作家の坂東忠信氏が、戦後日本の政治、特に自民党と統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係性の歴史的背景を深く掘り下げる。今日の感覚では理解しがたい両者の繋がりが、戦後日本の共産主義化を防ぐという「緊急的な必要性から生まれた」ものであったと強調する。当時の切迫した状況と、その経緯を忘れてしまった現代の政治家が直面する問題について語る。
「共産主義の脅威」から生まれた異色の協力関係
第二次世界大戦後、日本は共産主義革命の脅威にさらされていた。日本共産党は「暴力を持ってしか日本は変わらない」と主張し、過激な活動を行っていた。このような状況下で、戦後の憲法改正を目的として自由党と日本民主党が合体し、「自民党」が結成された。
しかし、警察の力だけでは共産主義の暴力に対処しきれない状況だった。ここで登場するのが「世界勝共連合」だ。坂東氏は、笹川良一氏が資金を提供し、統一教会が「中心として無神論者たちを共産主任者たちを叩き潰さなきゃいけない」という目的で、右翼勢力を結集させたと解説する。安倍晋三氏の祖父である岸信介氏もこの活動に協力した。
「今の感覚で言ったら右翼とかカルトとかってなんでそんなやつとくるんでんの」という思いは当然だが、当時は「そうしないと日本は共産国家になってたかもしんない」というほどの危機感があったのだ。
この世界勝共連合は、台湾の蒋介石やアメリカの大統領とも連携し、文字通り「世界」規模で共産主義と戦う組織だった。しかし、統一教会のトップが韓国で「天皇陛下の妙台」として土下座したことが露見し、右翼勢力は離散した。
日本人からの資金収奪と世界的影響力
統一教会は、日本での活動と並行して「世界」に目を向けていた。アメリカでのレーガン大統領の当選に大きく貢献したその資金源は、「私たち日本人に壺売ったり布団売ったりとかして稼いだ金」だったと坂東氏は明かす。
さらに、文鮮明氏が「イエス様は苦しんでるんだ。だからみんなであれを下ろそう」と提案し、2003年のエルサレム宣言では、キリスト教の教会から十字架が外され、各宗教間の融和が進んだという驚くべき事実も語られる。
これにより「宗教違ってても一緒に焼肉パーティーなんかしてたんだ」という状況が生まれた一方で、その「いいことをやる金はどこにあったのかって言ったら、日本人に壺売ったりなんだりしてた」という資金源の問題が再度指摘される。
こうして設立された「天宙平和連合」は、国連のNGOとして発言権を持つまでに成長した。
忘れ去られた歴史と「票稼ぎ」に利用される現状
安倍晋三氏が銃撃された事件は、この歴史的経緯を抜きには語れないと坂東氏は説明する。安倍氏が「世界平和統一家庭連合」の関連団体である天宙平和連合の「挨拶をするようになっちゃった」ことが、事件の引き金になった。
しかし、この歴史的経緯を知らないまま、「カルトと自民党がくっついてるといった騒いでる人たちがあまりにも多い」と坂東氏は述べる。現在の自民党の議員でさえも、この経緯を「全く知らない」まま、票稼ぎのために利用しているのが現状だと批判している。
変質した自民党と「日本のために働く政党」への期待
坂東氏は、今日の自民党を「もう昔の自民党ではない」と分析する。
特に、自民党が移民問題に対処できない理由として、経団連や公明党といった「外国人を入れたい」と考える支援団体の存在を挙げる。そして「自民党は移民に対処できないんです」と断言する。
最後に、坂東氏は自身が支援する参政党に対し、「日本のために働いてください」と強く訴える。自民党が「自民党のために頑張って」いるのに対し、参政党には「日本のために働く政党」であってほしいという願いを表明している。
「その政党のためではなくて日本のためにこの政党を作ったんだ」という、最初の思いを忘れないようにという戒めを込めた言葉で締めくくられている。
はたして、失われた歴史的経緯の理解は、日本の政治不信を解消する糸口となるだろうか――。
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