立憲民主党・野田佳彦代表、参院選第一声で「物価高からあなたを守り抜く」と宣言──宮崎から「政権を倒しに行く」

選挙

立憲民主党代表の野田佳彦氏が、参議院選挙の初日、宮崎県で第一声を上げた。「物価高からあなたを守り抜く」という力強いメッセージとともに、17日間の戦いが始まったことを宣言した。野田氏は、宮崎県国富町を選んだ理由を、現在の物価高の大きな要因である「米の値上がり」の「震源地はこの宮崎県ではないか」という認識に基づくと説明した。さらに、自民党の「裏金の問題」を厳しく追及し、この宮崎県から「うねりを起こして西から日本全国に攻勢を詰めていきたい」と、政権交代への強い意欲を示した。

「令和の米騒動」と裏金問題──宮崎からの反攻

野田氏は、現在の米の価格が去年の2倍になっている状況を「令和の米騒動」と表現し、その震源地が宮崎県にあると指摘した。その上で、前農林水産大臣の時の米備蓄放出の効果が薄かったことや、その後の随意契約による放出についても「行き当たりばったり感の方が強い」と批判し、これによって「困ってるのは生産をする皆さんではないか」と、生産者の苦境に寄り添う姿勢を示した。

また、自民党の「裏金の問題はまだ解明できていない」と厳しく追及。「今回の自民党のライバルもいわゆる裏作りに関わったまさに当事者ではないか」と述べ、「そのペナルティを与えるためにも私はこの宮崎県からまずスタートしなければいけないと思ったのだ」と、宮崎を起点とした政権交代への強い決意を表明した。

食料安全保障の確立と「食料確保・農地維持のための直接支払い制度」

野田氏は、食料安全保障の重要性を強調し、「作ってる人たちが離農をするような状況だったら日本の食料安全保障なんて確保することできないのではないか」と警鐘を鳴らした。そして、農業政策の基本は「価格はこれは市場で決まる。でも農業に勤しんでる皆さんの所得は政策で決める」という流れを作るべきだと主張した。

かつて民主党政権時代に実現した「農業者の個別所得保障制度」の復活を求める声が多いことを踏まえ、立憲民主党はそれを「単に復活するのではなく、むしろバージョンアップして食料確保・農地維持のための直接支払い制度を導入すること」を決断したと述べた。具体的には、「田んぼの場合だったら10アールあたり2万3000円、畑だったら10アールあたり1万5000円」の直接支払いを導入し、中山間地などには加算することで、「どんな状況でも農地が維持されてそして農地が維持されることによって農業者も減らない」ようにするとした。

さらに、新規就農者への支援についても言及し、従来の対象年齢「49歳以下」では狭すぎるとし、「65歳以下まで年齢要件を引き上げ」ることで、「もっと農業人口が増えるように我々は予算を10倍にしたい」と述べた。これらの農業政策には「1兆円以上のお金がかかる」が、かつて農林水産予算が防衛予算に匹敵する規模だった時代があったことを引き合いに出し、現在の予算が「少なすぎる」と指摘。「その流れを変えていこうではないか。それができるのは今回は立憲民主党だ」と強調した。

物価高対策とガソリン税の見直し

野田氏は、物価高が米だけにとどまらず、「食料品全体が4月だけで4000品目か上がった」と指摘し、7月にはさらに「2105品目」が値上げされる見込みであるとし、「1年間で2万品目も値上げがされようとしている」現状に危機感を示した。「石政政権の無策だ」と批判し、立憲民主党は「食料品にかかる消費税を0%にしようと思う」と、消費税の減税(実質廃止)を物価高対策の有効策として提示した。財源については「赤字国債は発行しない。財源はしっかりと提示している」とし、「責任ある減税を果たしていきたい」と述べた。

さらに、ガソリン価格の高騰についても言及。地方で暮らす人々にとって車が不可欠であるとし、1974年に導入されたガソリン税の「暫定税率」(1リットルあたり25.1円)について、「51年も暫定続けるんですか?おかしいと思いませんか」と疑問を呈した。政府が補助金でガソリン価格を下げようとしていることについては「効果ないじゃないか」とし、「リッター25円ということは40リットル給油すると1000円安くなる。これ物価高対策として有効だ」と述べ、暫定税率の廃止を訴えた。

平和国家の維持と記憶の継承

最後に野田氏は、宮崎県に80年ほど前に飛行場があり、そこから飛び立った若者たちが戻ってこなかった歴史に触れ、「その80年前あったことを今日本人もそしてアメリカの大統領も忘れてきてるのではないか」と警鐘を鳴らした。5月に自民党の参議院議員が沖縄県民の感情を逆なでする暴言を吐いたことや、トランプ大統領がイランの核施設攻撃の正当性を訴える際に広島・長崎の原爆投下を引用したことについて、「厳しく日本は抗議すべきではないか」と主張した。

80年前あったことを日本人も忘れちゃいけない。そして相手であったアメリカもどれだけ悲惨なことが起こったかを記憶に刻まなければいけない」と述べ、平和国家の維持と記憶の継承の重要性を訴えた。

立憲民主党代表の野田佳彦氏が参院選で掲げる「物価高からあなたを守り抜く」というメッセージは、国民生活に直結する食料品やガソリン価格の問題に踏み込み、その解決策として消費税減税やガソリン税の見直しを提案している。はたして、宮崎から始まった野田氏の「日本を倒市政権を倒しに行く」という強い決意は、国民の支持を得て、政権交代を実現する力となるだろうか――。

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