政治ジャーナリストの鮫島浩氏が、2025年参院選の終盤情勢を朝日新聞の調査をもとに徹底分析する。もはや「自民党の敵は一見民主党じゃない参政党だ」と鮫島氏は断言。参政党が「自民も立憲も飲み込んだ!比例野党トップの衝撃」を見せ、今回の選挙が「二大政党時代の終焉」をはっきり映し出していると指摘する。自民党は「歴史的惨敗」の様相を呈し、立憲民主党も「自民批判の受け皿になっていません」と伸び悩む中、参政党が「1人勝ち」の様相を呈している現状を詳述する。
自民・立憲の二大政党時代に終焉か?比例区で野党トップに躍り出た参政党
政治ジャーナリストの鮫島浩氏が、いよいよ7月20日に迫る参院選の終盤情勢について、朝日新聞の調査を基に分析する。鮫島氏は、現在の状況は「もはや自民党の敵は立憲民主党じゃない参政党だ」と断言し、「自民VS立憲の2大政党時代の終焉をはっきり映し出しています」と語る。
各党の比例区獲得議席予想では、自民党が「過去最低の11議席まで落ち込む」と予測されている。一方で立憲民主党は「前回と同じ7議席」と横ばいだ。自民党の「惨敗の裏返しで1人区では議席を増やしますけれども各党等の評価を示す比例の獲得議席では横倍」であり、「自民批判の受け皿になっていません」と鮫島氏は指摘する。「自民は沈んでも立憲は浮かばない」状況が鮮明になっている。
国民民主党も比例は「7議席」と予測され、前回の参院選からは増えるものの、「大躍進した去年の総選挙の勢いは全くありません」という。一時は「立憲を追い抜いて野党第一党の座を奪う勢いがあった」が、「ここに来て参政党に主役の座を奪われ完全に失速しています」と鮫島氏は分析し、「最終版に向けてさらに落ち込んでいく可能性もある」と見ている。
では、政権批判の受け皿となっているのはどこか。鮫島氏は「参政党です」と明言する。朝日新聞の比例予想では「8議席」となり、「立憲と国民を抜いて野党トップに踊り出ます」。今の勢いならば「さらに伸ばす可能性もある」と鮫島氏は予測する。
公明党は「5議席の予測」で、「前々回は7、前回は6と着実に減り続けています」という。共産党は「前回と同じ3議席」、維新は「4議席の予測」で「前回から半減」だ。れいわ新撰組は「3議席」と改選前から増やすものの、「勢いはありません」。その他、社民党と日本保守党が「一席ずつ」の予測だという。
これらの予測から、「自民と公明は大惨敗、立憲と共産は横ばい、国民とれいわは伸び悩み、維新は凋落、そして参政党が1人勝がち」という選挙結果が「くっきり浮かんできます」と鮫島氏は総括した。
「参政党旋風」が吹き荒れる複数人区の衝撃
「参政旋風をさらに映し出しているのが複数」だと鮫島氏は指摘する。
当選枠7の東京では、ネット番組のキャスターだった「参政党の新人」が他の候補を「引き離してトップに踊り出ました」。わずか1ヶ月前までは「当選圏外と予測されていた」だけに、首都東京での「いきなりのトップ当選となればまさに参政党扇風を象徴する大勝利」だと鮫島氏は語る。
4人区の埼玉でも、「参政党の新人がトップを争ってます」という。「今や参政党は第1集団に堂々と加わった」と鮫島氏は分析し、埼玉はその「象徴する選挙」だという。
同じく4人区の神奈川でも、「立憲現職、自民現職に続いて参政新人が3番手につけています」。愛知では「立憲現職と自民現職が抜け出し、3番手を国民新人と参政新人が競ってます」が、「公明現職は当選圏外の5番手に弾き飛ばされている」という衝撃的な状況が起きている。
3人区の北海道、千葉、兵庫、福岡でも同様の展開が見られる。北海道では「立憲原職と自民原職が抜け出し、最後の1枠をもう1人の自民現職と参政新人が競い合ってます」。千葉では「立憲現職と国民新人が抜け出し、最後の1枠を現職と参政新人が競い合う」。兵庫では「無所属の泉が抜け出し、残る2枠を自民現職、公明現職、そして参政新人が競ってます」。福岡では「自民現職が優勢で、残る2枠を立憲現職、参政新人、公明現職、国民新人の4人が激しく争っている」と、最終盤に向けて「参政党が勢いを増してくる可能性はかなり高い」と鮫島氏は見ている。
