東大に潜む「スパイ」のリスク?元産経新聞論説副委員長・佐々木類氏が警鐘を鳴らす中国人留学生問題

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東大に潜む「スパイ」のリスク?元産経新聞論説副委員長・佐々木類氏が警鐘を鳴らす中国人留学生問題

元産経新聞論説副委員長の佐々木類氏が、日本が「スパイ天国」と呼ばれる現状について言及し、その背景にある法整備の遅れを指摘した。特に、中国政府奨学金(CSC)を利用する中国人留学生が潜在的に抱えるリスクについて深く掘り下げ、日本の大学や政府が取るべき対策について警鐘を鳴らした。

日本はなぜ「スパイ天国」なのか?

佐々木氏は、日本が諸外国の関係者から「スパイ天国」と呼ばれている現状について、「各国には当たり前にあるスパイ防止法なるものがない」ことが主な理由だと指摘した。スパイ活動が疑われる事件が発生しても、窃盗罪など既存の法律でしか対応できないのが実情だという。また、外交特権を持つ人物や国外逃亡した人物の逮捕が極めて困難なため、「全然捕まえることができなかった」と述べ、これが「スパイ天国」と呼ばれる所以であると説明する。

スパイ防止法だけでは不十分?法整備と運用の課題

スパイ防止法が存在しないことが問題の根源とされているが、佐々木氏は「看板掲げたところでね」と述べ、単にスパイ防止法を制定するだけでは問題が解決しないと主張した。

スパイ防止法には抑止効果が期待できる一方で、限界もあるという。「プロの工作員にとっては」と述べ、彼らには抑止効果がないことを強調する。しかし、プロの工作員に協力する一般の人々に対しては、「協力をためらわせる効果は期待はできます」とした。

さらに、スパイ防止法を制定しても、その構成要件を立証することが極めて困難であると指摘する。「いわゆる任意捜査ができないですね。関係者への事情聴取できないです」と述べ、これは贈収賄事件と同様に被害者がいないため、情報が漏れにくく、証拠隠滅のリスクが高いことと共通している。

佐々木氏は、スパイ防止法が必要不可欠であるとしながらも、「仏像に魂を入れるにはもっとしなければならないことがある」として、以下の措置の重要性を強調した。

  • 現行法の柔軟な運用: 「今ある現法律をもっと柔軟に運用できるようにすることこれがですね1番手っ取り早い
  • 通信傍受法の強化: 「通信傍受の強化です
  • 特定秘密保護法: 国家機密を保護し、スパイ活動を取り締まる上で重要であると認識している。

中国政府奨学金と「秘密の制約書」の衝撃

佐々木氏は、自身の著書でも警鐘を鳴らしている中国人留学生の問題に焦点を当てた。特に問題視しているのは、「中国政府が中国人の留学生に奨学金を給付して海外に留学させる人たち」、特に「博士課程の中国人の留学生に気をつけようと」いう点だ。

佐々木氏は、中国政府から奨学金を得て留学する中国人博士課程の学生が、留学前に「秘密の制約書」に署名させられていると暴露した。この制約書には、表向きの研究活動に加えて、「我々の言う通りに動け」といった指示や、「残された家族は中国大陸から出てはいけない」という、人質ともいえる過酷な条件が含まれているという。

この問題は、スウェーデンのルンド大学で留年を繰り返す中国人学生の不審な挙動から発覚し、地元新聞が報じたことで明るみに出た。CSCを利用する中国人留学生の中には、科学技術安全保障や軍事、経済安全保障に直結する危険な研究分野に関わる者がいると指摘されており、これは「敵を利することになる。もっと言えば中国共産党を理することになる」と警鐘を鳴らしている。

また、中国政府が資金援助することで、大学の学問の自由と独立が脅かされる可能性がある。「本当だったら大学が面倒見て金出すところを中国政府が貸している」と述べ、この状況が学問の独立性を損なうと指摘した。

スウェーデンを皮切りに、ドイツ、デンマーク、オランダ、アメリカ、オーストラリアでも同様の制度のキャンセルや、中国人博士課程留学生の帰国措置が進められており、アメリカ連邦議会では、CSCが「非常に危険であるから有慮すべき制度である」と指摘する報告書も出されている。

日本の大学における中国人留学生の実態と課題

佐々木氏の取材によれば、日本でもCSC制度の利用が確認されており、東京大学、京都大学、早稲田大学、岡山大学など、多くの大学のウェブサイトでその情報が公開されているという。

文科省の外郭団体である学生支援機構や、東大、京大、早稲田に取材を行ったところ、ほとんどの大学が回答に応じたものの、東大は縦割り組織のため調整に時間を要したという。早稲田大学は「経済安全保障上の懸念については、各教員たちが留学生の研究テーマに目を光らせてほしい」と回答したが、佐々木氏はこの実効性には疑問符がつくとした。

早稲田大学には中国人留学生が3500人おり、その圧倒的多数が中国人である。東京大学では、全留学生の約12.5%が中国人留学生であり、博士課程の中国人留学生は推定で「300人ぐらいやばいでしょ」と警鐘を鳴らした。

佐々木氏は、個々の中国人留学生が良い人であり、日本の先端技術を学び、日中共同研究を望む真面目な学生も多くいることを認めている。しかし、「彼らはね結局脅されてるので」と述べ、本国に家族が人質に取られていることや、国防動員法・国家情報法があるため、「いくらいい人でもね」と警告する。個人の善意と国家の脅威は別物であり、個人の信頼が国家のリスクを打ち消すものではないと強く強調した。

2020年には、積水化学工業の元社員が営業秘密にあたる技術情報を中国企業に漏洩したとされる事件が発生しており、不正競争防止法違反で大阪府警が捜査している事例も挙げられた。

チャイナマネーと政治資金パーティーの懸念

佐々木氏は、ハイブリッド戦の一環として、政治に流れ込むチャイナマネーにも言及した。「政治資金パーティー」が「ほとんどもう公然の公開情報ですよ」と指摘し、香港系や中国系のメディアが日本の政治資金パーティーに堂々とカメラを持って入り込み、政権中枢の人々と容易に接触できる現状を問題視している。「2万円を払えば政権中数の人たちと普通に握手もできる」と述べ、外国勢力による影響工作の容易さを示唆した。

元産経新聞論説副委員長の佐々木類氏は、日本が「スパイ天国」と呼ばれる現状と、その背景にある法整備の不備を指摘した。特に、中国政府奨学金(CSC)を利用する中国人博士課程留学生が、「秘密の制約書」によって本国政府の工作活動に利用される潜在的なリスクを強調。日本の先端技術や安全保障上の脅威となる可能性を示唆した。国際社会がCSC制度への対応を強化する中、日本も現状を深刻に受け止め、法制度の強化と運用見直し、そして教育機関における外国人留学生の背景調査の徹底など、多角的な対策を早急に講じる必要がある。

 

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