日本保守党は、定例記者会見で参議院議員に初当選した百田直樹代表と北村春男氏を紹介し、今後の衆議院選挙や様々な選挙を見据えた人事異動を発表した。百田代表は「私が死ぬのが早いか、日本が終わるのが早いか、とにかく日本が終わる前に何とか頑張りたい」と決意を述べ、北村参議院議員は、ガソリン減税法案について「11月1日というデッドラインをさらに遅らせることは絶対に飲めない」と述べ、立憲民主党の調整案であればギリギリ共同提出に加わることになったと説明した。また、北村氏は石破総理に対するSNSでの「醜く奇妙な生き物」という発言の真意を「政治家としてのスタイル・姿勢」を指すものだと説明し、スパイ防止法の必要性を強く訴えた。皇位継承問題については、「男系男子を基本とした皇位継承」を強く主張し、「女系天皇」を認めることは「皇室制度を破壊しようとする『隠然の勢力』の作戦」だと警鐘を鳴らした。
党勢拡大へ向けた人事異動とガソリン減税法案へのこだわり
記者会見の冒頭では、新しく参議院議員となった代表の百田直樹氏と北村春男氏が紹介され、今回から両名揃っての出席となったことが述べられた。また、今後の衆議院選挙や様々な選挙を見据え、党勢拡大と党員掘り起こしを進めるための人事異動が発表された。具体的には、組織運動本部長兼東北地区統括に梅原克彦氏、東京都第29区支部長に小坂英二氏、東京都第8区支部長に大谷司郎氏、群馬県第2区支部長に伊藤純子氏、組織運動本部部長福井担当に大坂幸太郎氏が就任する。
本日午前8時から行われた8会派の政策担当者協議会では、ガソリン減税法案(暫定税率廃止法案)について協議が行われた。主要テーマは法案提出で一致しているものの、「いつから実施するか」で意見の相違があったという。
日本保守党の主張は「遅くとも10月1日実施でなければならない」というものだ。昨年12月11日に自民・公明・国民民主間で暫定税率廃止が決定された際、具体的な実施時期が明示されず、自民党は先送りする姿勢であった。国民民主党も「今年の年末を目途に」と消極的だったと日本保守党は指摘する。しかし、日本保守党は、6月に提出された法案では7月1日施行が可能とされていたこと、また参議院選挙で野党の減税主張が有権者に支持されたことを踏まえ、10月1日施行を強く主張した。
協議の結果、主要野党である立憲・国民民主・維新との協議の結果、立憲民主党の調整案として「11月1日施行、ただし10月中は補助金投入方式で実質的に暫定税率廃止と同等の金額まで引き下げる」という妥協案が提示された。これに対し、日本保守党は「11月1日というデッドラインをさらに遅らせることは絶対に飲めない」ものの、立憲民主党がまとめた案であればギリギリ共同提出者には加わることになったと説明した。8月1日から臨時国会が始まるが、会期が不明であるため、日本保守党としては即時提出と速やかな採決を求めていく方針だ。
百田代表の「命をかけた戦い」と北村議員の「醜く奇妙な生き物」発言の真意
初当選し、今日から参議院議員としての任期が始まった百田直樹代表は、6年間という任期の長さに触れつつ、「私が死ぬのが早いか、日本が終わるのが早いか、とにかく日本が終わる前に何とか頑張りたい」と決意を述べた。少数野党であるため、数の力で法案を提出させることは困難であると認識しつつも、「日本を豊かに強く」を目標に、政策で一致する野党や自民党の一部議員とも協力しながら、法案の共同提出や議員立法の提出に精力的に取り組む方針を示した。その過程で、国民が求める課題や国の重要な問題に対し、いかに後ろ向きで使命感のない、能力のない国会議員が多いかを炙り出し、国民に示すことで世論を喚起し、日本の政治を変えたいと抱負を述べた。「6年間、命をかけて戦いたい」と強い覚悟を示した。また、選択的夫婦別姓問題において、島田洋一議員が一人で法案提出を阻止した例を挙げ、少ない声でも指摘すれば政治が動くことを強調した。
北村参議院議員は、参議院の国対委員長会議で意見を求められた際、参議院選挙で石破政権に対する「ノー」が突きつけられた以上、問責決議案のような生ぬるいものではなく、「内閣不信任決議案を提出し決議すべきである」と主張したことを明らかにした。
