2024年7月23日、作家の渡邉哲也氏が現在の自民党の状況、特に参議院選挙での敗北を受けて高まる石総理の退陣論について分析した。渡邉氏は、党内で石総理の「引きずり下ろしの声が強まっている」と指摘し、麻生氏や高市氏を中心としたクーデターの動き、そして今後の党内手続きと時間軸について詳細に解説。
参議院選挙での自民党の敗北は、石破総理の正統性を大きく揺るがす結果となった。7月20日の選挙で、自民党は目標の過半数を3議席下回る47議席にとどまった。渡邉哲也氏は、この結果について「過半数を割ってしまったため、参議院も主導権を取れず、不安定化したことは間違いありません」と語る。さらに、石破総理は衆議院選挙、都議会議員選挙、そして今回の参議院選挙と「3回国民からノーを突きつけられた形になります」にもかかわらず続投を宣言している。党内からは反発の声が強まっているのが現状だ。
石総理退陣に向けたクーデターの動き
選挙直後から、石破総理退陣に向けた具体的な動きが活発化している。麻生氏が「続投を絶対に認めない」と発言し、高市氏が自民党の立て直しについて言及したことは、「ある意味クーデターののろしを高市さんが挙げ、そしてそれを麻生さんが承認した形」だと渡邉氏は分析する。この動きに並行して、福田グループを除く約60人の「安倍の議員残り60人ぐらいが再び決集」し、そこに麻生氏が「貢献人」として加わった。結果として、麻生派と安倍グループで「120人規模のグループ」が形成され、さらに茂木氏の30人を加えると「大体150人規模の自民党内の塊が現在できている」という。この勢力が石総理を退任に追い込む中心となる見込みだ。
退任に向けた党内手続きと時間軸
石総理を退任に追い込むための党内手続きとして、複数のステップが考えられる。7月31日に予定されている両院議員懇談会は「決定力がない単なる話し合いの機関」だ。その後の両院議員総会は議決権を持つ「党の最高決定機関」となる。両院議員総会の開催には「党員の1/3または衆参の要請が必要」であり、これが満たされれば懇談会を総会に格上げすることが可能だ。総会で辞職勧告が出されても「強制力はありません」が、国会議員の半数と全国の都道府県連の代表半数が揃えばリコールが成立する。最終的に、これらの勧告にも応じない場合、「離党勧告まで出る可能性があります」と渡邉氏は指摘する。
クーデター側は時間軸を明確に定めているようだ。彼らは「8月8日までに解任、お盆までに決着」を目指している。そのためにはまず幹事長の解任が重要視されており、「幹事長がまず解任されるのが先」だ。幹事長が解任されれば、「党内と石破さんを繋ぐパイプが完全に切れてしまう形になります」と渡邉氏は述べる。解任動議が提出されれば「今回過半数を取るのは簡単だと思います」とのことだ。
石総理の孤立と不人気
石破総理の党内での孤立と不人気ぶりは深刻だ。参議院選挙では、実質的な選挙活動の担い手である衆議院議員や地方議員の間で、石破総理のポスターは「誰にもいらなくて、どこにでも余ってるんです」とされ、「産廃扱い」であったという。さらに「石破さんが入ったところは選対が壊れていった」と評価され、候補者が石破総理との合同演説を避け、別の場所で演説会を行った事例が「8都道府県あった」ほどだ。高知県、山口県ではすでに「解任しろ、辞めろ、早く辞めろという動議が出」ており、この動きが全国に拡大すると見られている。
石破総理が辞任を拒否する理由について、渡邉氏は、2012年の総裁選以降「ずっと冷や飯食ってきた自民党に恨みしかありません」ため「辞めたくない」と固執していると分析する。この態度は「国民も嫌いだと思います。いわゆる恨みでしがみつく。非常に見苦しい状況ですが、本人はそれを見苦しいと感じていないらしいんです」と厳しい評価を下す。
岸田氏の影響と政局の行方
石政権誕生の背景には「岸田の裏切り、そして菅、そして竹田亮太、二階派ですね」といった勢力の関与があったと渡邉氏は指摘する。もし石破総理が退陣した場合、「岸田さんは完全な戦犯ですから、戦犯として党内でこれから何十年も冷や飯を食う形になる」と見られている。「宏池会いわゆる現在の岸田派が政権を取った後、必ず不安定化する。これが自民党の歴史なんです。ですから癌なんです」とまで言及されており、岸田派の政権運営の不安定さが改めて浮き彫りになる。
幹事長である木原誠二氏は辞任を表明しているが、その時期は明言されていない。木原氏は「事実上の岸田さんとのパイプ役で岸田のリモコン」であり、石破総理が彼の辞任を認めない可能性も指摘されている。
菅氏・小泉氏の現状
菅氏については、体調不良も伝えられ、「この先がどうなるか分からない」「次がないのではないか」とまで言われている。選挙区での後継者問題も抱え、秘書の一人が「完全にへそ曲げちゃって反菅になってる」状況だ。小泉進次郎氏は菅氏が「貢献人」であり、「菅グループの唯一のホープ」とされているものの、彼が選挙応援に入った地域も「決して勝ててない」「客寄せパンダにはなるけれど」と厳しい評価が下されている。
自民党幹部はすでに「どうやって引きずり下ろすかの議論」に入っており、もし引きずり下ろしに失敗すれば「自民党は本当に解党するのではないか」とまで危惧されているそうだ。石総理の退陣は避けられない情勢であり、今後の党内手続きとクーデター側の動きが注視されるだろう。
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