株式会社山猫総合研究所代表・三浦瑠麗が斬る!参院選終盤の自民党低迷と参政党躍進の裏側──「国論を割るスタイル」を失った政権の末路

株式会社山猫総合研究所代表・三浦瑠麗が斬る!参院選終盤の自民党低迷と参政党躍進の裏側──「国論を割るスタイル」を失った政権の末路 最新ニュース
株式会社山猫総合研究所代表・三浦瑠麗が斬る!参院選終盤の自民党低迷と参政党躍進の裏側──「国論を割るスタイル」を失った政権の末路

株式会社山猫総合研究所代表の三浦瑠麗氏が、参議院選挙終盤の政治情勢を分析する。現在の自民党が、安倍政権下の「国論を割るスタイル」を失ったことで、支持層を動員できずに弱体化していると指摘。一方で、参政党の躍進は「日本を分断する論点の不足」と有権者の「経済政策をみんながちゃんと見ていない証拠」だと喝破する。今後は「多党乱立の時代」が到来し、「連立工作」が常態化すると予測し、日本の政治の大きな転換点になると語る。

自民党弱体化の背景――失われた「国論を割るスタイル」

参議院選挙を目前に控え、株式会社山猫総合研究所代表の三浦瑠麗氏は、自民党の弱体化の背景には、安倍政権が築き上げた「国論を割るスタイル」が失われたことがあると指摘する。

三浦氏は、2012年からの第二次安倍政権を「黄金期を築いてきたわけですね」と振り返る。安倍政権は「短期的な政権の積み重ね」によって、衆議院選挙を小刻みに繰り返すことで「民意を再調達」し、その間に「安保法制」のような改革を進める手法をとった。

しかし、菅政権、岸田政権へと続く中で、安倍路線の経済政策や同盟強化は継承されているものの、安倍氏の「国論を割るスタイル」や「争点提示のやり方」、あるいは「争点そのもの」が継承されていないと三浦氏は分析する。岸田氏や石破氏には「何がしたいか分からない」という批判があり、彼らが選挙において国民を二分し、支持を集める方法を理解していないと指摘される。三浦氏は、「これ政治の本質なんですけど敵が必要なんですよ」と述べ、現在の自民党には、かつて小泉純一郎氏が郵政解散で行ったような「敵」を設定し、国民を「こちら側」と「あちら側」に分けることで投票へと向かわせる能力を持つ人物が「誰もいない」と語る。

現在の自民党は具体的な争点を打ち出せず、消極的な危機感を争点にしているように見受けられると三浦氏は指摘する。これは、選挙において敗北を招く戦略である。自民党全体の弱体化は、安倍長期政権下での「甘え切ってしまったつけ」が回ってきたものだと分析された。

参政党躍進の背景――「日本を分断する論点の不足」と経済政策への無関心

今回の参議院選挙では、参政党の躍進が目立つ。三浦氏は、その背景に「日本を分断する論点の不足」があると指摘する。「今までも参政党はいたんですよそこに。だけど上がってこなかったのは他に日本を分断する争点があったからですね」と語るように、かつては安全保障など、各党が明確に対立する争点が存在したが、自民党が主体的に争点を設定しなくなったことで、空白が生じたという。

また、参政党が躍進している背景には、有権者が「経済政策をみんながちゃんと見てない証拠」であると三浦氏は指摘する。れいわ新選組と参政党は経済的には対極にある(れいわは急進左派、参政党は保護主義的保守)にもかかわらず、両党の間で支持が移動している現象が見られるという。

れいわ新選組が「社会政策的価値観」や「憲法上のイデオロギー」を意図的に薄め、経済的な利害(貧困対策など)に焦点を当てた結果、かつて左派だった人々が参政党のような「何かを守りたい」と考える「古いタイプの保守層」に流れている可能性があると分析する。参政党は、自民党に失望した層や、れいわ新選組、国民民主党へと一時的に流れた層の受け皿となりつつあるが、主に「もはや成長を必要としていない人々で、社会的には何かを守りたいと思っている人々」という「古いタイプの保守」が主な支持者となると見られている。

多党乱立時代の到来と今後の政局

三浦氏は、今後「多党乱立の時代というのはすぐそこまで来ましたので、これからは連立政権、連立工作というのが常態化するようになるのかなと思いますね」と予測する。

自民党が弱体化した現状から脱却するためには、自ら「国論を割る争点」を作り出し、それを担うリーダーを育成する必要があるが、そのためには「2、3年下野」するような準備期間が必要となるという。しかし、現状ではそれが容易ではないと指摘する。

また、自民党と立憲民主党が年金問題で合意したことは、中長期的な影響を考慮すると「大連立」の可能性も示唆すると三浦氏は語る。しかし、現状の各党の人材関係や党内の合意形成を考えると、困難である。

はたして、自民党は「国論を割るスタイル」を取り戻し、再び「力強い黄金期」を築けるのだろうか――。

株式会社山猫総合研究所代表・三浦瑠麗が斬る!参院選終盤の自民党低迷と参政党躍進の裏側──「国論を割るスタイル」を失った政権の末路

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