作家の門田隆将氏が、自民党内で進行中の石破茂首相に対する「辛辣な批判」と、辞任を求める熾烈な攻防を解説する。参院選での大敗は、「本来の自民党の岩盤支持層が自民党を見捨てた」結果であり、その背景には、自民党が「左翼政治家」に主導されたことにあると指摘。さらに、辞任を拒み続ける石破首相の「自己陶酔」と「深い恨み」が、党のリコールという「前代未聞」の事態を引き起こしていると語る。
辛辣な批判と「リコール」への動き
参院選での大敗を受け、自民党は両院議員懇談会を開催した。門田氏は、この懇談会では石破首相への「辛辣な批判が相次いだ」と語る。出席した議員からは、「首相がテレビに映るとチャンネルを変えてしまう人もいる」といった厳しい意見が出たという。また、「昨年の衆院選から振り返りができていない責任を取るべきだ」と、首相の責任を追及する声が相次いだ。
しかし、執行部はこれを単なるガス抜きと捉え、直後から「両院議員総会」開催を求める署名運動が始まった。真に勝負を決めるためには、全国の支部代表も加わる形での総会が必要だが、執行部はこれに抵抗している。8月7日に開催されるのは、支部代表を含まない形に留まる見込みだ。門田氏はこれを、石破首相が「80年談話」を発表するまでの時間を稼ぎたい、執行部による抵抗だと分析する。
「本来の支持層」に見捨てられた自民党
門田氏は、参院選での大敗の根本原因を、自民党の左傾化にあると指摘する。自民党は「石破氏のような左翼政治家が党内主流となったことで、自民党自身が左に寄ってしまった」のだという。その結果、自民党は初めて「保守派からの攻撃」を受けることとなり、従来の支持層が新興勢力へと流出した。
参政党が555万票、国民民主党が145万票、日本保守党が184万票と、これらの新興勢力が大きく票を伸ばしたことは、「本来の自民党の岩盤支持層が自民党を見捨てた」ことを明確に示していると語る。
辞任を拒む石破首相の「自己陶酔」と「恨み」
門田氏は、石破首相が辞任を拒み続ける理由について、その人物像に深く切り込む。彼は「自己陶酔型シャッター症候群」の典型であり、自分に酔い、都合の悪い意見には「シャッターを閉じる」と評する。
石破首相は、今回の選挙敗北を自身の失敗とは捉えておらず、むしろ「安倍派を潰すのが目的」であり、「この戦略は成功している」と見ている可能性も指摘された。さらに、彼の頭の中には、自身が「左翼政治家としての悲願」である80年談話を発表したいという強い思いがあると分析する。
また、石破氏が3連敗という異例の状況にもかかわらず首相の座に固執し、党則のリコール規定が持ち出されること自体が「前代未聞」の事態だという。彼は「私を殺して国家のために」と口にするものの、実際は「利己欲」や、過去に冷遇された自民党への「深い恨み」で動いていると見られている。
門田氏は、麻生太郎氏が「とことん負けなければ変わらない」と考えていた節があるとし、このまま左翼政権が続くのを待つ戦略をとっていたと分析する。麻生氏の唯一の想定外は、石破氏がこれほどまでに粘るということだったと語る。
「毅然と生きた日本人」の姿を自身の新刊で描く門田隆将氏にとって、今の自民党と石破首相の姿は、それに真っ向から反するものに映る。自民党内で繰り広げられる「石破おろし」の攻防は、単なる権力闘争ではなく、日本の政治の根幹を揺るがす戦いかもしれない。はたして、自民党は自らを蝕む左傾化の病を克服し、「本来の自民党」を取り戻すことができるだろうか――。
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