評論家の石田健氏が、日本の政治状況と社会の変化について、ナラティブ(物語)の力が強まっている現状を解説した。特に参政党のような「極端な主張をしてるという風に思われる政党がすごく力を伸ばす」と予測し、ドイツの政治状況に例えながら、自民党と野党第一党による大連立の可能性を示唆した。YouTubeなどの「新しいメディア」がこの変化のドライバーとなり、陰謀論や排外主義的な言説がAIによって加速される未来への警鐘を鳴らした。
「ナラティブの力」が政治を動かす時代へ
石田氏は、AIが世論形成や政治に与える影響について語る中で、AIそのものよりも「ナラティブの力がやっぱすごく大きくなってる」と指摘した。「陰謀論だったりとか、外国人ヘイトも含めて」と述べ、これらがAIよりも強力な力を持つ可能性を示唆した。
このナラティブの力が強まることで、「参政党とか極端な主張をしてるという政党がすごく力を伸ばすんじゃないかって」と予測した。
ドイツに類似?日本政治の未来像
石田氏は、日本の政治が今後どのような状況になるかについて、「ドイツの状況がすごく近いんじゃないかな」と述べた。具体的には、「第1党に自民党がいてで第2党で立憲とか国民とかいて、第3党とかに参政党だったり極端な主張する政党がすごく力を持ってきて、第1党と第2党が大連立を組むみたいなのでなんとか与党としてやってるみたいな状況があと5年、10年以内に来るんじゃないかなって思ってる」と語った。
ナラティブの具体的な例として、「外国人」問題と「財務省の解体」といった「ディープステート系」の話を挙げた。ディープステートとは、一般的に「闇の世界政府みたいなものをディープステートって呼んでるってイメージが強い」が、トランプ支持者などの間では「マスコミとか官僚とかがディープステートだみたいなことを言っている」と解説した。そして、「我々を苦しめてるみたいな話が力を持つ」と述べた。
新しいメディアとAIが加速するナラティブ
こうしたナラティブを広めるドライバーとなるのは「新しいメディアだ」と石田氏は指摘する。既存メディアはコンプライアンスなどの観点から「なかなかしづらい。正面から議論しづらいのでやっぱりあいつら隠してるんだっていう流れはもっと強まる」と語った。
その具体例として、ブレイキングダウンを運営する溝口氏が立ち上げる「ノーボーダー」という新しい報道メディアが、第一弾で「安倍安倍首相が殺害された真相っていうのを1回目でやりますみたいな話で」と述べた。「審議不明な情報を扱うのって基本的にはテレビ局とか新聞もファクトチェックをするわけですけど、そういうものをやらないでコンテンツとして面白いとかなんか人々が気になってるとこに答えるって意味では価値があるのかもしれない」とと見ている。
さらに、Naokiman Show氏がトランプ氏の邸宅に呼ばれたことを例に挙げ、「ナオキマンさんが言ってることの方が真実なんじゃないかって思う人もいて。だから報道と都市伝説的なものとして扱われたものの境い目がどんどんどんどんグラデーションになっていく」「これ絶対に来ると思っていて」と断言した。
そして、そのようなチャンネルが「100万登録とか200万登録なんから500万登録ぐらい集めて」既存報道への不信感が募り、「そういうことを主張してるメディアと力を合わせて、僕らこそが本当の真実を伝える政党なんですって言って政治的にも社会的にもすごい力を持っていく」と予測した。
この流れにAIが加わることで、「実は今日本っていうのはこの国のこういう勢力がすごく暗躍してるんだってストーリーをめちゃめちゃ流す」ことが可能になるという。「インプレゾンビとか言いますけど、あれのもっとクオリティ高い版みたいなのが出てきてあれがどんどんリプレイをしてくる」と述べ、AIと人間の区別がつかなくなるようなコミュニケーションを通じて、「その力そのナラティブがAIによって加速するみたいなことが考えられる」「これがおそらく向こう5年で起こる」と強い危機感を表明した。
変化するメディア環境と「真実」の価値
石田氏は、このような「審議不明な情報といかに戦うか」が今後の大きな課題だと語る。防衛省などが対策を講じようとしているものの、情報が隠されているという不信感から、その取り組み自体が「言論封鎖されてるじゃんて、なんか隠そうとしてるみたいな話で」と、さらに疑念を深める可能性があるとした。
そして、石田氏の予測は、「自民党でも少数与党で野党で国民民主とかがどんどん伸長していって」そして「第3党ぐらいに参政党とか、それはちょっと審議不明じゃないとか、ちょっと排外主義的じゃないとか、それはすごく差別的じゃないかとか、もしかしたら女性っていうのはあまり働くべきじゃないみたいなところの話になってくるかもしれませんけど」と、従来の枠組みに収まらない主張をする政党が台頭し、その結果、「第1党が大連立でこれまさに今ドイツで起きてる状況」が日本でも起こる可能性を指摘した。このような状況下で、「真実よりもむしろなんかこっちの方が自分にとってすごく大事な価値観だとか」と、価値観の対立が深まる社会を予測した。
最後に、自身のメディアとしては「すごく検証されたより科学的な情報を丁寧にお伝えしていければいいな」と述べた。しかし、「全体の社会の流れとしてはそうじゃない方向に行くんじゃないかなっていうのを今ま強く思っている」と、厳しい見通しを示した。
評論家の石田健氏は、今後5年で日本の政治と社会が大きく変容すると予測する。その背景には、AIの進化が「ナラティブ」の力を加速させ、陰謀論や排外主義的な言説が既存の報道やファクトチェックを凌駕する可能性があるという。参政党のような、従来の枠に収まらない政党が台頭し、ドイツのような大連立を組む政権が生まれるかもしれないと語った。真実と都市伝説の境目が曖昧になり、人々の価値観の対立が深まる中で、既存メディアは厳しい状況に置かれるだろうと警鐘を鳴らした。この予測が現実となるのか、今後の社会の動向が注目される。
参政党が第3党になる未来が来る / 陰謀論と排外主義に覆われる日本 / ナラティブとストーリーテラーの時代 / 報道機関は厳しい時代に
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