公明党幹事長の西田実仁氏は、2025年7月29日の定例記者会見で、参院選の最大の争点であった物価高対策について、「給付というものが優れている」との認識を示し、年内開始を目指す意向を表明した。企業・団体献金規制強化や選挙におけるSNS規制についても、超党派での議論推進を訴えた。ガソリン暫定税率廃止は「与党間で合意済み」としつつ、財源などの課題解決を求めた。
物価高対策は「給付」が有効:年内開始を目指す
西田幹事長は、参院選の最大の争点であった物価高対策について、その迅速な実施手段として「給付というものが優れているのではないか」との認識を示し、早期の実施を目指す意向を表明した。
給付の対象と内容については、現役世代には2万円から4万円の所得税減税に加え、その恩恵を受けられない層、賃上げの恩恵を受けられない層に対し、子供一人当たり4万円、住民税非課税世帯に4万円、現役層に2万円の給付を提案。この枠組みが維持されれば、4人家族であれば12万円の給付となる。この枠組みを維持し、詳細な設計を進めるという。実施時期は年内開始を目指し、そのためには秋までに詳細設計と予算編成を行う必要があるとの見通しを示した。
また、真に困っている方への給付を実現するためには、「資産(金融資産、有価証券、預金、不動産等)を正確に把握した上で、給付の仕組み・インフラを構築すべき」だとの考えを示した。これは、給付の公平性を確保するための抜本的な改革案として、幹事長個人の見解として言及されたものだ。自民党内から減税を求める声があることに対し、「給付は必要ないという民意だったのか、よく見極めていかなければならない」とし、公明党としては「減税も給付も」という立場を堅持すると述べた。
「政治とカネ」問題への決着へ:企業・団体献金規制強化を継続
「政治とカネの問題への決着」が参院選を通じて主要なテーマであったとの認識を示した西田幹事長。「禁止、そして公開という点で、公明党と国民民主党は規制強化の提案をしたが、実らなかった」と振り返り、引き続き野党とも連携し、与野党の立場を超えた合意形成を目指す姿勢を示した。
選挙におけるSNS規制のあり方:超党派での議論を推進
全国知事会からの要望も踏まえ、公平かつ適正な選挙を確保するため、「適切なインターネット等の利用への対応」や「候補者間の平等確保(いわゆる2倍力選挙等)」、「品位保持規定の実効性確保」を進める必要があるとの考えを示した。前国会でも議論されたが、さらに一歩進めて超党派で対応していく必要性を強調。また、「情報プラットフォームの規制のあり方」も議論の対象であり、海外勢力による選挙介入阻止の観点からも重要であると認識しているという。
ガソリン暫定税率:廃止は合意済み、課題解決が急務
ガソリン暫定税率について、野党8会派が8月中の臨時国会提出の方針を示していることに対し、「与野党で様々な交渉がなされている」との認識を示した。「ガソリンの暫定税率の廃止はする」ことは与党間で合意済みであり、「いつやるか、その課題をどう解決するのか」が論点だとした。財源、流通への影響、地方財政への配慮、軽油引取税の問題、普通車だけでなくトラックやバスへの影響など、既に実務者協議で明らかになっている5つの課題を「一つ一つ解決を見い出す必要がある」とし、年末の自動車関係諸税の抜本見直しを待たずに早期に議論を進めるべきとの考えを示した。廃止にあたっては、「現場の混乱を来たさないようにすること」と「国民の皆様への利益(ユーザー負担の軽減)」の両立が重要だと述べた。
公明党独自の提案「政府系ファンド」:財源創出へ新たな発想
参院選中の公明党独自の公約であった「政府系ファンドの創設」について、西田幹事長は「財源を作り出す」ための「これまでとは違う発想」の重要な取り組みであると強調した。今後の検討事項として、「何を原資にするのか、どのような運用体制にするのか、実際何にこれを使っていくのか」等について詳細を詰める必要があり、与党内だけでなく野党にも呼びかけ、議論を進めていく方針を示した。
総括:国民の「前向きに進めてほしい」民意に応える
西田幹事長は、参院選の結果を受け、特に物価高対策としての給付の迅速な実施に強い意欲を示した。給付の公平性を確保するためのインフラ整備の必要性にも言及し、資産把握の重要性を指摘したことは注目される。また、企業・団体献金規制強化や選挙におけるSNS規制、ガソリン暫定税率、政府系ファンド創設といった喫緊の課題に対し、与野党間の協調や超党派での議論を通じて、具体的な政策推進を目指す姿勢を鮮明にした。特に給付については、年内の開始を目指し、秋までに詳細設計と予算編成を終えるという具体的なスケジュール感を示した。首相の進退については首相自身が決めることとしながらも、政治が物価高対策に「きちんと前向きに進めてほしい」という国民の強い民意に応えるべきであるとの考えを強調した。
公明党幹事長・西田実仁氏の会見からは、参院選で示された国民の物価高への不安に迅速に対応するべく、「給付」を柱とした対策を年内に実現させる強い意欲が感じられる。一方で、長年の課題である「政治とカネ」の問題や、SNS時代の選挙制度といったテーマにも、超党派での議論を促す姿勢を見せている。果たして、公明党が主導するこれらの政策は、日本の政治をどのように動かし、国民生活にどのような変化をもたらすのだろうか――。
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