政治団体「再生の道」代表の石丸伸二氏が、参議院選挙の第一声で、自身の掲げる最重要テーマは「教育を最優先」だと力強く訴えた。今年1月に設立された「再生の道」は、日本の未来を左右する人口減少という「難局」に立ち向かうため、教育の質そのものを向上させる「供給側への集中投資」を軸とした政策を掲げ、国政に挑むことを表明した。
教育の「質」向上へ──3つの柱
石丸氏は、近年の「高校の無償化」などの政策は、教育を受ける側の経済的負担を減らす「需要側」の話に過ぎず、「教育の質そのものは上がってない」と指摘した。そこで「再生の道」は、「幼稚園、保育所、小中高校、大学」といった「供給側」への集中投資を目指し、その政策の柱を以下の3つに据えていると説明した。
1. 教育人材:ブラックな労働環境の改善を
まず、「教育人材」として、幼稚園から高校までの教員の「待遇改善」を挙げた。最近の法改正で教員の残業代相当額が引き上げられるという話があったものの、現状の教員の残業代は「定額」であり、これまでの月給の4%が6年かけて10%に引き上げられるに過ぎないと説明した。
しかし、この4%の根拠は「月8時間の残業」であり、10%にしても「月20時間を前提にしている」と指摘。一方で、実際の教員の平均残業時間は「80時間を超えている」という調査結果や、他の統計でも「月50時間、60時間」に達していることを示し、「20時間、10%全然足りないじゃないですか。極めてブラックな労働環境なんです」と現状を厳しく批判した。「こんなところで先生頑張ってくれと授業のレベルを上げましょうってこれは無理だ」とし、「当たり前の待遇にしていく」ことが当然必要だと強調した。
2. 教育内容:時代に合わせた「リテラシー教育」を拡充
次に、「教育内容」について、国語、数学、理科、社会といった既存科目の重要性を認めつつも、「今の時代もっと効率的に効果的に学べるはずだ」と述べた。具体的には「オンライン授業の活用」を提案し、さらに「社会で実際に役に立つ知識、要は知恵だ」と強調し、「リテラシーの教育」を学校で拡充する必要性を訴えた。これには、「お金の使い方もそれこそネットの使い方も」含まれるとした。
3. 教育環境:学校施設の近代化を
最後に、「教育環境」として、学校施設の整備の遅れを指摘した。現在の学校の普通教室はほぼエアコンが整備されているものの、特別教室は7割、体育館に至っては「3割しかエアコンがついていない」現状を問題視した。「今日暑いですよね。この暑さの中子供たち学校に行ってるんです。皆さんのオフィスどうですか。デスク当然エアコン効いてますよね。会議室エアコン使いますよね。特別教室に行ったら7割エアコンついてないんですよ。今体育館ついてないんです。そんなところでしっかり学べるか」と、時代に合わせた整備の必要性を訴えた。
人口急減社会を乗り越える「国民一人ひとりの力」
石丸氏は、これから日本の人口が急減していく現状に強い危機感を示した。20年後の2045年には「1億1000万人を割り込む」とし、「今から1500万人も人口減るんです。割合にして1割以上も減る」と、その深刻さを強調した。この人口減少は、各企業にも大きな影響を与えるとし、「皆さんの会社売上1割減って大丈夫ですか」と問いかけた。
このような状況を乗り越えるためにできることは、「国民一人ひとりの力を高めていく」こと、すなわち「生産性の向上」しかないと断言した。そして、「そのため教育だ。全ての世代になる教育これを最優先する」と述べた。
「次の世代」という言葉は、少し先の未来のように感じられるかもしれないが、「今、働いている私たち、皆さんの仲間になる」と、その世代がすぐに社会の中核を担うことを示唆した。全ての世代が協力してこの「南極」に立ち向かい、乗り越えていく必要性があると訴え、「次の世代のために今の世代にできることがあるのだ」と、未来への希望を込めたメッセージで締めくくった。
再生の道代表の石丸伸二氏が参院選で掲げる「教育最優先」は、単なる教育予算の増加に留まらず、教員の待遇改善、教育内容の現代化、学校環境の整備という多角的なアプローチで、日本の未来を支える「人」への投資を提唱するものである。はたして、この供給側からの教育改革が、人口減少社会における日本の生産性向上と成長を牽引する力となるだろうか――。
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