参政党代表・神谷宗幣が語る、躍進を支えた「地上戦」と「空中戦」の融合戦略

空中戦(SNS戦略)の圧倒的な影響力 最新ニュース
空中戦(SNS戦略)の圧倒的な影響力

参政党代表の神谷宗幣氏が、同党の躍進を支えた選挙戦略、特にSNSを活用した「空中戦」と地域に根差した「地上戦」の融合について語った。多くの人が参政党を「ネット政党」と認識している中で、同党は「足腰を鍛えて」「気がつけば地上戦が強かった」という独自の戦略を展開し、その成果を上げたという。

空中戦(SNS戦略)の圧倒的な影響力

参政党の選挙戦略は、SNSを駆使した「空中戦」と、地域に密着した「地上戦」の双方に力を入れた点が特徴だ。神谷宗幣代表は、多くの人が参政党を「ネット政党」と認識している中で、実際には「足腰を鍛えて」「気がつけば地上が戦強かった」と語る。

参政党は、YouTubeやTikTokといったSNSでの情報発信で他党を圧倒した。YouTubeでの動画数はトップ、TikTokでの総再生回数は800万回を超えるなど、SNSでの影響力は際立っている。

特に奏功したのは、若い世代への訴求だ。神谷代表は「SNSの部長は私だったんですけど、今回から若い手に変えましてですね、30代の方にやってもらってるんですけど、その方が優秀だった」と語る。若い担当者の起用により、30代前後の支持層に響くコンテンツ制作が行われ、従来の街頭演説の切り抜きだけでなく、「普段の神谷さんを見せたい」と料理動画など親しみやすい内容も発信された。

さらに、党本部発信の動画だけでなく、「第三者の方が作られた切り取り動画とか」が自発的に拡散され、相乗効果を生んだ。テレビ露出も追い風となったようで、神谷代表は「テレビに出たので、それでやっぱりみんな知ってもらって、参政党って何かなって調べて、面白いこと言ってるじゃないかっていうことで拡散していただいたのかな」と語り、討論番組などへのテレビ露出がネット視聴者の増加に繋がり、60代以上の層にも情報が届くきっかけとなったと分析する。

地上戦(街頭演説・組織力)の徹底

参政党の地上戦は、街頭演説の徹底と党員の組織力強化に重点が置かれている。神谷代表自身が「17日間日本一周しようと思ってた」と語るように、全国各地での街頭演説を積極的に実施し、有権者との接点を増やした。特に人口の多い「関西と九州と東海」を重点区として回る工程を自ら組んだという。

神谷代表は、街頭演説会場の「設営の速さ」を党組織の強さの指標と見ている。「設営が早いということは軍隊で言えばかなり練度の高い部隊になってるわけですよ。てことは選挙やっても強いんですよ」と述べ、組織力の高さを示した。

また、参政党は設立当初から「批判と妨害の嵐」にさらされてきた経験を持つため、「慣れてる」状態だという。批判や攻撃に対して「向かい風が当然みたいな」と動じない姿勢を確立している。誤解やねじ曲げられた情報に対しては、「きちんと反論していった」ことで、それが議論を呼び、結果的に注目度を高めることにも繋がったと分析する。

政策と争点への独自のアプローチ

参政党の政策や主張は、既存政党とは異なる独自の視点を持つ。「我々は反グローバリズムを言いたくてやった」と神谷代表は説明する。これは「反グローバリズム」という概念が一般に理解されにくい中で、より分かりやすい表現として「日本人ファースト」を選んだことを示唆している。

しかし、この表現は「まさかそれが差別だという風に持ってかれるとは思っていなくて」と神谷代表が語るように、一部で差別的であるとの批判を受けた。これに対し神谷代表は「我々は別に外国人を排除しようとか言ってるわけじゃないから」と反論し、誤解を解く努力を続けている。

