力すべきだという。
はたして、日本政府は国民の危機意識に応え、外国人問題に対する抜本的な政策転換と法整備に踏み出すことができるだろうか――。
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