自由民主党政務調査会長の小野寺五典氏は、2025年7月参議院議員通常選挙に向けた選挙公約を発表した。今回の公約のタイトルは「日本を動かす 暮らしを豊かに」であり、これは物価高騰や米国の関税などの現状に直面する中で、「守りに回りがちな状況を打破し、日本をアクティブに動かし、国民の暮らしを豊かにするという政治の重要な使命であり目標」であると説明した。
小野寺氏は、2025年7月参議院議員通常選挙に向けた選挙公約を発表した。公約のタイトルは「日本を動かす 暮らしを豊かに」であり、これは「物価高騰や米国の関税などに直面する中、ともすれば守りに回りがちな状況ではありますが、日本を動かすというアクティブな文言に加え、暮らしを豊かにという政治にとって重要な使命であり、我々の目標でもある事柄を掲げることといたしました」と説明した。
自民党が目指す日本の姿として、以下の3つのビジョンが明確に打ち出されている。「強い経済、豊かな暮らし、揺るぎない日本」がそれだ。小野寺氏は、「この3つが自民党が目指す日本の姿」であり、「自民党が掲げる全ての政策はこのビジョンを実現するための法策でもあります」と述べた。
第一のビジョンは強い経済。目標は「GDP1000兆円の実現、国民の所得有り増し」だ。小野寺氏は、「経済を大きく成長させ、その果実をち上げといった形を含め国民全体で分かち合い、次なる投資にも振り向けるといった成長と分配の好循環を実現するという考えを取っております」と述べた。
具体策としては、物価高騰や米国関税措置の影響から国民の暮らしを守るとともに、将来の成長に向けた強力な経済対策の実行を打ち出した。また、「10年後の主力産業を明確化し、成長分野に大胆に投資、全国に100箇所の企業浄化町を展開し、地域に賑いと活力を生み出す」ことを目指す。理系学部・大学院の強化、AI・データサイエンス・エンジニア人材の育成による国際競争力強化、中小企業・小規模事業者への支援、観光振興や農林水産物の輸出拡大、地方大学と企業・自治体との連携強化、地方創生2.0の実現も盛り込まれた。農業の生産向上に向けては、「既存の農林農業関係予算とは別枠の思い切った予算の確保と食料安全保障の強化」を掲げた。「働き隊改革」と人手不足の解消により、働く人が安心して挑戦でき、個人の意欲と能力を最大限に活かせる社会の実現も目指す。米国関税措置に対しては、「国内産業と雇用を守るための緊急対応の実施と十分な予算の確保」を約束した。
二つ目のビジョンは 豊かな暮らし。当面の目標は「強力な物価対策と持続的な賃上げ」だ。「物価上昇を賃上げが上回るまでの間、国民の暮らしをひたえする必要があります」との考えに基づき、子どもや低所得者世帯の大人には1人4万円、その他の世帯には1人2万円の給付金を給付することを明記した。例えば、「夫婦と子供2人の4人のご家庭で12万円。非税非課税世帯の1人親と子供2人の3人家族でも12万円。年金暮らしの非課税世帯のご夫婦で8万円」となる計算だ。給付については、「マイナンバーカードを活用した手続きの感素化、迅速化に努める姿勢も示して」いる。
消費税減税ではなく給付を選択した理由については、「消費税減税は一見良さそうに見えとも実は所得の低い方々には恩恵が薄く高いものをたくさん買える高得者ほど渡航するを持ております」と説明。さらに、「全国の民間事業者のレジや会計税務システム等の回収に時間とコストがかかります」ため、「困っておられる方々や子育て世帯への重点配分が容易であり、速やかに始められる給付という方式を政策判断として選択いたしました」と述べた。給付はあくまでも「賃上げが実現するまでのつなぎの政策」であり、最終目標は賃上げであると強調した。
賃上げ施策としては、「物価高や多産業の賃上げに負けない工程価格の引き上げや観光における価格転嫁の徹底などにより、国が率選して賃上げに取り組む実質1%名目3%の賃金上昇率を達成し、2030年度に賃金が約100万円増加することを目指す」とした。これは「2023年度420万円の方、平均年収であります。これが2030年には520万平均年収えこれを目指す」とのことだ。その他、所得税の改革、正規・非正規の格差是正、最低賃金の段階的引き上げ、就職氷河期世代への支援なども盛り込まれた。教育・社会保障分野では、高校授業の実質無償化、地域定着型奨学金制度などによる学びの機会拡大、年金・医療・介護・福祉・子育て支援・教育・孤独孤立対策など、安心して暮らせる社会の実現に向けた施策を推進する。
三つめは揺るぎない日本。目標は、国際社会が激動する中、「自由、民主主義、人権、法の支配、市場経済といった基本的な価値を守り、世界の安定知の騎士となれる国を目指す」ことだ。
具体策として、外交、防衛、経済、食料、エネルギーなど、「総合的な安全保障体制を確立し、国民生活を守る」ことを掲げた。防災庁の設置や国土強靭化を進め、災害に強い日本の実現、治安対策の抜本的強化も盛り込まれた。外国人に関する問題への対応については、「法令に基づいて厳格かつ毅然とした対応をする」とし、「違法外国人ゼロに向けた取り組みを加速する」姿勢を打ち出した。これは、「日本の法律や制度が、これだけ国際化が進み多くの外国の方が日本に住むことを想定していなかった」ため、「これを根本からしっかり見直すということも私どもの役目」であるとの認識を示した。適正に生活する外国人にとってプラスとなるよう、違法行為への厳格な対応を強調した。公約全体の締めくくりとして憲法改正を掲げている。
小野寺五典氏が発表した自民党の参院選公約は、「日本を動かす 暮らしを豊かに」を掲げ、強い経済、豊かな暮らし、揺るぎない日本の3つのビジョンを軸に、物価高対策、賃上げ、そして安全保障の強化を打ち出している。特に給付金による物価高対策や、「違法外国人ゼロ」に向けた厳格な対応は、国民の関心を集める政策となるだろう。はたして、これらの政策は、国民の支持を得て、自民党が目指す「日本を動かす」未来を実現できるのだろうか。
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