また、参政党が「徴兵制をやる」というデマが流布されたことについて、神谷代表は、赤尾由美氏が「徴兵は教育的な機能もある」と発言した部分だけが切り取られた結果であると説明する。実際には「今の時代徴兵は合わない」と述べたというが、断片的な情報が広がり、若者層からの支持に影響を与えた側面もあったようだ。

既存政党からの批判については、神谷代表は「逆に参政党さん盛り上げちゃってたみたいな」現象があったと分析し、批判がSNS上で拡散されたことが、かえって参政党の主張を広める機会になったとの見方を示した。

人材育成と候補者擁立戦略

参政党は、新人政党としての制約がある中で、独自の候補者擁立戦略を展開している。神谷代表自身が47歳であることもあり、40代・30代の候補者が多い。「新しい政党が抱える共通の悩みとして人がなかなか集まらない」中で、「通らないと思いますけどお願いします」という形で人材を確保したという。

政治塾も活用している。神谷代表は、「いきなり国政は通らないけど、将来地方議員になりませんかと地方議員の選挙出ませんかっていう。まず政治塾で集めたんですよ」と述べ、政治塾を通じて人材を見極め、教育を行い、地方議員の経験を積ませることで、将来的には国政選挙への挑戦を促す仕組みを構築している。

重点選挙区においては、「福岡以外は基本的に経験者ですよね」と述べ、演説が上手な候補者や衆議院選挙の経験者を優先的に擁立した。また、「大きな組織は判断が遅いから、機動的に動けない」と既存政党の弱点を指摘し、神谷代表が「トップダウンでボンと候補に言える」体制により、SNSのトレンドなど時事に応じた迅速な広報戦略を可能にしている。

勢力拡大に伴う質の低下を防ぐため、人材のスクリーニングも行っている。神谷代表は、「お金とか名誉とか欲求とかではなくて、国益を守るっていう日本良くするってことだから。そこに思いがあるかどうかで私は見てます」と語り、党の理念や目的に共鳴し、能力のある人材を見極めることで、ガバナンスを維持しようとしている。

支持層の分析と今後の展望

参政党は、これまでの選挙で既存の枠に収まらない多様な支持層を獲得した。

神谷代表は、自民党の政策(LGBT理解増進法、選択的夫婦別姓など)に不満を持つ保守層の一部が、日本保守党と並んで参政党にも流れてきた可能性があると分析する。国民民主党の候補者選定問題などで支持を落とした際に、参政党が支持を伸ばしたことから、「無党派層が乗り換えてきたな」と考えている。

新規有権者の開拓にも成功したようで、「今まで選挙に行かなかった人たちに呼びかけてくださいと」訴え、実際に投票率が上がった分、「その8%上がった分の半分ぐらいは参政党に来るだろう」と分析する。新規の有権者、特に「若い人とか初めて行った人は参政党に入れてくれた人もいると思います」と語る。年齢層は元々「30代か50代が強い」と認識しており、候補者も同年代が多いことでシンパシーを感じてもらいやすい。テレビ露出によって「60代以上」にも支持が広がったという。

次期衆議院選挙への備えも万全だ。神谷代表は早ければ秋に実施される可能性のある衆議院選挙に向けて、「10月に100人以上立てれるような体制作りを今やってる」と準備を進めていることを明かす。全国的な勢力拡大も視野に入れており、「次の選挙では30人ぐらい通せるぐらい計算をしていこうと思います」と述べ、全国的に議席獲得を目指す方針を示している。

参政党の躍進は、SNSと街頭演説という二つの戦略を巧みに融合させた結果だった。若手人材の登用や迅速な意思決定、そして批判を逆手に取る強靭なレジリエンスは、新興政党としての大きな強みとなるだろう。既存政党に不満を持つ層や、これまで選挙に行かなかった層を取り込むことで、支持基盤を着実に拡大している。次期衆議院選挙で、参政党が日本の政治にどのような変化をもたらすのか、その動向はますます注目されるだろう。

参政党代表・神谷宗幣が語る、躍進を支えた「地上戦」と「空中戦」の融合戦略

コメント