石破総理に対する自身のSNSでの発言(「醜く奇妙な生き物」)について問われ、その真意を説明した。これは、石破総理が過去の発言を覆し、その理由説明がないことに対する「率直な感想」であると述べた。具体例として、衆議院解散権に関する従来の主張と、首相就任後の即時解散の際の理由説明の欠如を挙げた。また、過去に選挙に敗れた際の他首相に対する自身の批判(「選挙を舐めるな」「首相の座にしがみつくのは筋が通らない」)と、今回の自身の3連敗(国政選挙2回含む)にもかかわらず続投する姿勢との矛盾を指摘した。「政治的空白を作ってはいけない」という続投理由を「論理が破綻している」と断じ、これは「人格に根差している」「醜悪な人柄」とまで言い切った。この発言は、石破総理の「生き方」や「政治家としてのスタイル・姿勢」を指すものであり、外見に対する批判ではないことを強調した。
さらに、北村議員は「スパイ防止法」への取り組みについて言及した。スパイ防止法の必要性を強く訴え、これまで多くの政治家がメディアの批判を恐れてこの問題に触れてこなかったと指摘した。自身のSNS発言に対する批判のタイミングと、スパイ防止法に関する発信のタイミングが「奇妙に合致している」と感じているとし、メディアの攻撃を恐れずに主張していく覚悟を示した。
皇位継承問題:男系男子と「保守」の定義
皇位継承問題について、日本保守党は「男系男子を基本とした皇位継承」を強く主張する。女性天皇の是非については、基本的に女性天皇は認めていない。過去の女性天皇の例についても、多くは配偶者が交代または天皇であり、未婚の女性天皇は生涯独身で終わったケースが多いことから、「女性天皇は女系天皇を生む危険性や、本人の結婚の可能性を縛る可能性もある」と指摘した。「女系天皇」という言葉自体が近代の共産党が作った言葉であると指摘し、これを認めることは皇室制度を破壊しようとする「隠然の勢力」の作戦であると警鐘を鳴らした。
女性皇族の身分保持問題に関しては、与野党の皇位継承協議会において、日本保守党を除く全会派が「男系男子継続のための皇室典範改正(養子縁組を可能にする)」と「女性皇族が結婚後も皇室に残ること」の二つを抱き合わせで賛成している現状を問題視している。日本保守党は、後者は男系男子の継続とは本来切り離すべき問題であり、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持することで、その子どもを皇位継承者とみなす世論が形成され、「結局は皇統が崩れてしまう危険性がある」と強く反対した。「男系男子を守るためには、旧宮家からの養子縁組さえ可能にすれば十分である」と主張し、空気で賛成する他の政党の姿勢を批判した。
「保守」の定義については、「保守とは謙虚なことである」とし、現代人が「自分たちの考えは絶対に正しい」という傲慢な考えを持つべきではないと主張。2000年以上続いてきた皇室の伝統を軽々しく変えるべきではないとした。
その他の質疑応答と閉会の言葉
選挙対策本部については、まだ決まっていないが、流動的なチームとして、選挙の性質に合わせて必要な人材を柔軟に入れ替えながら運用していく方針だという。次期衆議院選挙や再来年の統一地方選挙などを視野に入れている。
石破総理の続投姿勢については、百田代表は自民党内部の問題であるとしつつも、一国民としては「早く退陣してほしい」と明確に述べた。「石破政権になってから何一つ良いことをしていない」と批判した。北村議員は、石破総理の続投姿勢について「人としてのあり方として恥も外聞もなくなった人間は無敵」と強く批判した。内閣不信任案の提出については、百田代表は個人的には内閣不信任案に賛成したい気持ちであると述べた。
百田代表の健康状態については、31日に精密検査を受け、その結果次第で手術の可能性もあるが、国会会期中であることを考慮し、国会が終わる頃には対応したいとした。
SNSでの表現について(再確認)として、北村議員と百田代表は共に、「醜く奇妙な生き物」という表現は石破総理の「人柄」や「人格」、政治家としての「生き方」や「姿勢」を指すものであり、外見を批判する意図ではないことを重ねて強調した。
質疑応答が終了し、記者会見を締めくくるにあたり、百田代表は「バッチがついても何ら変わらなかった」とし、今後も変わらぬ姿勢で活動していくことを示唆した。また、次回の定例会見は国会会期中のため、日程調整が必要となる旨が述べられた。
日本保守党の会見からは、参議院議員としての活動が始まった百田代表と北村議員の強い決意と、独自の政治思想が明確に示された。特に、ガソリン減税への強いコミットメントや、石破総理への辛辣な批判、そして皇位継承問題に対する揺るぎない「男系男子」の主張は、今後の国会での存在感を際立たせるだろう。はたして、少数野党である日本保守党は、百田代表が語る「命をかけた戦い」を通じて、日本の政治にどのような変化をもたらすことになるのだろうか――。
コメント