政治ジャーナリストの鮫島浩氏が自身のYouTubeチャンネル「鮫島タイム」で、今回の参院選における自民党の苦戦と参政党の躍進について詳細な分析を行った。鮫島氏は、マスコミが報じる「一人区自民党大敗の本当の原因」は立憲民主党の勢いではなく、「参政党が自民指示を切り崩している」ことにあると指摘。さらに、自民党と立憲民主党が「参政党を抑え込むために手を握り合う大連立が密かに進行している」可能性にまで言及し、政界の地殻変動が起きていると警鐘を鳴らした。
マスコミが報じない真実──参政党の驚異的な躍進
鮫島氏は、共同通信の世論調査で参政党が比例の投票先で「立憲や国民を追い抜き自民に続く2位に急上昇」したことを挙げ、その躍進ぶりを強調した。選挙区においても「首都東京でトップ当選に踊り出る可能性も出てきた」とし、神奈川、大阪、愛知、埼玉の4人区に加え、千葉、兵庫、福岡、北海道の3人区でも「公明や国民の候補を決散らし当選圏内に加る勢い」があると述べた。
この勢いが続けば、「国民民主党を抜いて自民立憲に続く第三力へのし上がる可能性」があると予測し、「まさに1人勝ちの状況」だと評した。他野党が「参政党旋風の影に隠れて完全に埋没」している現状を指摘し、参政党の躍進が一時的なものではなく、「草の根活動で全国つつ裏に浸透」した結果だと分析した。
参政党の政策と支持層の拡大
鮫島氏は、参政党の具体的な政策が幅広い層の支持を獲得している要因を解説した。外交面では「トランプ支持が鮮明です」とし、「移民政策に反対」することで、「保守の支持を引き込みました」と述べた。
経済面では「積極財政を掲げ国民やれいわ新撰組の支持を切り崩します」と、既存政党の支持層を奪っていることを指摘。さらに「食の安全や子育て支援とりわけ専業主婦支援を打ち出して主婦層にも支持を広げてきました」と、多岐にわたる政策が支持層拡大に寄与していることを説明した。
1人区での自民党敗北の裏側──「影の主役は参政党」
今回の参院選で参政党が全国32の一人区を含む「全てに候補者を要立している」点に鮫島氏は注目した。「全ての選挙に立したのは自民党と参政党だけ」であり、これは「全国各地に浸透していなければなかなかできません」と、参政党の組織力の高さを評価した。
候補者数においても、自民党に次ぐ2位(NHK党と同数)であり、「候補者ベースでは今や自民党の最大のライバルは参政党になっている」と断言した。全国に候補者がいることが比例票の「底上げ」につながっていると分析した。
さらに、全選挙区での候補者擁立は「もう1つ重大な政治的効果を産んでいます」と指摘。与野党が激突する一人区で「自民対立憲対参政党この密度の構図が急増している」とし、参政党が「引き寄せているのは保守層つまり自民党の表を食っているんです」と、自民党の票を切り崩している実態を明かした。
その結果、「全国各地の一人区で自民党が苦戦し立憲が競り勝つ状況が生まれている」と述べ、「別に立憲の支持が上がっているわけじゃありません。自民党が参政党に切り崩されているんです」と強調した。マスコミ報道が「ここを吐き違えている」とし、「影の主役は参政党なんですか」と問いかけた。
かつて共産党が全選挙区に候補者を擁立し、政権批判票が分散することで自民党が有利になっていた状況が、共産党の候補者擁立抑制と参政党の全選挙区擁立によって逆転したと鮫島氏は解説した。
既存秩序の崩壊と新たな「大連立」の可能性
鮫島氏は、参政党の躍進が「既存政党に対する有権者の反発を一手に引き寄せ新たな政界の主役に踊り出た」と総括した。
この状況に対し、「次に起きるのは間違いなく得体の知れない参政党を抑え込むために自民と立憲が手を握り合う大連立でしょう」と予測した。これまでは社会保障の財源確保のための消費税増税を大義名分とした大連立が基本路線だったが、これからは「日本人ファーストを掲げる参政党を政党と位置づけ政権誕生を阻止するための大連立が新たな大義名文として浮かんでくるのではないでしょうか」と、新たな政治構図の可能性を示唆した。
ヨーロッパ諸国でもEUや移民政策に反対する勢力を抑え込むために伝統的な政党が手を組む動きが広がっていることを例に挙げ、既存秩序の崩壊が日本でも起きていると警鐘を鳴らした。
そして、日本政界の鍵を握るは「自民党の次の一手」だとし、立憲と組んで参政党を抑え込むのか、それとも参政党を引き込むのか、その選択が日本の政治の行方を左右すると語った。自民党と立憲が「大連立に踏み切ればそれに対抗する勢力としてますます指示を広げていくのではないでしょうか」と、参政党がさらに勢いを増す可能性も指摘した。
政治ジャーナリスト・鮫島浩氏の分析は、今回の参院選が単なる議席争い以上の、日本の政治構造の転換点となる可能性を強く示唆している。参政党の躍進が既存政党の支持基盤を揺るがし、新たな政治勢力の台頭が従来の政党間の関係性をも変えつつある。
はたして、自民党と立憲民主党は、その勢いを増す参政党に対し、どのような戦略で臨むのだろうか――。そして、国民が本当に望む政治は実現されるのだろうか。今後の政局から目が離せない。
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