ジャーナリストの及川幸久氏は、2024年から世界中で反グローバリズムが「怒涛のごとく流れ始めた」と指摘した。特にヨーロッパが主戦場であり、ドイツのAfDは「メディアや政府から『極右』とレッテルを貼られ」ながらも支持を拡大し、「ドイツを救えるのはAfDだけだ」とイーロン・マスク氏が支援する。この潮流は「絶対に日本に来る」と予測し、参政党が「先頭に立つ」ことに期待を寄せた。
「怒涛の潮流」の始まり:トランプ勝利が呼び水に
世界は今、大きな転換期を迎えている。長らく主流とされてきたグローバリズムに対し、「反グローバリズム」の潮流が急速に勢いを増しているのだ。ジャーナリストの及川幸久氏は、この新たな動きが、各国政府や既存メディアの想定をはるかに超える規模で進行していると語る。
及川氏によると、2024年は反グローバリズムが世界中で「怒涛のごとく流れ始めた」新しい潮流の始まりだという。特にヨーロッパがこの潮流の主戦場であり、昨年11月のアメリカ大統領選挙でのトランプ氏の勝利は、反グローバリズムの「大勝利」として位置づけられた。世論調査などでは捉えきれないほど、ヨーロッパ中で反グローバリズムを支持する人々が急増しており、メディアや既存の政治家、政府はこれに対応できていない状況にあるという。
ドイツ「AfD」の躍進:イーロン・マスクの「ドイツを救えるのはAfDだけ」
この潮流の象徴的な存在が、ドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」だ。AfDは、ドイツのメディアや政府から「極右」とレッテルを貼られ、「一貫して攻撃されてきた」政党だという。過去にはヒトラーを連想させるような人物も含まれていたとされている。しかし、昨年(2023年)末の時点では、ドイツ国内での政党支持率で「第2位にまで上昇」している。
特筆すべきは、2024年1月9日に行われたアメリカのイーロン・マスク氏とAfDの共同党首であるアリス・ワイデル氏によるXスペースでの対談が世界的な注目を集めたことだ。イーロン・マスク氏は、アメリカ大統領選挙でトランプ氏を応援した後、ヨーロッパに意識を向け、「AfDを継続的に支援」している。彼は「Only The AfD can save Germany(ドイツを救えるのはAfDだけだ)」と何度もX(旧Twitter)で発信しているという。
イーロン・マスク氏がAfDを支援する理由について、及川氏は、ヨーロッパ、特にドイツとその上位組織であるEUが「とんでもない言論統制」を行っていると指摘し、言論の自由を奪っている現状に危機感を抱いているからだと解説する。イーロン・マスク氏は、「言論の自由がなければ民主主義は存在せず、情報に基づいた投票ができないため、民主主義が幻想になってしまう」と考えており、これが彼がXを買収した理由でもあるという。彼は、言論統制に反対しているのがAfDだけであると認識しているのだ。
AfDの主な政策は、「EU離脱」(ブレグジットを先行事例とする)、「不法移民の強制送還」、「NATO依存からの独立した国家防衛」、「再生可能エネルギー政策の見直し」と従来のエネルギーへの回帰、LGBTの権利拡大に反対し「伝統的な価値観への回帰」、連邦政府の権限を地方へ移管、EUの社会主義的経済支配からドイツ独自の経済への回帰、EUの官僚主義を解体し、「政治権力を国民の元に戻す」ことなどだ。及川氏は、これらの政策は「典型的な反グローバリズムの政党」のそれであり、「極右などではない」と語った。
AfDはこれまで「弾圧」されてきたと指摘される。具体的には、AfD支持者に対する合法的な「スパイ活動」、選挙事務所への家宅捜索(特に選挙直前)、そして「AfDを『活動禁止団体』にしようとする動き」があるという。しかし、このような弾圧は「国民の怒りをさらに増幅させ、かえってAfDへの支持を押し上げている」と分析された。現在のショルツ首相は、イーロン・マスク氏のAfD支持を「外国からの選挙介入」と批判しているが、ショルツ政権自体がドイツ国民からの強い不満に直面しており、支持を失っている。次期選挙では、現政権は敗北し、AfDの移民政策に乗っかる形になるであろう中道保守政党CDU/CSUが第一党になる可能性が示唆された。AfD支持者は「水面下」に多く存在し、公言できない状況だが、選挙になれば彼らの意思が表明されると予想されている。
ルーマニアの衝撃:世論調査を覆したTikTokの力
反グローバリズムの潮流を象徴するもう一つの事例が、ルーマニアで起きた。2023年11月24日のルーマニア大統領選挙では、カリン・ジョルジェスク氏という知識人(政治家ではない)が、選挙前の支持率1%未満であったにもかかわらず、「TikTokのフォロワー64万人」を通じて最多得票を獲得したのだ。彼の政策は、反グローバリズムと親ロシア的であり、特にルーマニアの食料とエネルギーの国内生産増加による自主独立を訴えていた。
これに対し、ルーマニア政府と既存政党は混乱し、ジョルジェスク氏が大統領になるのを阻止するため、「異例の決選投票中止」という手段をとった。この事例は、「世論調査では捉えきれないほど反グローバリズム支持者が急増している」ことを示しており、政府やメディアが力ずくで流れを止めようとしている実態を浮き彫りにしている。
日本への影響:参政党への「期待」
及川氏は、ドイツのAfDが掲げる政策は「反グローバリズムの典型」であると強調する。そして、日本において、これらの反グローバリズム的な政策を訴えているのは「参政党しかいない」と述べた。この反グローバリズムの潮流は「絶対に日本に来る」と予測されており、参政党がこの潮流の「先頭に立つ」ことが期待されている。2025年は「激動の年」となるとされており、参政党のさらなる躍進が見込まれているという。
世界中で巻き起こる反グローバリズムの「怒涛の潮流」。それは、既存の政治やメディアの常識を覆し、新たな政治勢力の台頭を促している。ドイツのAfDやルーマニアの事例が示すように、世論調査だけでは測りきれない人々の不満や期待が、SNSを通じて一気に顕在化する時代が到来したのだろうか――。この波が「絶対に日本に来る」と予測される中で、参政党がその先頭に立つことができるのか、2025年の「激動の年」が、その答えを明らかにするかもしれない。
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