社民党党首の福島瑞穂氏が、今回の参院選を「党の存亡をかけた戦い」と位置づけ、その「リブート」戦略を語る。ラサール石井氏の擁立や日本記者クラブの党首討論会への不招集問題に触れつつ、社民党が掲げる「ぶれずに変える」という新たなスローガンと、平和・脱原発・人権といった「社民党のような考え方が国会からなくなったら困る」と力説する。特に、「自己責任社会にみんなすっごい疲れてますよね」と、若者の生きづらさに寄り添う姿勢を強調し、社民党が「古くて新しい」政党として、若い世代に訴求できる可能性を示した。
「党の存亡」をかけた参院選とラサール石井氏擁立の狙い
社民党党首の福島瑞穂氏は、今回の参院選が社民党にとって「党の存亡をかけた戦い」であると認識している。政党要件を満たすためには「2%以上の得票(率)、もしくは3人以上の当選が必要」であり、極めて重要な選挙だと語る。
そんな中で、「ラサール石井さんを擁立する」という大きなニュースが飛び込んだ。福島氏は、ラサール石井氏との長年の交流や、彼の「政治に対する怒りは本物」であることに触れ、「どうでしょうってお声かけをしたのがきっかけ」だと明かした。ラサール石井氏の擁立はSNSでも大きな反響を呼び、「ビューが2000万以上になった」と福島氏は語り、「頑張れっていうのもあると思って」と、その効果を分析する。社民党は「リブート、面白くします」という言葉で、新たな魅力を打ち出そうとしている。
日本記者クラブの不招集問題とメディアへの警鐘
日本記者クラブが今回の党首討論会に社民党を呼ばなかった問題について、福島氏は強い不満を表明する。過去にも同様の事態があったといい、日本記者クラブが「2%と5名ない限り呼ばない」というルールを決めたことが原因だと説明する。この決定に対し、昨年から再三にわたり抗議してきたが、「結局それは変わらず1分間の動画で参加」する形になったという。
福島氏は、NHKや他のテレビ局が「政党要件があれば呼ぶんですよね」と公平な対応をしていることと比較し、日本記者クラブの対応は「本当に残念です」と語る。特に、メディアは「憲法の表現の自由、それから国民の知る権利に奉するもの」であり、「メディアがそんなことしないでよ」と強い言葉で批判した。日本共産党もこの問題に対し「おかしいって言って」文書で抗議してくれたことに「ありがたかった」と述べ、少数政党が声を上げる機会を奪われることへの危機感を共有していることを強調した。
今回の選挙では、「どんなことがあっても5議席になるように3議席獲得したい」と、政党要件死守への決意を示した。
「自民党政治を変えるチャンス」──社民党「リブート」の本質
社民党の党勢低迷については、「今度の参議院選挙は自民党政治を変える大きなチャンス、そして社民党は生き残りをかけた戦い」だと位置づけている。ラサール石井氏だけでなく、東京選挙区の西岡氏など「非常にピュアで面白い人」が候補者として参加していることを挙げ、「社民党面白くします」と、党のイメージ刷新への意欲を語る。
社民党のキャッチフレーズの一つである「社民党リブート」には、「社民党はぶれずに変える」というメッセージが込められている。長年にわたり「脱原発や平和運動、地域運動、労働運動、色々やってきて答えは現場にある」というぶれない姿勢を貫いてきた一方で、選択的夫婦別姓や同性婚といったジェンダー平等に関する政策は、50年以上前から取り組んできたものであり、「新しい政党と思ってる」と語る。福島氏は、「時代が早く社民党に追いついてほしい」と述べ、若い世代が「選択的夫婦別姓ってそんなに前からやっていたんだと言ってくれて、それが古くて新しい」と評価していることに手応えを感じているという。
社民党は「ぶれない」からこそ「必要」な政党
福島氏は、社民党が掲げる政策の重要性を強く訴える。「憲法を生かしてく」こと、そして「5年間で43兆円の軍備予算で、これからもっと増えるかもしれないって時に、そこをきちっと批判したり問題じゃないかっていう政党が少ない」現状に危機感を抱く。「社民党のような考え方がなくなったらこれは困る」とし、軍備増強に反対し、憲法を大切にする政党が「国会の中になくちゃならない」と強調する。
特に、人権問題については「差別主義と戦う」ことを明確に打ち出す。外国人やマイノリティを叩いて票を得ようとする動きに対し、「それは違うでしょ」と異を唱え、「人権が大事だって言うのはとても大事で新しいって実は思っています」と、時代に即した新たな価値として人権を重視する姿勢を示した。
他のリベラル政党との連携については、「国会の中ですごく連携はしている」と述べ、選択的夫婦別姓や人権問題など「協力できるところはできるだけ協力する」と協力的な姿勢を示す。しかし、社民党が「日米同盟を基軸にはできない」ことや、「核兵器禁止条約が批准するって言えなかったらこれ困る」と、根本的な政策の違いがあることを強調する。核兵器禁止条約の批准を主張しているのは社民党、共産党、れいわの3党であり、この点において、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加にとどまる公明党、国民民主党、立憲民主党、維新の会、そしてそれすら言わない自民党とは「少し違う」と認識している。
福島氏は改めて、「社民党のような政党は必要なんです。核兵器禁止条約批准せよっていう政党はやっぱり必要」だと訴え、社民党が持つ「ぶれない」軸こそが、多様な考え方を持つ政党がひしめく国会において不可欠だと主張する。
「自己責任社会」に疲弊した若者へのメッセージ
若い世代へのアプローチについては、「自己責任とかそういうことにみんな疲れてる」と、現代社会の課題を指摘する。奨学金による多額の負債や非正規雇用の増加、高騰する学費や家賃など、若者を取り巻く厳しい現実に対し、「自己責任社会にみんなすっごい疲れてますよね」と共感を示す。
社民党は、「あなたの生きづらさは政治の責任だからそれを変えようよ」というメッセージを若い世代に届ける。「あなたの人生を応援する。それから生き方も色々あっていいよ」と、多様な生き方を肯定し、子育ての有無や婚姻形態に関わらず「応援するよ」と寄り添う姿勢を強調する。
また、気候危機や環境問題、そして長年掲げてきた「脱原発」も、若い世代に「浸透できる部分もすごくある」と語る。特に、選択的夫婦別姓に関して若い世代が「福島さんそんなに前からやっていたんだと言ってくれて、それが古くて新しい」と評価していることに、社民党の可能性を見出している。
社民党党首の福島瑞穂氏が語る「リブート」戦略は、長年の党勢低迷からの脱却と、現代社会が抱える課題への新たなアプローチを模索する、まさに「ぶれずに変える」挑戦である。ラサール石井氏の擁立やメディアとの対峙に見られるその「面白くします」という姿勢は、党の存亡をかけた戦いであると同時に、多様な価値観が共存する社会を目指す、社民党の変わらぬ信念の表れではないだろうか。はたして、社民党は「新しい政党」として、疲弊した「自己責任社会」を生きる若者たちに、希望の光を灯すことができるだろうか。
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