日本保守党事務総長の有本香氏が、参議院選挙に向けた党の重点公約について説明した。有本氏は、日本保守党が結党以来掲げてきた37の重点政策項目は「選挙があろうがなかろうが変わらない」と述べ、選挙のためだけに政策を変えることはないと強調した。今回の参院選では、その中から特に「食料品の消費税ゼロ」、「再エネ賦課金の廃止」、「移民政策の是正」の三つを重点公約として掲げ、長引く「失われた30年」からの脱却を目指すと訴えた。
変わらない日本保守党の哲学──「失われた30年」からの脱却
有本氏は、日本保守党が結党から1年9ヶ月が経過しても、その政策の根本は変わっていないことを強調した。百田直樹代表が「今の政治を見てられない」と立ち上げた時の精神が、今も党の活動の根底にある。選挙の度に政策をコロコロ変える政党が多い中で、「結党の時にこれを必ず実現するぞといったものをですね選挙の度に掲げてそしてなんとか実現に導いていく」ことが日本保守党の目標だと述べた。
今回の参院選では、これまで掲げてきた37の重点政策項目の中から、国民の生活に直結する三つの政策を特に強く訴えていく方針を示した。これは、国民の「痛みが強くなっている」現状を鑑みての選択である。
国民の負担を軽減する経済政策──食料品の消費税ゼロ
一つ目の重点公約は「食料品の消費税ゼロ」だ。有本氏は、過去30年間にわたり日本の経済がほとんど成長せず、国民の所得も上がっていない状況を問題視し、その原因の一つとして消費税を挙げた。
特に、食料品価格の高騰が国民生活を圧迫している現状に触れ、昨年だけでも「1万2520品目が平均17%値上がりしてる」と指摘した。これに伴い、軽減税率が適用されている食料品の消費税8%分も実質的に増税されていることになり、「日々増税されてるのと一緒なんです」と批判した。このような状況は「国民に対する一種の拷問みたいなもん」であり、「こんなことしてたらですねどんどん個人消費は縮みますよ」と警鐘を鳴らした。
日本保守党は、食料品への消費税を「まず一旦ゼロにして、そしてこれを恒久的に続けていこう」としている。さらに、軽減税率の対象外である酒類についても「できれば一緒にゼロにしよう」と述べ、国民の消費を喚起し、経済成長のきっかけにしたい考えを示した。食料品は日々の生活に不可欠なものであり、諸外国でも消費税がゼロの例があることを踏まえ、「食料品への消費税は今後恒久的にゼロにしていこう」と強調した。
エネルギーの安定と経済安全保障──再エネ賦課金の廃止
二つ目の重点公約は「再エネ賦課金の廃止」だ。日本の電気代が過去10年間で約2倍に増加している現状に対し、国民の所得が上がらない中で電気代が上昇していることは「国民が使えるお金がないのはこういうことに起因してる」と指摘した。電気代を下げ、「安定的な電源を取り返そう」と訴える。
現在の政府のエネルギー基本計画では、再生可能エネルギー比率を現状の約26%から40%まで引き上げるとしているが、有本氏は「こんなことしたらますます電源は不安定になって電気代は上がります」と批判した。
さらに、毎月の電気料金に上乗せされている再エネ賦課金について、「年間2兆円ぐらい我々から持って行ってんですね。そのうちの6割は中国にの懐に入ってる」という試算があると述べ、「これ日本人のためとか日本を豊かにするためではなくて、隣の国を豊かにするためにやってるんじゃないですか」と、その不透明性と問題点を厳しく追及した。「こういうものをやめよう」というのが、日本保守党の強い主張である。
国民生活と安全保障の危機──移民政策の是正
三つ目の重点公約は「移民政策の是正」である。有本氏は、人手不足を理由に外国人労働者の受け入れが進められている現状が、「関東の一部地域では大変な住民との間で軋轢を起こしている」と指摘した。これは政府が「移民政策というものをきちんとまず設計してないからなんです」と、政府の無策を批判した。
有本氏は、全ての外国人を排斥するわけではないとし、「日本のルールを当然守り、日本の価値観を尊重して、日本人と仲良く、日本の社会にも貢献できるようにと働いていただく外国人であれば私たちは全く大歓迎」であると述べた。しかし現状は、「そうではない方たちもどんどん入れる政策になっている」ため、「住民の人たちはたまったもんじゃありません」と、地域住民の苦悩を代弁した。
埼玉県のある町でのアンケート調査を例に挙げ、住民の半数以上、20代女性に限れば7割以上が「治安が悪いと感じている」と回答している現状を示し、「こんな街がですね、どんどん日本で増えていったらどうなりますか」と危機感をあらわにした。
さらに、移民政策や外国人による不動産投資が「安全保障の上からも危ない」と指摘。「外国から経済侵略を受ける、あるいは人が入ってきて一種の人口侵略を受ける。これも安全保障という観点で考えなければいけないこと」だと強調した。安全保障は武力による防衛だけでなく、「経済だとか文化だとか様々な面で日本が変用させられてしまうということも防がなければいけない」と述べ、多角的な視点から移民政策の是正の必要性を訴えた。
日本保守党事務総長・有本香氏の訴えは、消費税、エネルギー、移民という、いずれも国民生活と日本の未来に直結する喫緊の課題に焦点を当てたものだった。特に、これらの問題を単なる経済や社会問題として捉えるだけでなく、「安全保障」という広い視点から捉え直している点が特徴的だ。
はたして、有本氏が掲げる三つの重点公約は、国民の共感を呼び、長引く「失われた30年」に終止符を打つきっかけとなるだろうか――。来る参議院選挙は、日本の将来の方向性を決める重要な機会となる。
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