政治ジャーナリストの鮫島浩氏が、2025年参議院選挙における衝撃的な世論調査の結果を分析した。参政党が比例投票先で立憲民主党と国民民主党を追い抜き、自民党に次ぐ第2位に急浮上している現状を「とてつもない変動」と表現。自民党と立憲民主党による大連立が現実味を帯びる中で、第三極の主役が国民民主党から参政党へと入れ替わる可能性について、主要な選挙区の情勢を詳細に解説する。
東京の異変:参政党・さや氏の急浮上と国民民主党の失速
首都東京では、当選枠7議席を巡る戦いが繰り広げられている。鮫島氏は、これまで当選圏外と見られていた参政党のさや氏が「ぐんぐんと支持を広げ」、「1位から4位の上位へ急浮上」していると指摘した。これは、自民党から国民民主党に流れていた保守層が、今度は参政党へと流れ込んでいるためだという。ネット番組でキャスターを務めてきたさや氏は、街頭演説で積極財政を熱く訴え、その勢いから「トップ当選も十分にあり得る」と鮫島氏は見ている。
一方で、NHKアナウンサー出身で当初はトップ当選の呼び声が高かった国民民主党新人の牛田まゆ氏は、国民民主党の支持率急落を受けて「完全に失速」しているという。各社の情勢調査では「6位や7位に低迷」し、国民民主党が東京で強気の2人擁立に踏み切ったものの、もはや「2人当選は困難な情勢」だと分析。参政党のさや氏と国民民主党の牛田氏の明暗は「くっきり別れている」と語った。
3人区の異変:千葉・兵庫・福岡・北海道での第三極の攻防
東京の隣、千葉県(当選枠3)でも同様の動きが見られる。国民民主党のもう一人の目玉候補である小林さや氏が、知名度のない参政党の中屋めぐみ氏と「最後の一席を激しく競り合う」展開だ。現状は国民民主党の小林氏がややリードしているものの、「東京でもさやさんが牛田さんを追い抜いたのと同じように、この千葉でも参政党の中屋さんが逆転する可能性は十分にある」と鮫島氏は予測した。
さらに、これまで維新・国民・公明の指定席だった兵庫県では、知事選の混乱で維新が失速し大混戦となっている。無所属の泉房穂氏が抜け出し、残る1枠を公明党の現職、参政党の新人の藤原氏、維新の新人の義平氏の3人が激しく争っている状況だ。国民民主党の新人の竹田氏はNHK党の立花孝志氏にも遅れを取っており、「参政党にも追い抜かれているのは党勢の逆転をうつし出していると言える」と鮫島氏は述べ、国民民主党の苦戦を指摘した。
福岡県(当選枠3)でも、自民党と立憲民主党の現職が抜け出し、残る1議席を公明党の現職、国民民主党の川本氏、参政党の中田氏が追い上げている。無党派層の票が国民民主党と参政党に分散し、公明党が逃げ切る構図も考えられるが、終盤にかけて参政党が勢いを増せば「一挙に逆転する可能性もあながち否定できません」と語る。
北海道(当選枠3)も同様に、立憲民主党と自民党の現職が先行し、残りの1議席を自民党の現職、国民民主党の鈴木氏、参政党の田中氏が激しく競り合っている。ここでも参政党が「最終的に3位に食い込む可能性は十分にある」という。
国民民主党の「勘違い報道」と参政党への主役交代
マスコミ各社が国民民主党の議席大幅増を報じていることに対し、鮫島氏は「勘違いな政治報道という他ありません」と強く批判する。国民民主党の改選議席が4つしかないため、議席が増えるのは当たり前であり、問題は「どれだけ伸びるか」だと指摘。もし「議席の伸び幅で参政党に遅れを取れば勢いは完全に失速する」と分析し、千葉や兵庫、福岡、北海道の3人区で参政党が当選し、国民民主党が落選する展開になれば、「参議院選挙全体でも国民民主党は参政党に逆転される恐れが出てきます」と予測した。これにより、自民党と立憲民主党の二大政党に対抗する「第3局のリーダーのポジションを奪われかねません」と語った。
政治のポジショニングと大連立のシナリオ
鮫島氏は、各党の立ち位置を憲法・安全保障などのイデオロギー軸(左右)と、経済財政政策における世代間経済格差の対立軸(上下)のマトリクスで解説する。これまで右下に国民民主党、左下にれいわ新選組が位置していたが、参政党は「国民民主党と同じ右下に位置する」と指摘。かつてこのポジションを狙った維新が失速した今、今回の参議院選挙は「右下のポジションを巡る国民民主党と参政党の主導権争い」だという。
去年の総選挙で国民民主党が躍進したのは「減税を掲げ右下のポジションを独占したから」だが、山尾ショックで保守層が離反し、日本人ファーストを掲げる参政党へと流れてしまったと分析する。両党の経済財政政策に大きな違いはないものの、「右旋開を強める参政党に右下のポジションを取られてしまった」のだ。玉木代表が慌てて選択的夫婦別姓で慎重姿勢に転じているのは、保守層を取り戻すためだが、「一旦賛成党に流れた保守層を引き戻すのは容易じゃない」と語り、国民民主党の立ち位置は「極めて不安定になった」と見ている。
鮫島氏は、今後の政治構図として「右上は自民、左上は立憲、右下は参政、左下はれいわ」の4極構図が「すっきりします」と述べ、このままでは国民民主党が「居場所を失いかねません」と警鐘を鳴らした。参政党の台頭は「国民民主党の凋落に直結する」という。
そして、参議院選挙後の政局の最大の焦点は、政権を安定させるための「連立拡大」であると語る。自民・公明与党が連立を目指す一番の相手は立憲民主党であり、「与党第一党と野党第一党が手を握る大連立の誕生」が現実味を帯びる。その大義名分は「社会保障財源を確保するための消費税増税」となり、右下や左下の新興勢力を抑え込むことも大連立の目的となるだろう。
参議院選挙は、単なる議席争いにとどまらず、日本の政治地図を大きく塗り替える可能性を秘めている。特に、国民民主党と参政党による「第三極」の主導権争いは、今後の政界再編の鍵を握るだろう。自民・公明与党が立憲民主党との「大連立」に踏み切った場合、国民はどのような選択を迫られるのだろうか。そして、これに対抗する「第三極」のリーダーは、果たして国民民主党か、それとも参政党なのだろうか――。
政治ジャーナリスト鮫島浩が斬る!参院選2025 第三極の主役交代と大連立の行方
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