麗澤大学国際学部教授の佐々木類氏は、参議院選挙を前に参政党が議席を大幅に伸ばすとの予想を示し、その勢いを肌感覚で感じていると語る。一方で、TBSの「報道特集」が参政党の「日本人ファースト」を批判的に報じたことに対し、番組中の山本恵利加アナウンサーの発言を「参政党への投票を露骨に誘導・批判している」と厳しく指摘。これは「1993年の細川連立政権誕生時に起きたテレビ朝日の椿報道局長による「俺たちが誘導して55年体制を崩壊させるんだ」という発言と同質である」と批判し、メディアの世論誘導の姿勢に警鐘を鳴らした。
参議院選挙と賛成党の台頭、メディアの偏向報道
麗澤大学国際学部教授の佐々木類氏は、参議院選挙とメディアの役割、そして選挙後の政局について自身の見解を語った。
参議院選挙を前に、参政党が議席を大幅に伸ばすとの予想がされている。佐々木氏によれば、党の演説会には主婦や高齢者が多く参加しており、地方の郊外でもポスターを多く見かけるなど、その勢いが肌感覚で感じられるという。
しかし、その参政党の台頭に対し、メディアの偏向報道が問題視されている。TBSの「報道特集」が参議院選挙の争点として「外国人政策に高まる不安の声」を取り上げ、参政党が掲げる「日本人ファースト」を批判的に報道したのだ。これに対し、人権問題に取り組む8団体565団体が緊急共同声明を発表し、「根拠のない外国人優遇が差別を生む」と訴える背景があった。
番組中の山本恵利加アナウンサーの発言「自分の一票がひょっとしたらそういった身近な人たちの暮らしを脅やかすものになるかもしれないこれまで以上に想像力を持って投票しなければいけないなと感じています」について、佐々木氏は「参政党への投票を露骨に誘導・批判している」と指摘した。さらに、この発言は「1993年の細川連立政権誕生時に起きたテレビ朝日の椿報道局長による『俺たちが誘導して55年体制を崩壊させるんだ』という発言と同質である」と批判し、メディアの世論誘導の姿勢が問題視される。
参政党はTBSの報道について、ホームページで「番組の構成、表現、登場人物の選定等が放送倫理に反する」と主張し、BPOに意見を提出した。佐々木氏も「TBSは襟を正さないといけない」と述べている。
参議院選挙後の政局展望と自民党の課題
佐々木氏は、参議院選挙で自公が過半数を割ることは間違いないと予想しており、具体的な議席数としては40代前半まで落ち込む可能性を指摘する。
過半数割れ後も石破総理が続投を意欲を示し、参政党や維新に抱きついて連立を模索する可能性を「悪夢のシナリオ」と表現する。自民党内に心ある保守派議員がいるにもかかわらず、石破総理を降ろせない状況を「悪夢のシナリオ」と見ているという。石破氏が少数与党であることが「生命維持装置」となっているため、誰も「火中の栗を拾いたくない」と考えていると分析した。
もし大連立が組まれる場合、自民党以外の政党から総理が出る可能性も指摘されている。野田氏や、野党統一候補として玉木氏の名前が挙げられているという。石破総理が辞任した場合の次期総理候補として、小泉進次郎氏の名前も挙がっており、小泉氏は農水大臣時代の発言などから、総裁選を意識して動いていると見られている。
石破総理の責任論についても言及する。昨年の総裁選で高市氏が党員票で1位だったにもかかわらず石破総理になった経緯や、衆院選・都議選での敗北にもかかわらず誰も責任を取っていないことが問題視されているという。特に、2007年の安倍政権、2009年の麻生政権が選挙で敗北した際に最初に弓を引いたのが石破氏であったにもかかわらず、自身の敗北の責任を取ろうとしない姿勢が「二枚舌」と厳しく批判された。現在の自民党の低い支持率もこの状況を反映しているという。
佐々木類氏の言葉からは、参議院選挙における賛成党の勢いと、それに対するメディアの偏向報道という大きな問題が浮き彫りになる。また、自民党が過半数割れに直面し、石破総理の続投が「悪夢のシナリオ」とまで言われる中で、政局の混迷が深まる可能性が示唆されている。メディアの報道姿勢が世論形成に大きな影響を与える現代において、その公平性が問われる状況は、民主主義の根幹を揺るがしかねない。はたして、自民党は国民の信頼を取り戻し、新たな政権の形を築くことができるのだろうか。そして、メディアは真に公平な報道へと「襟を正す」ことができるだろうか。
コメント