政治ジャーナリストの鮫島浩氏が、日本維新の会、れいわ新選組、公明党、日本共産党という「崖っぷち」に立たされた4つの政党に対し、現状の戦略を継続すれば政治の傍流に追いやられると警告する。新興勢力の台頭が促す、各党が生き残るための抜本的な戦略転換について具体的な提言を行う。
維新の会は「全国政党化」を断念せよ
鮫島氏は、日本維新の会が「全国政党化は絶望的な状況です」と断言する。去年の総選挙での惨敗、馬場代表の辞任、そして参院選での国民民主党や参政党への圧倒され、党内での主導権争いが続いている。
自公連立に加われば「補完勢力としてジリ貧になるのは間違いありません」。一方で、大阪での勢いも失えば「一挙に解党に追い込まれる恐れもある」と警告する。
この危機を乗り越えるには、「全国政党化を進めて野党第1等になる道を完全に断念し大阪ファーストを宣言する地域政党に立ち戻るしかない」と提言する。具体的には「国選選挙では関西以外から完全撤退する」ことだ。
これにより、主要政党双方と距離を置き、「地域政党としてキャスティングボートを握った方が存在感を回復できるのではないでしょうか」と、ニッチな戦略の重要性を説く。
れいわ新選組は「上下対決」に立ち戻れ
れいわ新選組は、去年の総選挙で躍進したものの、今回の参院選では「参政党の大躍心の前に埋没」した。鮫島氏は、れいわが「いつの間にか左のイメージが強くなった」ことが敗因だと分析する。
本来は「上下対決の下の先駆者のはずでした」が、そのポジションを「参政党に奪われてしまった」ことが痛手だという。
れいわが勢いを取り戻すには、「1番の敵は右ではなく上である」という立ち位置を「あらためて鮮明に示す必要があるでしょう」と提言する。さもなくば、「左右対決の構図の中で立憲民主党と共に沈んでいく恐れがあります」。
公明党は「国政からの部分的な撤退」を
公明党もまた、「歴史的残敗でした」と鮫島氏は語る。創価学会の高齢化による「組織力の凋落に歯止めがかかりません」。国会議員の人材難も深刻で、このまま「落ちゆく自民党を支えるだけでジリ貧でしょう」。
一方で、「連立を離脱したところで国民民主党や参政党の勢いに書き消され埋没していく可能性が極めて高い」と、進むも引くも難しい状況を指摘する。
公明党が生き残るための秘策は、「衆院から完全に撤退し地方議会の政党に特化すること」だという。
さらに、「自公連立も解消し全ての政党と是々非々で向き合う」。衆院選では「政党単位ではなく各選挙区の候補者ごとに公明党が評価し」て「人物本位で推薦していくんです」。これにより、各候補者が公明党の政策に近づくことで「公明党の存在感は高まる」と主張する。
共産党は「世代交代」と「人物本位」へ
日本共産党も公明党と同様に「高齢化に直面しています」。今回の参院選比例票は「ついに286万票まで落ち込みました」。一方的な野党共闘が票を減らしており、「社民党と同じように政党要件を満たすために選挙を行っている」状況に陥りかねない。
しかし、「全国各地の自治体に地方議員を抱えている強み」があり、「赤旗は自民党の不正を次々にスクープ」している。
この強みを活かすため、「やはり公明党と同じように衆院からは完全撤退し各選挙区、人物本位で推薦を出していくんです」と提言する。これにより、「共産党の政策に理解がある国会議員を1人でも多く増やしていく」ことが最も有効な方法だという。
そして、最大の弱点である「党中央が1度決めた方針を否定することができない」硬直した党運営を改善し、「40代前半まで一挙に世代交代を進める」ことで、「ダイナミックな戦略の転換」を図るべきだと語る。
はたして、これらの政党は「崖っぷち」から抜け出し、新たな生き残り戦略を見出すことができるだろうか――。
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