兵庫県議会議員・増山誠が徹底解説!「参院選の仕組みと政党要件、あなたの1票が持つ意味」

兵庫県議会議員・増山誠が徹底解説!「参院選の仕組みと政党要件、あなたの1票が持つ意味」 最新ニュース
兵庫県議会議員・増山誠が徹底解説!「参院選の仕組みと政党要件、あなたの1票が持つ意味」

兵庫県議会議員である薬師堂の会代表の増山誠氏が、参議院議員選挙の仕組みと、有権者が「何に対して投票すればいいのか」という点を分かりやすく解説する。今回の選挙は全国で125議席を争うこと、そして各政党が「2%の特票を目指す」理由である「国政政党」の要件について詳しく述べ、有権者がより政治に関心を持つきっかけとなるよう訴える。

参院選は「二つの選挙」が行われる

増山氏によると、参議院議員選挙は実質的に「二つの選挙が行われる」仕組みになっている。一つは「選挙区の選挙」、もう一つは「全国の比例代表の選挙」だ。投票所に行くと、まず選挙区の投票用紙、次に全国比例代表の投票用紙が渡される。

選挙区は各都道府県が選挙区となり、人口に応じた議席数が割り当てられる。例えば兵庫県では約540万人に対し、3議席が配分されている。一部の人口が少ない地域では、鳥取と島根、徳島と高知のように、二つの県で一つの選挙区を構成しており、全体で45選挙区が設定されている。

もう一つの比例代表選挙は、「全国を1つの選挙と見立てて」行われる。比例代表の投票方法は二通りあり、投票用紙に「個人名を書いてもいいし、政党の名前を書いてもいい」のが特徴だ。書かれた政党名と個人名の票が合算され、その合計票数に応じて各政党に議席が配分される。

この議席配分は「ドント式」という方法で決められる。例えば、合計6人の当選枠があった場合、各政党の得票数を1、2、3…と割り、その商が大きい順に議席を割り振っていく。これにより、政党が得た総得票数に応じた議席数が決まる仕組みだ。

ドント式の事例

ドント式の事例

比例代表で政党の議席数が決まった後、初めて個人名が書かれた得票数が生きてくる。「党内での個人名書いてもらう争いというのが非常に熾烈になっております」と増山氏は述べ、候補者が支援者に「必ず個人名で書いてください」と依頼する背景には、党内での当選順位を上げる狙いがあることを明かす。そのため、有権者には「もしね、比例代表を入れてくださいねというお願いをされたら、ま、個人名を是非書いてあげていただきたい」と呼びかけた。

国政政党の条件と2%の壁

各政党が選挙で目指す重要な目標の一つに「国政政党の要件を満たす」ことがある。これは、「有効相当投票数の2%」の票を、選挙区または比例区のいずれかで獲得すること、そして「国会議員が1人以上いること」が条件だ。

例えば、現在国会議員を擁するNHK党は、今回の選挙で選挙区または比例区の総得票数の2%以上を獲得すれば国政政党として認められる。一方で、社民党のように現在は国政政党であっても、今回の選挙で2%以上の得票ができなければ「国政党の要件を失う」という、非常に重要な局面を迎えている政党もある。

増山氏は、NHK党が「今回選挙47件全てに候補者を出している」ことを挙げ、全国の選挙区の合算で2%を目指していると説明する。また、日本保守党のように選挙区候補が少ない政党の場合、支持者が「自分の選挙区に支援している政党の候補者がいない」という状況も起こりうる。このような「浮いてしまった票」を、特定の政党に入れることで、その政党が国政政党要件を満たす助けになるという連携の可能性も指摘された。

国政政党になることの大きなメリット

なぜ各政党が国政政党になるために必死になっているのか。それは、「非常に大きな優遇が受けられる」ためだ。

  • 資金面: 個人から「2000万円まで寄付を受けられる」ようになり、それが税金控除の対象となる。また、「企業団体からの献金」も受け入れ可能になる。国政政党でない場合は、個人から150万円までしか受けられず、税金控除も受けられないため、「資金的にも余裕ができる」という大きな違いがある。
  • 候補者擁立: 国政政党でない場合、「選挙区と比例区合わせて10人以上の候補者を立てないと比例代表に候補者を出すことができない」という制約がある。これにより、候補者擁立のハードルが大幅に下がり、選挙戦略の自由度が広がる。

「特定枠」と選挙戦略の多様性

参議院選挙の比例代表には、「非拘束名簿式」と「特定枠」という二つの名簿方式がある。

  • 非拘束名簿式: 候補者全員が「当選順位登録1番」として扱われ、全員が平等に票を争う方式だ。有権者が書いた個人名の得票数が多い順に当選していく。
  • 特定枠: 政党が「この人だけは絶対に当選をさせたい」といった思惑がある場合に設定できる制度だ。特定枠に指定された候補者は、その政党が1議席でも確保すれば、たとえ「投票した人が1票であってもその政党が1席でも確保していればその人が当選する」という仕組みだ。増山氏は、「1票の人が受かる」可能性があると述べ、特定枠がいかに強力な制度であるかを強調する。

各政党は、これらの名簿方式を戦略的に使い分け、「選挙戦を戦っている」と増山氏は解説する。このような選挙の仕組みを知ることで、「選挙戦も楽しく興味を持っていただけるのではないか」と、有権者の政治への関心を促した。

参議院議員選挙は、選挙区と比例代表という二つの側面から構成され、各政党は「国政政党」の要件獲得を目指し、熾烈な戦いを繰り広げている。特に、比例代表における個人名票の重要性や、特定の候補者を確実に当選させるための「特定枠」といった制度は、複雑な選挙戦略の一端を垣間見せる。有権者がこれらの仕組みを理解することは、自らの1票の重みを再認識し、より主体的に政治に参加するきっかけとなるだろう。

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