千代田区議会議員であるさとうさおり氏は、自身が都議会議員選挙で当選した後、千代田区民から寄せられた「都民ファーストの会の区議からの文書」の内容に激しい憤りを覚えたことを明かした。その文書は、さとう氏に票を投じた区民を冒涜するものであり、都議会の制度そのものにも疑問を投げかける内容であったという。さとう氏は、この経験を元に、今後の都議会での活動において、弱者に寄り添い、議会制度の改革を訴えていく決意を表明した。
都民ファースト区議からの「衝撃文書」
さとうさおり氏が、東京都議会議員選挙千代田区で歴代史上初の無所属当選を果たした後、区民から驚くべき文書を見せられたという。それは、同じ都民ファーストの会に所属する千代田区議の小野議員から区民に送付されたとされるもので、その内容はさとう氏に票を投じた区民を冒涜するものであった。
文書には、「都議会議員として無所属少数会派の佐藤は都議会に行っても都庁では交渉がほぼ叶いません。千田区選出の都議会議員に遠えしかできない人を送ってしまった責任と、もったいない4年間になることを思うと区民の皆様には大変申し訳ない思いでいっぱいです」と記されていたという。
さとう氏は、この文書について「佐藤さおりに票を入れてくださった区民の方を愚弄している発言です」と激しい憤りをあらわにした。さらに、「しかできない議員に票を入れた区民の方には責任があると言っているということと同義です」と、区民を愚弄する発言であると強く批判した。
また、「佐藤さおりに票を入れてくださった区民の皆様、その佐藤無所属少数会派に入れた区民の方は申し訳ない気持ちでいっぱいですと思わないといけないんですね」と、区民の投票行動を否定するかのような記述に対し、遺憾の意を示した。さとう氏にとって、この文書は「大変残念でなりません。1番憤りを覚えたのは、佐藤さおりに入れてくださった、託してくださった区民の方を愚弄していること」であった。
「ノーサイド」の精神と対話への試み
文書の内容に対し、強い憤りを感じながらも、さとう氏は政治家としての「ノーサイド」の精神を貫く姿勢を示している。小野議員に票を投じた区民も存在することを踏まえ、「この小野議員の声も区民の方の声なんだと、佐藤さおりそういう風に思ってこれも民意だと思って」今回の件について公に発信することは控えるべきか迷ったという。
しかし、最終的には区民の不安を払拭するため、この件について動画で言及することを決断した。そして、小野議員の会派に連絡を取り、「佐藤事務所ですとご挨拶を伺いたいんですけれども日程ご都合よろしいありますでしょうかとご連絡も入れさせていただきました」と、対話の場を設けるべく行動したことを明かした。結果的には「叶わなかった」ものの、さとう氏は「選挙が終わればノーサイドとしての対応をしていきたい」という信念を表明した。
現千代田区長の樋口区長に対しても、選挙中は対立候補であったが、「選挙終わればノーサイド、樋口区長にも経緯を持ってこれからの4年間政務に務めさせていただくと度々YouTubeでも発信をしておりました。その気持ちには今でも変わりはありません」と、今後も敬意をもって接していく姿勢を示した。
都議会の「縦社会」と無所属・少数会派の役割
小野議員の文書には、無所属・少数会派であるさとう氏が「都議会に行っても都庁では交渉がほぼ叶いません」と記されており、無所属議員の限界を示唆する内容であった。これに対し、さとう氏は都議会の「縦社会」の現実を語った。
「最大会派に新人が入ったところで、その最大会派内の幹事長たち役職についている人たちの意向に沿って丸バツを決めるのが、それが最大会派の新人議員たちの定めでもありますので」と、最大会派に所属する新人議員であっても、意見がすぐに通るわけではないと指摘する。
その上で、無所属・少数会派の意義を強調する。「無所属少数会派っていうのは最大手の新人議員よりもこれ緊張感持ってやらないと全部自分の責任ですからね」と述べ、むしろ無所属・少数会派であるからこそ、強い責任感を持って一つ一つの案件に向き合えると主張した。
議会制度への挑戦と「弱いものを助ける政治」
さとう氏は、今回の件を受けて、都議会の制度そのものに疑問を呈する。「少数野党が負け犬の遠吠えしかできない存在なのであれば、それは今の議会の制度が間違っています」と、少数会派や無所属議員の意見が反映されにくい現状に異を唱える。
そして、「強いものが強くあり続ける。それは違って欲しいと思ってます」と、権力構造に立ち向かう姿勢を示した。都議会での初仕事となる7月23日に、この議会制度のあり方について「異論を唱えさせて頂くことに決定をしました」と、改革への強い決意を表明した。
さとう氏は自身の政治信条を「政治っていうのは弱いものを助けるもの。強い人だけが強くあり続ける、この政治には真っこから対抗していきたいと思ってます」と語る。そして、「正直が馬鹿を見る世の中もダメです」とし、「些細な話でもオープンにしていく」ことを自身のモットーに掲げた。今回の動画も、区民に安心してもらうため、そして「隠し事はしない」という自身の信念に基づいて発信したものであるという。
さとうさおり都議の経験は、日本の地方議会における無所属・少数会派の課題、そして議会制度の根深い問題点を浮き彫りにした。彼女が表明した「弱いものを助ける政治」への揺るぎない信念と、議会制度そのものへの挑戦は、今後の都議会の動向、ひいては地方政治のあり方に一石を投じることになるだろう。はたして、さとう都議は、都議会の慣習を打ち破り、区民の声を真に届けられる政治を実現できるだろうか。
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