山本太郎代表が率いる「れいわ新選組」は、2025年7月の参議院選挙に向けて公約を発表した。記者会見は国会内ではなく駅前広場で公開形式にて行われ、国民への直接的な訴求を狙った構成であった。山本代表は「令和以外、ある?」という挑戦的なスローガンのもと、消費税廃止、現金給付、富裕層増税という三本柱の経済政策を打ち出した。記者会見の冒頭、NHKのニュース時間枠に合わせて発表された要点は以下のとおりだ。
山本代表は「生きててよかったと思える国」を目指すとし、子供手当月3万円、教育無償化、最低賃金1500円など具体的な数値目標を提示した。
経済政策では「失われた30年」からの脱却を掲げた。日本の所得中央値が27年間で145万円も下落した現状を「政治の責任」と断じ、消費税廃止によって年間30万円分の可処分所得を生み出す経済循環を構築すると主張した。参議院の調査室が出したシミュレーションによると、消費税ゼロで一人当たり年35.7万円の賃金増加が見込まれるという。
財源については「国債発行をためらうな」というメッセージが繰り返された。山本代表は「自国通貨を持つ国の国債は破綻しない」とMMT的な理論に依拠しつつ、「政府の赤字は国民の黒字」と財政出動を正当化した。
外交と安全保障の分野でも独自性を強く打ち出した。特定枠候補として紹介された伊勢崎賢治氏は、国連職員や紛争地での武装解除の経験を持つ実務家であり、「主権回復なくして国防なし」と日米地位協定の見直しを強く主張した。横田空域の存在や、基地問題におけるアメリカへの過度な忖度に言及し、「日本は未だに植民地のような状況に置かれている」と批判。日本独自の外交姿勢を構築する必要性を訴えた。
さらに、移民政策にも言及。低賃金外国人労働者の大量受け入れにより日本人労働者の賃金が押し下げられているとし、「保守を名乗るなら入管法改正に賛成するな」と自民党を痛烈に批判。外国人排除ではなく、国内労働者の保護を目的とした移民政策反対の立場を示した。
農業政策では予算を現在の2兆円から5兆円へ倍増させる方針を明示。農家の公務員化や所得補償の導入により、若者が農業に参入できる体制を整備するという。これは「食料安全保障」という視点からの政策でもあり、国家戦略としての農業支援を位置づけた。
今回の会見は、れいわ新選組のアイデンティティを鮮明に打ち出す場となった。「ブレーンなしで山本太郎が練り上げた政策」として、大石政策審議会長も強調。れいわ新選組は既存の政治構造を破壊し、国民の声を政策に変える「草の根革命」を標榜する。
はたして、この怒涛の公約ラッシュがどれだけ有権者に響くのか──選挙戦の行方が注目される。
れいわ新選組 参院選公約発表会 ブリーフィング資料(https://www.youtube.com/watch?v=35iqK_WJgHo)
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