公明党党中央幹事の伊佐進一氏が、自らを「最強落選議員」と称し、忖度なく公明党の政策を説明した。伊佐氏は、現在の物価高騰に対し、減税か給付かという二者択一ではなく、「減税もやるし給付もやるんですよ」と、両面からの対策を強調した。特に、減税には時間がかかるため、「その間に物価高騰対策何すんねんという話になるので、減税もやるけど給付もちゃんとやる」のが公明党の案だと説明した。さらに、子育て支援だけでなく、これまで手薄だった「働いている世代」の負担軽減にも力を入れると述べ、給付金や住宅手当、奨学金返済減税などの具体策を提示した。
「最強落選議員」の決意──忖度なき政策提言
伊佐氏は、冒頭で自らを「最強落選議員」と名乗り、「忖度する必要が全くないので、ガンガン与野党協議の中身も含めて攻めていきたい」と、率直な政策提言を行う決意を表明した。
物価高騰対策について、減税か給付かという議論に対し、「違います。我々は減税もやるし給付もやるんですよ」と断言した。減税は、税システム変更に時間がかかるため、特に零細企業まで公平に適用するには「消費税だと1年はかかります」と説明。その間の物価高騰対策として、「減税もやるけど給付もちゃんとやる」のが公明党のスタンスだと述べた。
給付金については、「ばら撒きだ」という批判に対し、過去5年間で「10数回やってます」と反論。子育て支援やコロナ禍、消費税増税時など、様々な局面で給付金を実施してきた実績があると強調した。
物価高騰対策の具体策──食費・電気・ガス・ガソリンの負担軽減
伊佐氏は、物価高騰で特に苦しいのが「ガソリンで、1つは電気ガス代で、もう1つは食費」だと分析した。電気代とガス代については「今月から国のお金が入ります」とし、一般家庭で3ヶ月間に約3,000円の負担軽減になると説明。ガソリン代も「リッター10円入ります」とした。
そして、最も負担が増加している食料品について、「1世帯あたり大体平均2.45人」で割ると「1人当たり2万円」の給付となり、「食費は全部上がった分見ます」と、実質的に値上がり分を国が補填する形になると説明した。さらに、子どもがいる世帯では「子供は1人4万円」を給付し、住民税非課税世帯にも「4万円」を給付すると述べた。
自身の4人家族(子ども2人)をモデルケースに試算すると、「全部で12万円の負担減になります」と、公明党案が国民民主党・共産党の消費税一括引き下げ案(年間11万4000円の負担軽減)や、立憲民主党・維新の食料品消費税ゼロ案(年間6万円の負担軽減)よりも「一番得すんのは実は自民公明案になってます」と強調した。特に「子育て世代と年金暮らしの皆さんはかなり我々の案が得する」との見方を示した。
給付だけでなく減税も進めるとし、自動車関連税制の簡素化や「ガソリン暫定税率の廃止」を公約に掲げた。12月には「ちゃんと決めます」と、実施への意欲を見せた。その他、基礎控除の引き上げや奨学金返済の減税なども行うと述べた。
働く世代への支援強化──「何もがない」層への手厚い施策
伊佐氏は、これまでの自公政権が「子供子育て支援が中心だった」と認めつつ、不妊治療の保険適用、妊娠時の10万円給付、出産育児一時金の50万円への引き上げ、有給取得時の賃金10割保障、誰でも通園制度の開始、幼児教育・保育の無償化、高校の実質無償化、児童手当の18歳までの拡充と所得制限撤廃など、様々な子育て支援策を実現してきた実績を挙げた。
特に児童手当については、子ども3人の場合、18年間で「1000万超える世界ついに作ったんです」と述べ、日本の少子化対策予算がOECDトップのスウェーデンに並んだと説明した。
しかし、その一方で、「子供うちないねん、子育てが終わった、あるいは夫婦だけ、あるいはお1人様とかこういうご家庭には何もないわけですよね」と、子育てが終わった世代や一人暮らし、夫婦のみの世帯への支援が手薄だったことを認めた。「なんか税金取られて高い保険料取られてそっから奨学金返済してる人はさらに取られる。こういう人たち国は一体何してくれんねんというお声を公明党は受けてます」と、これらの層の切実な声に耳を傾けていると述べた。
その上で、公明党の新たな公約として、これまで住宅ローン減税の恩恵を受けられなかった「家賃で払ってる人にも住宅手当を創設します」と発表した。さらに、「奨学金の返済や減税」も掲げ、奨学金返済中の人々の所得税控除を実現するとした。
保険料の負担減については、「自民公明維新で保険料負担下げましょうってのは合意してるわけですよ」と述べ、他党との連携の可能性を示唆しつつも、維新の会が具体的な削減策を提示していないことについては、「超党派で議論せなあかん」と提言した。
財源は「探す」から「育てる」へ──基金運用と外為特会の活用
伊佐氏は、政策実現の際に常に問われる「財源」について、「財源を探すから育てる」という新たな視点を提示した。
一時的な給付金と恒久的な減税では財源の性質が異なると説明し、恒久的な減税には「恒久的な財源がいる」と述べた。そして、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用益に注目し、現在「250兆運用して155兆円の利益が上がってます」と指摘。こうした基金の運用を適切に行うことで「財源生み出せんのちゃうかと」と提案した。さらに、外為特会(外国為替資金特別会計)が保有する約140兆円の資産を運用することで「財源を生み出せる」可能性についても言及した。
伊佐氏は最後に、「やると言ったらやりきる公明党ちゃんとやりますので絶対損はさせません」と、公明党の実行力をアピールし、国民への支持を呼びかけた。
公明党党中央幹事・伊佐進一氏のプレゼンテーションは、物価高騰対策における「減税も給付もやる」という包括的なアプローチを強調し、子育て世代だけでなく、これまで支援が行き届きにくかった働く世代への手厚い施策を打ち出すものだった。財源についても、既存の資産運用による「育てる」という新たな視点を提示しており、実行力と具体性を前面に出した訴えだ。
はたして、公明党が提示したこれらの政策は、国民の多岐にわたる不安に応え、来る参議院選挙で有権者の支持を得ることができるだろうか――。
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