参議院議員の有村治子氏が、中国海警局による尖閣諸島周辺での主権侵害行為について、その深刻な問題点を指摘する。日本政府の対応の課題を挙げ、尖閣諸島が日本の領土であるという揺るぎない事実を、国際社会に毅然と発信していくことの重要性を訴える。
深刻化する中国の主権侵害行為
2024年5月3日、中国海警局のヘリコプターが日本の尖閣諸島領空に侵入した。有村氏は、この行為が単なる偶発的な出来事ではないと指摘する。
まず、領空侵犯は「もちろん両空審判はアウト」であり、明らかな主権侵害である。さらに、ヘリコプターを船から発艦させること自体が国連海洋法条約に違反している。
「飛行機を船から飛ばしたと発艦させたということ自体が国連海洋法条約に違反をしていると」と語る。
しかし、日本の報道機関ではこの問題の本質が十分に伝えられていない。「単にけしからんという話じゃない」深刻な問題であるにもかかわらず、多くの国民は、この行為が国際法違反にあたることさえ知らない状況だ。
さらに問題なのは、在日中国大使館が「日本がその中国の主権を脅やかして」おり、「中国固有の領土の主権を守るためにそれを駆逐した」という虚偽の主張を、日本国内で平然と発信していることだ。
有村氏は、この行為は「大使の国外追放」を検討すべきレベルだと憤る。「それは表現の自由じゃない」と断言し、このような主張が放置されている現状は、日本が「相当なめられている」ことの証左だという。
「有効支配」と「実行支配」の明確な使い分け
日本の対応には課題が多い。特に、尖閣諸島が日本の領土であることを主張する上で、使う言葉を厳密に区別する必要があると指摘する。
「実行支配」という言葉は、正当性のない領土を軍事力などを用いて占拠している状態を指す。この言葉を使うと、「あたかも領土問題が存在していて解決をしなきゃいけないんだと」という中国の主張を、日本側が認めることになってしまうのだ。
尖閣諸島は一度も他国の領土になったことがなく、日本の領土として「現に有効支配をしている」状態にある。この「有効支配」という言葉を明確に使い分けることが不可欠だ。
国際社会への情報発信の強化と日本の覚悟
中国は「嘘も100回つけば」という戦略で、虚偽の事実を積み重ねて国際世論を形成しようとしている。これに対抗するため、日本は「歴史も含めてちゃんと抗議して」いく必要がある。
1895年に日本が沖縄県に編入した際、尖閣諸島は無主地であったという事実、105年前には日本の住民が中華民国の漂流民を救助し、感謝状が贈られたという事実など、歴史的経緯を「世界各国に向けて発信」していくことが重要だ。
「海外の世論がどっちに向くかというのは、まさに国際コミュニケーションでどっちが勝つか」という話であり、情報戦に勝利しなければならない。
有村氏は、外務省の対応が「かなり弱腰に見える」と指摘し、中国の虚偽の主張に対する「抗議」だけでは不十分だと語る。中国大使館のウェブサイトに掲載されている誤った情報ですら改善されていない現状は、「相当なめられている」ことを示している。
与党議員であっても、政府の外交姿勢に問題があれば、国会の場で「議事録に残る形で質問」し、国民の代表として「大事なことはちゃんと勝負をする」必要がある。
この「答弁は中国も見ている」からだ。
はたして、日本は中国の虚偽の情報戦に立ち向かい、自国の主権を毅然と守り抜くことができるだろうか――
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