新党チームみらい代表の安野貴博氏が、参議院選挙の初日、渋谷駅前で日本の現状と自らの政治への決意を熱く訴えた。「なぜ今新党チーム未来が必要なのか、なんで今新しい政党を作ったのか。それは今こそ日本が変わるべき時だからだ」と語り、過去30年間経済成長が停滞し、世界から取り残されようとしている日本に危機感を示した。安野氏は、既存政治の「再分配」議論だけでは不安は解消されないとし、「どのようにパイを大きくするか、どのように日本を成長させるのか」という議論の重要性を強調した。
日本の未来への「正しい投資」と世代交代の必要性
安野氏は、現在の日本には「まだチャンスがある」とし、「今の2025年であればまだ日本には余力がある。その余力をしっかりと正しい方向に投資していくべきだ」と主張した。未来が明るい国になると誰もが信じられる社会を作るためには、若者たちが政治の世界に入っていくことが不可欠であると訴えた。
現在の日本の内閣の平均年齢が62歳、他党の参議院公認候補者の平均年齢が55歳であることに触れ、「このまま30代が若い人たちが政治の世界に入っていかなければこのまま政治は変わることはない」と警鐘を鳴らした。若さゆえの経験不足や知識不足を認めつつも、「平成生まれの人なんて1人もいない」現状のアンバランスを変えることができるのが「チームみらい」だと断言した。
「有権者なめるな」──分断ではなく政策で勝負
安野氏は、新しい政党を立ち上げるにあたり、多くのメディアや政治評論家から「安野さんちゃんと票を取りたいならちゃんと敵を作った方がいいよとちゃんと分断を煽らないと君たちみたいな新しい政党なんか出てきこないよ」と言われたことを明かした。しかし、これに対し安野氏は「有権者なめるなっていう話だ。ちゃんと私たち有権者はしっかりと中身を見て選ぶ力があるはずだ」と反論し、安易なポピュリズムや分断を煽るのではなく、「正当に政策を訴えでいく」姿勢で選挙戦に臨むことを表明した。
3つの「終わらせるべきこと」:テクノロジーで政治を刷新
チームみらいは、日本の政治が抱える3つの問題を「終わらせる」と宣言した。
1. 政治と金の問題を終わらせる
「今まで日本では政治と金の問題何回も何回も繰り返されてきた。これはもったいない話だと思いませんか?」と問いかけ、より重要な課題に集中するためにもこの問題を解決する必要があると訴えた。従来の「ルールを作る」アプローチでは不十分であるとし、民間企業では当たり前に使われている「テクノロジー」を活用することを提案した。
具体的には、銀行口座とクレジットカードとシステムを紐付け、「いつどこでどれだけのお金が入ってきてどこに使われたのか。それを政治家が嘘をつこうと思っても嘘をつけないような形でどんどんどんどん公開していく」ことを目指すとした。チームみらい自身がすでにリアルタイムで政治資金を公開しており、将来的にはこれを「オープンソースで他の政治家他の政党も使おうと思ったら使える形」にしていく考えを示した。
2. その場しのぎの政治を終わらせる
安野氏は、現在の税制や社会保険の仕組みが非常に複雑で、専門家でも理解が難しいのは「その場しのぎの意思決定を続けてきたからだ」と指摘した。「お金が足りない時に取りやすいところから流用しようとそういうことがずっとずっと続いてきた」結果であると述べ、チームみらいは「50年後の未来他人ごではない。自分ごととしてこのその場しのぎの政治を終わらせてしっかりと長期で続けていけるような安心して私たちが暮らせるような社会保障の仕組みこれを作っていきたい」と、長期的な視点での政策立案の必要性を強調した。
3. 私たちの声が届かない政治を終わらせる
「今私たちの前には選挙という手段しかありません」と述べ、国民の声が政治に届きにくい現状を問題視した。国会議員や業界団体とパイプを持つ一部の人々だけが直接意見を言える状況を批判し、「私たち普通の99.9%の人たちはそんな手段はないんです。選挙しかないんです」と、この状況を変える必要性を訴えた。
隣国台湾では、「国民の声を聞く仕組みが社会にインストールされていっている」とし、過去10年間で200件以上の法律が市民提案で法制化されている例を挙げた。チームみらいも同様に、「私たちの声がダイレクトに届く仕組みこれを私たちは実際に永田町のエンジニアチームを通じて作っていってオープンソースで公開してそれを全国の自治体にそして国政にどんどん広げていきたい」と、テクノロジーによる市民参加型の政治実現への意欲を示した。
安野貴博氏と新党チームみらいの参院選への挑戦は、日本の政治が抱える根深い問題をテクノロジーと若い世代の力で解決しようとする新たな試みである。はたして、彼らの訴えは国民に響き、日本の政治に新しい風を吹き込むことができるだろうか――。
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