東京外国語大学名誉教授で平和学研究者の伊勢崎賢治氏は、れいわ新選組の作戦顧問として活動しつつ、自らの政治的立場を明確にした。番組インタビューの中で、自衛隊や地位協定、安全保障化、そして10年以内に成し遂げたい目標について率直に語った。
「学者としての中立性はもう贅沢品だ」。東京外国語大学名誉教授で平和学研究者の伊勢崎賢治氏はそう語る。長年、国連職員としてアフガニスタンやシエラレオネなどで武装解除に携わり、18年間にわたり統合幕僚学校で自衛官の教育にも従事してきた氏が、なぜ今、れいわ新選組から政治の場に立つのか──。
きっかけはウクライナ戦争だった。「ロシアを絶対悪魔にしてしまえば、国際秩序の再構築ができなくなる」と語る氏は、紛争の一方に加担する風潮に強い危機感を抱いた。そうした中で、「停戦が絶対に大切だ」と発言した唯一の政党がれいわ新選組だったという。氏は山本太郎代表との信頼関係を10年以上にわたり築き、「異能」と称される直感力と表現力に感銘を受けたと語る。
伊勢崎氏が政治家として、あるいは顧問として実現したいと語る目標は3つ。第1に、日米地位協定の抜本的見直しである。「自由なき駐留」、すなわちアメリカ軍の行動を許可制とし、日本の主権を確立することを訴える。これはNATOの原則にも沿う考え方であり、「互恵性」という国際標準に基づく法的対等性を求めるものだ。
第2に、冷戦の遺物とも言える「朝鮮国連軍」の問題。日本が唯一、地位協定を通じて国連軍に基地を無条件で提供している現状について、「これは自動交戦装置だ」と批判。日本が何もしていなくても、攻撃の拠点として使われれば国際法上、反撃対象になる危険があるという。
第3は、長期的なビジョンとして東アジア非核地帯構想を掲げる。「国境をソフトボーダーとして捉え、資源は共同管理する」という理念の下で、沖縄を平和の象徴として地域同盟の中心に据える構想だ。
こうした構想を掲げる一方で、再び出馬するかどうかについては「党の判断に委ねる」と控えめに語る。「自分の考えと最も近い党がれいわ新選組だった。政治家としてであれ、アドバイザーとしてであれ、信頼できる党を通じて民意を動かす」と決意を示した。
日米地位協定の見直しから、東アジア非核地帯構想まで──伊勢崎賢治氏が描くビジョンは大胆かつ現実的である。はたして、日本はこの10年で主権国家としての道を取り戻せるのだろうか。
れいわ新選組【公式】プラス論点「伊勢崎賢治×日米地位協定(https://www.youtube.com/watch?v=35iqK_WJgHo)
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