参議院選挙後の国政の行方について、音喜多駿氏は、石破総理が「居座るっていうのは難しいと思いますね。これ政治力っていうのはそういうもんですからね」と退陣は不可避だと予測する。衆参両院で自民・公明が過半数割れしている現状から、連立政権の樹立が現実的な選択肢となり、日本維新の会が最も組みやすい相手だと指摘した。しかし、維新の連立入りが自身の政治的アイデンティティに「かなりのショックというか…どうしようって感じですよ」と率直な戸惑いを表明し、特に東京での維新の存在意義が「限りなくゼロになる」と危惧した。参議院選挙後の国政の行方について、音喜多駿氏が自身の見解を語った。
石破内閣の行方と連立の必要性
音喜多氏の見解では、石破総理は党内世論および世間からの退陣論が吹き上がっているため、遅かれ早かれ退陣せざるを得ないだろうと述べている。「居座ることは難しい」として、秋の臨時国会は別の内閣で迎える可能性が高いと予測する。
衆議院、参議院ともに自民党・公明党で半数が割れているため、法律を通すことができない状況だという。このため、連立政権の樹立が現実的な選択肢となる。連立を組まずに法案ごとに協力相手を変えることも可能だが、非常に不安定で手間がかかるため、連立が望ましいとしている。連立の選択肢と日本維新の会の位置づけ
連立相手として現実的に挙がるのは、日本維新の会と国民民主党、あるいは立憲民主党との大連立だ。ただし、自民党が政権を手放して立憲民主党に渡すことは、自民党が打ち切れない手だとされている。「自公立の大連立っていうのも私は無いと思います。立憲民主の存在意義がなくなっちゃいますからね」と述べた。
日本維新の会は、自民党にとって最も連立を組みやすい相手であると客観的に述べられている。その理由として、以下の点が挙げられた。
- 過去に「自公維新」として予算を共同で通している実績がある。
- 選挙調整が容易。特に衆議院議員の多くが大阪を地盤としており、大阪では自民党の現職が少ないため、「維新は大阪で、その他は自民っていう風に」と、スムーズな棲み分けが可能だという。
- 予算成立段階から既に足並みを揃えてきた。
維新の連立入りがもたらす影響と懸念
音喜多氏は12年間「非自民・非共産」の「第三極」として政治活動をしてきたため、維新が自民党と連立を組む(=第一極になる)ことは、自身の政治的アイデンティティにとって「かなりのショックというか…どうしようって感じですよ」と率直な戸惑いを表明した。
一方で、政策実現のためには連立も選択肢となりうるとも認識している。特に、維新が重要政策として掲げる社会保険料の引き下げや社会保障制度改革をどこまで実現できるかが鍵となるという。
福首都(大阪都構想)をバーターとして連立入りすることは「安売りしすぎ」と明確に否定する。もし厚生労働大臣と総務大臣の二つのポストを得て、社会保障制度改革と統治機構改革(道州制・大阪都構想)を同じ、あるいはそれ以上の熱量で進めることができるならば、「政策実現っていう点では魅力的な提案になるかも」しれないと述べる。逆に言えば、それくらいの情報提供がなければ、安易に連立を組むべきではないと考えている。
維新の会の地方での影響については、関西エリアでは大阪の小選挙区は維新が押さえているため、連立を組めば関西エリアでの地盤は盤石になる可能性があるという。しかし、関西以外の地域、特に東京では、連立を組むことで維新の存在意義が「限りなくゼロになる」と危惧している。自民党と一体化することで「存在価値がなくなっちゃう」ため、地方議員や国政志望者にとっては非常に厳しくなると予測した。
橋下徹氏が維新の会内で連立を組む方向へ世論誘導(党内世論を含む)を行っていることが指摘されており、「橋本さんの意を受けてそっちの方に進もうとする方は党内かなりの数がいる」と、その影響力の大きさが強調された。
今後の展望
副首都と統治機構改革のみを理由に連立を組めば、関西以外の維新の会は消滅すると音喜多氏は考えている。しかし、総務大臣、厚労大臣などの主要ポストを得て、社会保障制度改革を統治機構改革と同等以上の熱量で進めることができるならば、関西以外の足場は厳しくなるかもしれないものの、政策実現の点では魅力的な選択肢となり得ると述べた。
今後の注目点として、石破総理の後の総理が誰になるかによって、連立の可能性や具体的な交渉内容が変わってくると予測する。高市氏、小泉氏、河野氏などの名前が挙がっており、特に河野太郎氏が総理になれば社会保障制度改革の点で期待できるとも述べた。今後1ヶ月が「かなりホットなイシュー」になると見ており、動向を注視していく姿勢を示した。
音喜多駿氏の言葉からは、日本の現行政治における連立の喫緊の必要性、日本維新の会の戦略的立ち位置、そして連立がもたらしうる各党、特に維新の会の将来への影響について、詳細な分析と筆者の個人的な見解が伝わってくる。特に、第三極として活動してきた音喜多氏の率直な戸惑いは、維新の会が直面するアイデンティティの危機を浮き彫りにしている。はたして維新は、政策実現のために連立を選ぶのか、それとも「第三極」としての矜持を保つのか。その決断が、日本の政治の未来を大きく左右するだろう。
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