鮫島氏は、「もはや参政党は自民・立憲の2代政党と互角な戦いを繰り広げている」とし、3人区、4人区の現状は「政界地図の大激変」を映し出していると語る。
「一人区」にも異変──自民王国が崩壊、投票率押し上げの原動力に
自民と立憲の「指定席だった2人区でも異変が起きています」と鮫島氏は指摘する。茨城では「自民現職は抜け出し、残る1枠を立憲現職と参政新人が激しく競り合ってます」。立憲はこれまで2人区で「ほとんど無風の状態で議席を獲得してきました」が、参政党の台頭により「今後は2人区の指定席も脅やかされることになる」だろうと予測する。
京都でも「大混戦」が起きており、「維新の新人が抜け出し、残る1枠を自民現職、参政新人、立憲新人の3人が激しく争う展開」だという。共産と国民、れいわ新撰組の候補は「落ち気味です」。鮫島氏はこれを「まさに自民VS立憲VS参政の3時代の到来を印象づける選挙」だと表現した。
「1人区でも自民と立憲の一騎打ちこんな時代は終わりつつあります」と鮫島氏は断言する。保守王国の群馬ではこれまで「自民候補が立憲候補を圧倒してきました」が、参政党の新人が出馬した今回は「自民現職、参政新人、立憲新人の大激戦」になっているという。これは「参政が自民の強固な自盤を切り崩した結果大接戦に突入した」ものだ。
全国32の一人区で自民党がリードしているのは、「福井、奈良、山口、そして合区の鳥取島根の4つに過ぎません」と鮫島氏は明かす。最大の要因は「参政党が全選挙に候補者を擁立し自民票を切り崩した結果、相対的に立憲候補が浮かび上がっているから」だと分析する。立憲民主党は「比例で伸び悩んでいる」にもかかわらず、「立憲の議席像は参政党の躍進の副産物に過ぎません」と、参政党の躍進が立憲の議席増に繋がっているとの見方を示す。やはり「参議院選挙の主役は参政党」だと言えるだろうと鮫島氏は強調する。
参政党には「無党派も参政党に流れ込んでいます」。無党派層の比例投票先は、自民19%、立憲15%、国民15%に対し、参政党は「14%」と僅差だという。序盤の調査に比べ、「自民と立憲は減らしましたが参政は増え続けています」。
年代別に見ると、参政党は「18歳から29歳で国民と並んで26%でトップ」、さらに「30代では24%で単独トップ」と、若い世代からの支持を強く集めている。鮫島氏は、「最終版に向けて自民と立憲はさらに減らし、参政党はます伸びていくでしょう」と予測し、「比例で参政党が野党トップに踊り出る可能性は極めて高い」と語る。
「自民か立憲かそんな2者択一の時代は完全に終焉しました」と鮫島氏は結論づける。立憲民主党は「支持率が低迷しながらも自民の対抗勢力としてかろうじて議席を維持してきた」が、「参政党の躍進は立憲民主党も凋落させていく可能性」があると指摘した。
さらに注目すべきは「投票率が上がりそうなこと」だ。前回の参院選は52%、前々回は48%台だったが、朝日新聞の調査では今回は「50%台後半まで上がる」と予測されている。鮫島氏は、「これまで政治に関心がなかった人々を引きつけ投票率を押し上げているのは間違いありません」。立憲民主党が「いくら叫んでも上がらなかった投票率」を、「参政党はそれを意も簡単に引き上げた」と言えるだろうと鮫島氏は語る。
自民党・公明党の与党は、「3連休中日の20日に投票日を設定し低投票率で逃げ切る戦略を描いてきました」が、「その思惑も参政党旋風であっなく崩れそう」だと鮫島氏は締めくくった。
はたして、鮫島氏が描く「二大政党時代の終焉」と「参政党の一人勝ち」は、現実の選挙結果として現れるだろうか――。
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