公明党代表の斉藤鉄夫氏は、2025年参院選の重点政策を発表した。長引く物価高や少子高齢化、国際情勢の不安定化など、日本が直面する多岐にわたる課題を克服するため、「物価高を乗り越える経済と社会保障の構築」を全体テーマに掲げ、国民の生活を豊かにするための政策を推進していく方針である。
公明党代表の斉藤鉄夫氏は、2025年参院選の重点政策を発表した。日本が「長引く物価高、そして急速に進む少子高齢化、人口減少。また、気候変動や激しい自然災害。そして分断と対立を深める国際状況」といった多くの課題に直面している現状を指摘し、「あらゆる困難な課題を乗り越え、国民の命と暮らしを守り、1人1人の生活を豊かにしていくための政策を2025年参院選政策に掲げた」と述べた。
今回の重点政策の全体テーマは「物価高を乗り越える経済と社会保障の構築」である。斉藤氏は、「物価高から国民生活を守り、家計の負担を軽減するためには公明党は減税と給付を適切に組み合わせ生活を支えていくことが大切だ、必要だとこの様に考える」と強調した。具体的には、「国の税収増等を活用し、生活応援給付として国民に還元するとともにさらなる所得拡大に向けて家計の税負担を軽減する生活応援減税を実施する」としている。
公明党の重点政策は大きく5つの項目に分けられる。
- 物価高を克服する
公明党は「減税と給付を適切に組み合わせ」ることを重視する。所得税減税では、103万円の壁を160万円に引き上げ、働く人の99%が2万円から4万円の減税を受けられるようにした。さらに、基礎控除等の引き上げや扶養控除などの見直し・拡大を検討する。生活応援給付としては、18歳以下の子どもに4万円、住民税非課税世帯の大人に4万円、その他の人に2万円を給付する。支給方法は「迅速かつ効率的に行える方法」を検討し、秋から年末の早いタイミングでの支給を目指す。自動車ユーザーの負担軽減のため、自動車税の簡素化やガソリンの暫定税率廃止を推進し、恒久財源が確立されるまでは補助金支援を継続する。米の価格安定のためには、備蓄の活用や流通の可視化、農地の大規模化やスマート農業の推進による生産者支援を行う。
- 現役世代の所得を増やす
物価以上の賃金上昇を確実に継続させるため、中小企業を含めた企業の売上・利益確保と労働分配率の向上を支援する。価格転嫁の推進や下請け法改正、独占禁止法の活用により、中小企業の利益率を確保する。今後5年間で官民合わせて60兆円の投資を行い、設備投資、研究開発投資、人材投資を徹底的に支援し、生産性向上を図る。最低賃金の確実な引き上げや、中小企業の輸出支援を通じて「世界中にメイドインジャパンを」展開することを目指す。奨学金については、給付型奨学金の拡充に加え、返済者への代理返済制度や減額返済制度の拡充、そして年末調整での奨学金減税を「実現していきたい」と述べた。 - 社会保障の充実
「子育て応援プラン」に基づき、児童手当の抜本的拡充や妊娠出産期の伴走支援を進める。妊娠出産ケアの無償化、子ども誰でも通園制度、不登校支援も推進する。教育の質向上では、小中学校の35人学級を推進し、将来的には30人学級を目指す。年金給付水準の底上げや適用拡大、高齢者の就労支援も強化する。介護従事者や保育士などのエッセンシャルワーカーの処遇改善に努め、「全産業とほぼ同水準の給与」を目指す。住まいの安心として、家賃補助の充実や新たな住宅手当制度の創設を掲げ、特に低所得者や子育て世帯の居住の安定を図る。 - 安全安心な日本
「命を守るインフラ恒久化対策」として、5年間で20兆円超の新たな対策を実施する。水害・地震対策に加え、水道管などのインフラ強化を進める。避難所となる学校体育館の空調設備設置を加速させる。能登半島地震や東日本大震災からの復旧・復興にも力を入れる。移動手段の確保では、ドライバー不足に対応するため「自動運転を圧倒的に推進」し、政治的な支援を通じて安全な自動運転社会の実現に邁進する。 - 国際社会の平和と安定
公明党の「平和創出ビジョン」に基づき、国際紛争の解決に向けた日本の役割とポジションの向上を訴える。
特別な重要政策課題として、政治改革、選択的夫婦別姓制度、消費税の軽減税率、日本国憲法、安定的な皇位継承のあり方を挙げた。特に政治改革については、政治資金を厳しくチェックする第三者機関の設置を主導し、「これからも公明党が政治改革先頭切って走っていきたい」と意欲を示した。消費税の軽減税率については、短期的な物価高対策としての引き下げには否定的だが、「恒久的な措置としてその深掘りを今後、国民的な議論としていろんな方と議論させていきたい」と述べた。食料品の税率は「5%程度が…あるべき姿ではないか」との見解を示し、社会保障の財源としての消費税の重要性を強調した。また、新たな財源創出として、「国が国民全員のために国として資産運用する中」で「ソブリンウェルスファンド」の活用を検討し、政策の財源に充てる方針である。
公明党は、国民の声をAIで6つのカテゴリーに分類し、今回のマニフェストに反映させたとし、「国民の皆様と共に作り上げたマニフェストだ」と自負している。物価高対策としての減税と給付の組み合わせ、現役世代の所得向上、社会保障の充実など、多角的なアプローチで国民生活の安定と向上を目指す公明党の政策は、果たして有権者の支持を得られるだろうか――。
[引用元]【参院選公約発表】公明党 参院選公約発表 全編ノーカット配信 ──2025年7月参院選(https://www.youtube.com/watch?v=pGthvE374Ew)
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