参政党のあんどう裕氏は、参議院選挙の全国比例区から立候補し、日本の現状政治に対する強い危機感を表明する。特に「日本人ファースト」というスローガンに込められた想い、消費税やインボイス制度への批判、そして安倍政権への独自の評価を通じて、参政党が目指す日本の政治変革について熱く語る。
選挙戦略の要諦は「個人名」と「日本人ファースト」
あんどう裕氏は、参議院選挙の仕組み上、政党名よりも個人名での投票が重要であることを強調する。東京都民には「さや」、それ以外の地域の有権者には、各地域の候補者名に加え、2枚目の投票用紙に自身の「安藤裕」と記入するよう強く呼びかけている。これは、いくら政党が票を得ても、個人票がなければ候補者が当選できないという現実を踏まえてのことだ。
参政党が躍進する背景には、「日本人ファースト」というキャッチコピーの浸透があるとあんどう氏は分析する。これまでの政治がポリティカルコレクトネスやグローバリズムに傾倒し、日本国民の利益が軽視されてきたことへの国民の不満を捉えたものだ。「日本人ファーストは分かりやすいですよね」と述べ、このスローガンが国民の心に響いていることを示唆する。
「日本人ファースト」という言葉は、従来の「差別的」「レイシスト」といった批判を恐れて誰も口にしなかったが、国民はまさにこの言葉を「待っていた」と認識されている。対談では、この現象を「アメリカ大統領選挙と同じ」であると分析し、エスタブリッシュメント層やグローバリストが推進する「ダイバーシティ」とは対照的に、一般国民が抱いていた「おかしい」という感覚を代弁していると見る。
現在の政治家は「外国人のファッション」に身を包み、「日本人ラスト」であるとあんどう氏は批判する。これは戦後の自虐史観教育がもたらした結果であり、日本人が自国を悪く見るように仕向けられてきたことへの反発が根底にあると指摘する。
経済政策の核心:消費税とインボイス制度への痛烈批判
参政党は、消費税およびインボイス制度に対して強く反対している。特にインボイス制度については、多くの国会議員がその内容を理解していないことに驚きを隠さない。彼らはインボイス制度を「消費税もらっているけれどもそれを納税しないでポケットに入れていたずるい奴らを退治する正義の制度」と誤解していると指摘する。
対談では、大奈氏が豊中市議会でインボイス制度の見直しを求める陳述を行った経験が語られ、多くの議員が「益税」という誤った認識に基づいた質問をしてくることに苦慮した様子が描写されている。これは、政治家がビジネスの実態を理解していないことの現れだとされている。
三橋貴明氏は、消費税が「売上税」であり、赤字の企業からも税金を取る仕組みがおかしいと指摘する。また、日本独自の消費税還付方式がWTO協定上問題視される可能性にも言及。これらの議論は、消費税が国民生活や企業活動に与える悪影響を強調し、その廃止または根本的な見直しを求める参政党の経済政策の根幹をなすものと解釈できる。
政治への関心の高まりと安倍政権への複雑な評価
コロナ禍を経て、これまで政治に無関心であった国民層が、自身の生活への影響を通じて政治への関心を高めていることが指摘される。菅沢こゆき氏も、自身がライブハウスの営業停止によって「政治に無関心でいられても無関係ではいられない」という現実を痛感した経験を語る。インボイス制度への反対運動も、これまで政治に無関心だった層が経済問題を通じて政治を意識するようになった例として挙げられた。
安倍政権については、「安倍さんが若者に人気あった」としつつも、その政策には厳しい評価を下す。「安倍さんの本心は別だったとは思うけども結局緊縮財政やって、それから構造改革、規制緩和で日本を売り渡すような政策を進めてた」と述べ、安倍氏が「保守派」を装いながら実際にはグローバリスト的な政策を進めていたと指摘する。その死後、自民党の「正体」が露呈し、支持が急速に剥がれ落ちたと分析する。
現在の総理大臣のカリスマ性の欠如についても言及されており、安倍氏のような「総理大臣がかっこいい」という風潮が失われていることが語られている。
参議院選挙の目標と今後の展望
参政党は、今回の参議院選挙で「改選過半数割れじゃなくて、改選後も参議院で少数にすると」という明確な目標を掲げている。これは、自民党・公明党に50議席以下しか取らせず、参議院における多数派を形成させないことを意味する。あんどう氏は、この目標が「実現できそうな気がする」と述べ、手応えを感じていることを示唆する。
参政党の支持拡大は、「日本人ファースト」というこれまでタブー視されてきた言葉を掲げ、国民の鬱積した不満を代弁していること、そして消費税やインボイス制度といった具体的な経済問題への批判を通じて、これまで政治に関心がなかった層の支持を獲得していることに起因すると考えられる。はたして、参政党は既存の政治勢力に一石を投じ、日本の政治地図を塗り替えることができるだろうか。
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