元警視庁公安捜査官・勝丸円覚が語る!日本は「スパイ天国」──潜む脅威と巧妙な手口

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元警視庁公安捜査官の勝丸円覚氏は、日本が「スパイ天国」と呼ばれる最大の理由は「スパイ活動防止法がありませんのでスパイ活動そのものが定義がない」ことだと指摘する。スパイは逮捕されても軽微な罪でしか処罰されず、日本での活動は「心理的に楽な」環境だと認識されているという。SNSを通じた勧誘や「背乗り」といった巧妙な手口が横行し、新幹線テロのような計画も未然に防がれてきた実態を明かした。

「スパイ天国」の真実──法律不在の脆弱性

勝丸氏は、日本が「スパイ天国」と評される最大の理由について、「日本はスパイ活動防止法がありませんのでスパイ活動そのものが定義がないです」と断言する。この法的な空白が、スパイ活動を非常に困難にしているという。スパイが逮捕されたとしても、窃盗罪や横領罪など、刑罰の軽い罪状が適用されるに留まるのが現状だ。過去には、北朝鮮のスパイが韓国で逮捕され死刑判決を受けたにもかかわらず、日本で逮捕された際には入管法違反という軽微な罪で処罰された事例があったと語る。

このような状況から、スパイ組織にとって、日本での活動は「心理的に楽な」環境であると認識されているという。スパイ活動防止法の制定が困難な背景には、戦前の特別高等警察による思想取り締まりに対する根強いアレルギーが存在することも指摘された。しかし、勝丸氏は、報道されない水面下で公安警察が「潰してるから」「未然に防いでるから」と述べ、スパイ活動やテロ計画が実際に阻止されている実態があることを示唆している。

巧妙化するスパイの手口──SNSと「背乗り」の脅威

スパイ活動の手口は巧妙化しており、その形態も多様だという。

SNSを通じた勧誘と海外での拘束

最近の新たな手口として「SNSを通しての勧誘リクルート」が挙げられた。自身の経歴や専門分野を公開している人物に対し、接触を図る手口だという。また、日本人が海外(特に中国)で拘束される事例では、「写真撮影、動画撮影がきっかけで身軽拘束されている」ケースが多いとされている。

恐るべき「背乗り」の実態

さらに深刻な脅威として「背乗り(戸籍乗っ取り)」の実態が語られた。これは他者の戸籍を乗っ取り、日本人になりすましてスパイ活動を行うもので、実際に過去に行われ、現在も続いていると考えられているという。

具体的な事例として、ロシアのスパイが日本人の男性の戸籍を乗っ取り、貿易商として活動していた事件が紹介された。このスパイは外見が日本人と似た朝鮮族の人物で、日本語も堪能だったという。背乗りのターゲットになりやすいのは「身寄りのない方」で、特に40〜50代の人物が狙われやすいとされている。これは、本人が突然いなくなっても騒がれにくいためだという。そして、背乗りが発覚しないよう、ターゲットの遺体が出ないように処理されることが多いと指摘された。

新幹線テロ計画の阻止

スパイ活動は情報窃取だけでなく、テロ計画にも及ぶという。新幹線は、海外のテロ組織にとって「実績になったり評判になったりする」ため、テロの標的になる可能性が指摘されている。実際に、2002年の日韓ワールドカップ開催時、アルカイダが具体的なテロ計画を立てていたことが明らかになったと語る。公安警察がこれを事前に察知し、爆発物を製造していたマンションを監視・制圧したことで未然に防がれたという。この事件は、逮捕容疑を「入管法違反」とするなど、報道されない形で処理された。

日本が標的となる理由と市民の対策

スパイ活動の標的は、日本の機密情報に留まらない。勝丸氏は、「日本はアメリカや韓国とも情報交換、自衛隊もしていますよね」と述べ、自衛隊とアメリカ軍や韓国軍が共有している情報を盗むことが狙われるケースがあると指摘する。他国から見れば、日本は情報窃取の拠点になりかねず、アメリカや韓国から「しっかりしてくれよ」と見られている可能性が示唆された。

一般市民がスパイ活動に巻き込まれないためには、以下の点が重要だと強調する。最も重要な対策は、「スパイの手口とかスパイ組織の特長っていうのをまずは知っていただく」ことだ。また、SNSで個人の経歴や専門分野を公開する際には、悪用される可能性があることを認識しておくべきだという。

スパイ防止法制定への複雑な提言

勝丸氏は、スパイ活動防止法の必要性を認識しつつも、その制定には慎重な姿勢を見せた。その理由として、「何をスパイ活動にするのか」や「メディアの関係者が通常取材をすることとの違いをどうするのか」といった線引きが非常に難しいことを挙げる。

そして、現場を経験してきた立場から、「公安外事警察にフリーハンドの権限を持たすと暴走した時に怖い」との懸念を表明した。過去の冤罪事件の例も挙げられている。そのため、法律を制定するのであれば、「検察官の審査を入れるとか令状が必要だとか要件はきちっと定めるべきだ」と提言した。司法の審査が入り、令状の要件が定められることで、警察権力の暴走を防ぐべきだという考えだ。

勝丸円覚氏の証言は、日本が「スパイ天国」と呼ばれながらも、公安警察による水面下の活動によって多くのテロやスパイ活動が未然に防がれてきた実態を明らかにした。しかし、スパイ活動防止法の不在や「背乗り」といった巧妙な手口の存在は、依然として大きな課題だ。国民一人ひとりがスパイ活動の手口を知り、注意を払うことの重要性が強調される。はたして、日本の安全保障を巡るこの喫緊の課題に対し、政府は国民の自由と安全のバランスを慎重に考慮した厳格な規定を持つスパイ防止法を制定できるのだろうか――。

元警視庁公安捜査官・勝丸円覚が語る!日本は「スパイ天国」──潜む脅威と巧妙な手口

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