政治ジャーナリストの鮫島浩氏が、参議院選挙での「石破総理3連敗」にもかかわらず続投を宣言した石破総理の真意を分析。国民や自民党からの強い反発を招く中、その記者会見を「石破構文が溢れ出る最悪の記者会見」と厳しく批判した。鮫島氏は、石破総理の胸の内について「日米交渉を花道とする」好意的な解釈と、「徹底的な居座り戦略」という悪意の解釈の二つの仮説を提示した。
「怒りを通り越して呆れ返って」いる国民の声
参院選、東京都戦、そして3位戦と「石破総理3連敗」を喫し、与党は自らが掲げた「過半数」の勝敗ラインを下回った。国民や自民党が「怒りを通り越して呆れ返って」いる中、石破総理は続投を宣言した。
鮫島氏は、石破総理の記者会見を「石破構文が溢れ出る最悪の記者会見」と評する。謝罪の曖昧さとして、「極めて厳しい国民の判断を頂いた極みだ。自民党総裁として心より深くお詫びする。この結果について謙虚に真摯に受け止めなければならない」と述べるも、敗北を明確に認めず、曖昧な言葉でごまかしていると批判した。
続投の理由に「国難」を挙げたことに対しても、「我が国は今、米国の関税措置、物価、明日起こるかもしれない自然災害、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境、国難とも言うべき厳しい状況に直面している。今最も大切なことは国に停滞を招かないことだ」という発言に対し、「明日起こるかもしれない自然災害まで居座りの理由にするの」と呆れが表明されていると指摘する。
責任感の欠如についても厳しく批判する。「重大な責任を全然痛感していないじゃん」と、責任を感じているとは言えない態度を指摘する。
過半数を割っても自民党が最多議席であるため、総理続投の資格があると考えていると指摘し、これを「比較第一党の責任」論と呼ぶ。しかしこれは「石破政権は退陣せよ」という国民の民意に反するとされる。国民は衆参両院の選挙で「石破に不信任を突きつけた」と認識されており、野党との裏取引(不信任提出を止めさせたこと)も国民の怒りを招いたと分析している。
国内外からの反発と外交資格の喪失
自民党内からは、麻生元総理の「続投は許さん」という発言や、高知懸連など地方組織からも退陣要求が出始めている。野党は各党一斉に反発し、石破内閣への協力を拒む姿勢を強めている。
今後の国会運営については、与党が衆参両院で過半数を割っているため、野党の協力なしには予算や法律が通らず、「秋の臨時国会が立ち上るのは確実」と予測する。
さらに、外交資格の喪失についても言及する。「国民に不信任を突きつけられた総理大臣が国民を代表して外交なんて」と述べ、相手国首脳も退陣が近い総理とはまともに向き合わないため、「石破さんはすでに外交する資格を失っている」と断じている。
石破総理の真意に関する二つの仮説
鮫島氏は、石破総理の胸の内について以下の2つの仮説を提示している。
仮説A: 好意的な解釈(日米交渉を花道とする)
この仮説は、石破総理が秋の臨時国会を乗り切れないことを承知しており、日米関税交渉(トランプ大統領による関税25%引き上げ通告、期限8月1日)を終えた後に退陣するつもりであるというものだ。現在総理を辞めれば、交渉する立場を失うため、交渉決着までは辞められない。8月1日前後に訪米し、トランプ大統領と会って交渉を終結させた上で退陣を表明することで、「選挙に負けて辞めるより格好がつく」と考えている可能性がある。
記者会見で「いつまで続投するのか、期限は考えているのか」という質問が出たこと自体が、記者側もこの「日米交渉花道論」を想定している証拠とされる。
仮説B: 悪意の解釈(徹底的な居座り戦略)
この仮説は、石破総理が「一日でも総理大臣に居座る」ために、その場しのぎで続投を表明し、日米交渉を退陣の口実として利用しようとしているというものだ。政治家の胸の内を推測する際には「徹底的に悪意の解釈で予測する方が的中率が上がる」という経験則に基づいているという。
記者会見を乗り越えるため、日米交渉の話を持ち出して「追求が甘くなる」ことを狙った。日米交渉の終了時期は不透明であり、それが決着すればまた新たな「居座り作戦」を考える可能性がある。「明日自然災害だって起こるかもしれない」「どこかで戦争が勃発すればそれが続投の口実になるかもしれない」と、あらゆる事態を続投の口実として利用する可能性を示唆する。
最終的には、秋の臨時国会の直前まで引っ張り、「立憲の野田代表に一緒に大連立政権を作ってこの国難を乗り切ろう」と持ちかける可能性まで視野に入れているという。「やめる」と表明すれば全てが終わるため、明確なシナリオがなくても「絶対やめない」という姿勢を貫くと分析する。
この仮説Bが正しければ、「日本はかなりやばい」。自己の延命のためにトランプ大統領とどのような約束をするかわからず、それが「石破が辞めた後も日本国民に重く圧し掛かって」くる。国内政治も「大混乱カオスに突入」し、「政治は停滞する」と警鐘を鳴らす。
石破総理の続投宣言は、国民の民意を無視した前代未聞の事態であり、日本史にその名を刻む「史上最悪の総理大臣」となる可能性があると鮫島氏は結論付けている。その真意については、「日米交渉を花道とする」好意的な解釈と、「徹底的な居座り戦略」という悪意の解釈の2つが提示され、後者の可能性が十分に高いと指摘された。はたして、石破総理の続投は今後の日本の政治に深刻な停滞と混乱をもたらすことになるのだろうか――。
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