ジャーナリストの及川幸久氏が、グローバリズムが日本の社会システムや伝統的価値観に及ぼす影響について解説する。郵政民営化と選択的夫婦別姓の議論を具体例に挙げ、国民がグローバリズムの本質を理解し、主体的に意思表示することの重要性を訴える。
グローバリズムの定義と目的
及川氏は、グローバリズムを「経済的利益を追求するため、国家権力の及ばない統一された市場や国際的な仕組みを求める」ことだと定義する。
このグローバリズムを推進するのは、国際金融資本家を中心とする「グローバルエリート」だ。彼らは貿易や金融業で財をなし、ロンドンのシティやニューヨークのウォール街を動かす。その資本力は政治、学術、メディアにまで大きな影響力を持ち、国家権力の影響力を排除することで、自らの経済的利益を最大化することを目的としている。
その結果、「庶民を狙ってくる」「庶民がターゲット」となり、我々の生活に直接的な影響が及ぶ。
郵政民営化:日本のシステムを壊すグローバリズム
郵政民営化は、グローバリズムが日本に与えた具体的な影響の典型例だと及川氏は指摘する。
小泉内閣によって「改革の本丸」とされた郵政民営化は、実は日本の簡保(郵政の保険部門)が「競争を歪め、市場機能に打撃を与え」ていると主張した、米国生命保険協会のフランク・キーティング会長が真の推進者だった。
キーティング会長は、ブッシュ大統領を通じて小泉総理に圧力をかけ、小泉総理は竹中平蔵氏を郵政民営化担当大臣に任命した。竹中氏は「アメリカの金融業界の代表団と10数回会合」を開いていたことが記録に残っている。
この民営化の真の目的は、当時の郵政が保有していた世界最大の基金「350兆円」をアメリカの金融業界が狙っていたためだ。竹中氏は「日本郵政の資金をアメリカの経済成長に活用しよう」と提案したという。
その結果、「日本が大事にしていた郵便局っていうシステムが壊され」た。民営化後、郵便局は成り立たなくなり、今になって日本政府は税金で郵便局のネットワーク維持を支援している。これは民営化前の郵政が税金負担を受けていなかったことと矛盾する。
伝統的価値観を破壊するグローバリズム
及川氏は、プーチン大統領がグローバリズムを「西側のエリートたちの独裁」と表現し、「人間を完全に否定し、信仰と伝統的価値観を否定し、自由を抑圧する」と指摘したことに言及する。
この指摘と同様に、グローバリズムは「その国の人たちが持っていた信仰だとか伝統的な価値観を否定する」ことが最も厄介な点だという。お金を動かすためには、こうした伝統をまず壊す必要があるからだ。
このグローバリズムが日本の伝統的価値観に及ぼす影響の例として、選択的夫婦別姓制度の導入議論を取り上げる。
選択的夫婦別姓:日本の伝統を壊す議論
国会での議論を見ると、自民党は態度を示さず、「立憲民主党、公明党、国民民主党、共産党、社民党」など、ほとんどの政党が選択的夫婦別姓の推進派だ。一方、明確に反対を表明しているのは参政党と日本保守党のみだという。
及川氏は、選択的夫婦別姓の議論は単なる法律論ではないと指摘する。日本の「夫婦同性」は「日本の伝統」であり、「日本人の家族の絆を作ってきた」ものだ。この「家」という概念は、法律や社会制度ができる遥か前から存在し、日本の強みであった。
選択的夫婦別姓の議論は、「なんとかして日本の伝統を壊せないか一生懸命やってる」ように見えると語る。「推進してた政党、私から見たら全員グローバリストに見える」と断言する。
「夫婦同性が夫婦別性になっただけっていうんじゃなくて」「この国というものが壊されるんだと」と警鐘を鳴らす。国家は家が集まって形成されるものであり、家族の根幹を揺るがすことは、国家の破壊につながるのだ。
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