麗澤大学国際学部教授・佐々木類が斬る!参院選大敗の自民党、石破政権の命運と政界再編の行方

麗澤大学国際学部教授・佐々木類が斬る!参院選大敗の自民党、石破政権の命運と政界再編の行方 最新ニュース
麗澤大学国際学部教授・佐々木類が斬る!参院選大敗の自民党、石破政権の命運と政界再編の行方

麗澤大学国際学部教授の佐々木類氏が、第27回参議院選挙の結果を詳細に分析し、自民党の大敗と石破政権の行方、そして日本政治の未来について語る。与党の過半数割れ、石破首相の責任問題、野党と新興勢力の台頭、さらに外国人問題など、多岐にわたる視点から、日本の政治が直面する課題と今後の展望を明らかにする。

参院選大敗:自民党「大敗」も石破首相は続投を宣言

第27回参議院選挙の結果、自民党は改選52議席から39議席に激減し、公明党と合わせても47議席となり、非改選の75議席と合わせても過半数の125議席を割り込んだ。佐々木氏はこれを「想定の範囲内ではあったけれども、思いの他、自民党が盛り返したなという印象」としながらも、「勝敗ラインが50議席、過半数であるのにも関わらず、50すらも届かなかったというのは大敗である」と評価する。

石破茂首相は敗北について「痛恨の極みだと総裁として深くお詫びする」と述べたが、その一方でトランプ政権による関税措置や物価高騰、自然災害への対応などを挙げ、国政の停滞を招かないため続投する考えを強調した。これに対し、番組内では「地震が起きるまで居座り続ける気か」と批判され、「自然災害も人質にとって国民を脅すパターン」と指摘されている。

石破首相は2007年の参院選で自民党が大敗した際、当時の安倍首相に対し「私だったら即座にやめて落ちた人のところに謝って回る」と述べており、2009年の都議選での自民党敗北時には麻生太郎首相に公然と辞任を求めていた経緯がある。この矛盾について問われると、石破首相は曖昧な回答に終始し、「カエルの面に小便」「図々しい」と評されている。

自民党内からは、麻生太郎氏などから石破首相の続投を認めない声が挙がっており、高知県連は参院選敗北の責任を取り、石破首相の早期辞任を党本部に求めることを決定し発表した。これは地方からの声がうねりとなって石破首相の辞任を求める動きに繋がる可能性が指摘されている。

番組内では「少数与党であることが石破さんの生命維持装置になっている」との見方も示されている。総裁を交代したり、看板を掛け替えたりすると、野党が団結した際に統一候補に敗れる可能性があり、自民党は「怖くて石破氏を動かせない」状況にあると分析する。

野党と新興勢力の台頭:参政党と国民民主党の躍進

今回の参院選では、国民民主党が4議席から17議席に、参政党が1議席から14議席へと大きく議席を増やした。国民民主党については、都議会議員選挙での健闘から山尾ショックを乗り越えたと分析されている。参政党については、選挙後半の盛り上がりや集会への人の集まり方が違ったことが指摘され、「予想できた範囲」と評されている。

一方で、立憲民主党は22議席と全く伸びず、「自民は嫌だけど、石破政権はダメだけど、立憲に流れないっていうのがここ一つなんでしょうね」と分析されている。これは「非自民、反自民の受け皿に立憲がなり得ない」ことを明確にしたとされている。

自民党保守派の苦戦も目立った。自民党の保守系候補の落選が相次ぎ、全国比例では特定枠を除くと実質10議席中、有村治子氏のみが当選する結果となった。主要な保守系候補7人の得票合計は、6年前と比較して47.5%減の63万票となり、ほぼ半減した。これはLGBT法など自民党のリベラル化・左傾化が進んだことで、「自民党の岩盤保守の人たちが逃げた」結果であり、その票が参政党、日本保守党、国民民主党といった新興勢力に流れたと分析する。

