WBSデスク篠原裕明が解説!自民党と公明党、その連立の裏側と「微妙な関係」

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WBSデスク篠原裕明が解説!自民党と公明党、その連立の裏側と「微妙な関係」

WBSデスクの篠原裕明氏が、YouTubeチャンネルで「自民党、公明党が仲たがいすることはありますか?」という問いに対し、その連立の歴史と現在の「以前ほど仲良くもなくなっている」微妙な関係について解説した。篠原氏は、連立が始まった「1990年代後半から」の経緯を紐解き、両党間の「不満」が顕在化している現状を具体例を交えて説明する。特に、自民党が公明党に国土交通大臣のポストを独占されていることや、昨年の東京での候補者調整における対立など、両党の緊張関係に焦点を当てている。

自公連立の始まり──参議院での過半数割れがきっかけ

自民党と公明党が仲たがいする可能性について、篠原氏は「正直大きいとは言えない」としつつも、「以前ほど仲良くもなくなっている」と現状を分析する。

自公連立が始まったのは「1990年代後半から」だと篠原氏は語る。きっかけは1998年夏の参議院選挙で、当時の橋本龍太郎総理率いる自民党が「参議院選挙で大敗」し、過半数を失ったことにある。これにより、後を継いだ政権は「政権運営に大変苦慮する」状況に陥ったという。具体的な困難として、当時の額賀防衛庁長官に対する問責決議案が参議院で可決された事例を挙げた。閣僚に対する問責決議案が可決されると、その閣僚が出席する必要がある委員会が開けなくなり、国防に関わる重要な問題が議論できなくなるため、「一大事なわけですね」と篠原氏は説明した。

この経験から、自民党は「参議院でやはり過半数を獲得するってことは大事だ」という認識に至る。最初は小沢一郎氏が率いる自由党との「自自連立」を経て、その後公明党とも連立を組むことで「衆参両院での与党過半数を実現する」に至ったという。これが「自公保連立政権」の始まりである。その後、自由党が連立を離脱し、自由党から与党に残ったメンバーで作られた保守党と組む「自公保」政権が小泉内閣前半まで続き、最終的に保守党のメンバーが自民党に戻ることで「自民党と公明党だけの自公連立」が現在の形につながっていると、篠原氏は連立の歴史を詳細に解説した。

2009年から2012年の民主党政権時代には、公明党が「民主党政権側に近づくのではないか」という見方もあったが、公明党はそれをせず、2012年に第二次安倍政権が誕生すると「再び自公連立政権として現在に至っている」と述べる。つまり、「今の自公連立政権のきっかけっていうのは、参議院で過半数に足りないっていう自民党側の事情で始まった」のだと篠原氏は強調した。

平和の党の変容と両党間の不満

20年以上にわたる自公の関係は「盤石にも見える」が、両党の間には様々な問題があると篠原氏は指摘する。かつて「平和の党」と呼ばれた公明党は、第二次安倍政権下で集団的自衛権の行使を認める「平和安全法制」が国会に提出された際に、公明党側が「かなりマイルドなものにするため、安倍さんとか自民党側に、注文をつけた」と主張した。しかし、批判的な見方からは、「公明党はかなり譲歩を迫られていたじゃないか」という声も上がり、「自民党のブレーキ役になっていない。何をされても与党、自民党について与党に残りたい。それが公明党なのか」といった批判も浴びたと篠原氏は解説した。

公明党側からは、最近相次ぐ自民党の「政治と金に関するネガティブなイメージ」が、「連立パートナーである公明党も受けている」ことへの不満が聞かれるという。一方で、自民党側にも公明党への不満がある。公明党の「集票力が以前ほどは高くない、はっきり言えば近年は下がっている」という不満がある一方で、衆議院の小選挙区での公明党の協力は「ありがたい」と自民党は認識している。しかし、「集票力が下がっているにも関わらず、自民党側に協力の見返りにあなたたちの持ってる選挙名簿、有権者の名簿を出せ」といった要求が来ることに「厳しいんだよね」という不満の声が聞かれるという。

加えて、自民党側のもう一つの大きな不満は、「国土交通大臣のポストを公明党がここ10年ほど独占している」ことだという。国土交通大臣のポストは「地方の公共事業の采配ができる重要なポストで、自民党側としても喉から手が出るほど欲しいポスト」であると篠原氏は説明した。しかし、第二次安倍政権で自公政権が復帰して以降、「10年以上にわたって今に至るまで国土交通大臣ポストは一貫して公明党議員が務めています」と指摘。その結果、「現在の自民党の現職議員には、実は国土交通大臣経験者ゼロになっている」という異常事態が生じていると語った。自民党内で国交省に関する最高ポストは「国土交通副大臣に留まっている」状況がこの12、3年続いていると述べ、岸田政権下で一時「そろそろ国交のポストを自民党に戻してもらおうか」という議論があったものの、「調整はつかず現在に至っている」と、自民党内の不満が解消されていない現状を明らかにした。

微妙な関係性の顕在化と今後の展望

こうした両党の不満が「微妙な関係として顕在化した」事例として、篠原氏は昨年の衆議院選挙に向けた東京での候補者調整における対立を挙げた。公明党の当時の石井幹事長が、「東京で自公の信頼関係っていうのは地に落ちた」と激しい表現で自民党を責め立てたことは「話題になりました」と振り返る。結果的に党首レベルの調整で対立は収まったが、「以前のような何があっても盤石という関係ではなくなりつつあるのかな」という印象があると述べた。

さらに、現在衆議院で「自公を足しても過半数に届かない状況になってしまっている」という厳しい現実も指摘する。そのため、「参議院選挙後の争点としては、自公だけじゃなくって、さらにどこかの党を加えて連立を拡大すべきではないか」という声が政権内で上がっているという。実際に連立が拡大すれば、公明党の存在感が「今1/2ですけども、1/3ってことになるわけですから、今より公明党の存在感が小さくなるのではないか」という見方も出ていると解説した。

篠原氏は、現状では自民党が公明党への配慮を欠かしていないことを指摘する。公明党が国民への「給付や減税」を主張し、参議院選挙の公約にも掲げる姿勢を示していたことに対し、自民党は「消費税減税には一切踏み切らない考え」であるため、連立パートナーとして公明党に「減税を掲げられては困る」状況だった。このため、「選挙直前になって2万円から4万円のこの現金給付っていうのが突如浮上した」背景には、「公明党に減税を取り下げてもらって」、「自民党としてやりますから」という調整があったと推測する。

篠原氏は、現在の自公両党の関係を「実に微妙な関係」であると締めくくった。

はたして、自民党と公明党の「微妙」な関係は、今後どのように変化していくだろうか――。

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