国際情勢と海外メディアの報道:日本政治への視線

ウォール・ストリート・ジャーナルは、石破首相が貿易交渉でトランプ政権に強硬姿勢を打ち出し、不安定な権力基盤を固める賭けに出たと指摘している。番組内では、石破首相がトランプ大統領との交渉において「舐められてたまるか」といった感情的な言葉を用いたことが、国際的な評価を下げる要因になっていると批判されている。

海外メディアも今回の選挙結果に注目している。ニューヨーク・タイムズは今回の選挙で国民民主党と参政党が最大の勝者だと位置付け、両党が消費税の減税や廃止を掲げ、若い有権者に対してポピュリスト的な訴えを行ったと報じた。特に参政党については、フランスの主要メディアが「陰謀論と外国人嫌悪の若い政党」と位置づけ、「ポピュリズムを扇動し外国人嫌悪を打ち出して歴史的な得票を実現した」と報じた。

海外メディアが参政党を「極右」と呼ぶことに対し、番組内では「レッテルの貼り方が軽い」「定義を言ってみろ」と反論している。有権者の政治的判断による投票率上昇や議席増加を無視し、一方的な見方をしていると批判し、真の「極右」とは異なることを強調した。

外国人問題と土地取得問題:日本が直面する課題

参政党が外国人資本による土地取得や企業買収の規制などを訴え、外国人政策の明確化を迫ったことで、これが野党の主要争点の一つとなった。番組内では、欧州ほどではないものの、日本においても「これから欧州の轍を踏むのかどうかというところで今選択が迫られている」と述べ、外国人問題、特に中国人の問題が日本の核心的な問題であると指摘する。

国民民主党の玉木雄一郎代表が、外国人による日本の土地取得問題での連携の可能性に言及し、外国人による土地取得規制の法案提出に意欲を示したことも注目される。番組内では、現在の土地利用規制に留まらず、「土地の売買の制限、保有の制限」が必要だとし、「やればいい」と政府や政治家に対し、行動を促している。

自民党の未来と政界再編の可能性:「嵐の前の静けさ」

番組内では、石破政権が村上誠一郎氏を総務大臣に、平正樹氏をデジタル担当に、極めつけは和田義明氏を経済安全保障担当大臣に起用したことに対し、「そういう内閣を作ってる時点で自民党は全く別物になった」と厳しく批判する。自民党は「看板だけが入れ物で、中身は全く別物」になり、「新鮮な果物が腐っちゃったみたいな」状態にあると評されている。

今回の参院選は「時代の変わり目」であり、「嵐の前の静けさ」であると指摘される。自民党がこのまま石破政権を継続すれば、次の衆院選でも敗北する可能性が高く、「もっと負けますよ」と予測される。自民党が消滅する可能性も示唆されており、有力議員の離党や新興勢力との連携による政界再編の可能性が語られた。

石破首相が辞任した場合、小泉進次郎氏や高市早苗氏が次期総裁候補として浮上する可能性が言及されている。特に小泉進次郎氏については、「マスコミ大好き」であり、再び注目される可能性があるとされている。

石破首相は自民党内に仲間がいないため、森山裕氏の政治人脈に頼っていると指摘される。森山氏は「二階」の後継者とも言われ、国対委員長時代に培った野党や公明党・創価学会とのパイプが強いとされる。彼は「敵を作らないタイプ」でありながら、国民からは「一番嫌われる存在」であると評価されている。

今回の参院選は、ネットの影響力拡大、若年層の政治参加、新興政党の躍進、そして伝統政党(特に立憲民主党)の失速が顕著になった「歴史に残るような選挙」だったと佐々木氏は語る。自民党は辛うじて耐えたものの、政治資金問題に端を発する国民の政治不信は根深く、そのビジネスモデルも時代遅れとなりつつある。短期的な政権交代の可能性、中長期的には選挙制度改革(中選挙区制への移行)と自民党の分裂、そして多党化の加速という大きな政治構造の変化が予測される。戦後80年を支えてきた日本の政治システムは転換期を迎えているようだ。はたして、私たちはこの歴史的な転換期に、どのような選択をしていくのだろうか――。

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