アナウンサー 大石邦彦が分析する公明党の試練:組織票の変容と若年層戦略の課題

アナウンサー 大石邦彦が分析する公明党の試練:組織票の変容と若年層戦略の課題 最新ニュース
アナウンサー 大石邦彦が分析する公明党の試練:組織票の変容と若年層戦略の課題

アナウンサーの大石邦彦が、2025年参議院選挙における公明党の「惨敗」を分析する。長年の強みであった組織票の弱体化、自民党との連携による逆風、そして若年層向けのSNS戦略の限界が浮き彫りとなり、公明党が新たな局面を迎えていると指摘する。2025年参議院選挙で公明党は、これまで盤石とされてきた組織力を背景とした議席維持に失敗した。6議席を失う「惨敗」は、アナウンサーの大石邦彦氏をして「少なくともちょっとした事件」と言わしめるほどの異例の事態だ。

組織票の崩壊と「惨敗」の背景

公明党が議席を失った主要な原因の一つに、そのキャッチコピーの不明瞭さがある。大石氏は、「『やると言ったらやりきる』政治姿勢は伝わってくるんですけどね。具体的に何をするのかってのはこのキャッチコピーでは見えてこなかった」と指摘し、有権者に具体的な政策が伝わりにくかったと分析する。

また、自民党の裏金問題などによる逆風が公明党にも影響を及ぼした。特に「維新にも指摘され」たように、自民党との推薦関係が地方での敗北の一因となったと大石氏は語る。

そして何よりも深刻なのは、公明党の最大の強みであった組織票の弱体化だ。比例代表得票数は2001年から2005年頃には800万票以上を獲得していたが、2021年以降は急降下し、愛知県内では42万票から30万票まで減少している。

地方選挙での歴史的敗北も目立った。公明党の牙城とされる大阪では、2024年の衆院選で擁立した4選挙区全てで「惨敗、全敗」を喫した。さらに、都議選では36年ぶりに落選議員を出し、特に創価学会の総本山がある「新宿区」で落選者を出したことは、「絶対落とせない」とされてきた地域での敗北であり、「組織力の深刻な低下」を大石氏は示唆する。

この組織票の弱体化の背景には、創価学会員の「他党への投票」がある。従来は公明党を支持してきた学会員が「参政党」に投票した事例が確認されており、大石氏は彼らが「最近の公明党の政治に賛同できなくなってきている」と分析する。特に「自民党とやってることがやっぱり合わなくなってきてるんじゃないか」という不満を抱えているという。自民党の政策に合わせることで「本当に公明党がやることなの?」という疑問が生じているのだ。

さらに、自民党が自身の選挙戦で手一杯で「選挙協力はできない」状況であったことも、公明党の敗因を深めた。愛知選挙区の事例では、自民党候補が自身の票の上積みに集中せざるを得ず、「公明党の票だけで戦わなきゃいけなかった」ことが、公明党候補の落選につながったと大石氏は解説する。

若年層戦略の限界と今後の課題

公明党は組織力の弱体化を認識し、若年層の支持拡大に向けた様々な戦略を展開している。X(旧Twitter)、Instagram、YouTubeなどのSNSを積極的に活用し、「演説会場に行くと」若手の「SNS部隊」が即座にコンテンツをアップロードしている。党本部のサブチャンネルは「炎上確定」のようなエッジの効いたワードを使い、「かなりグイグイ攻めているような内容」で「人気で視聴数も増えている」と大石氏は語る。

また、10年以上前から使用されている「コメ助」というキャラクターとその家族設定を通じて、政策を分かりやすく伝える試みも行っている。愛知選挙区で立候補した38歳の安江候補(現職)は、選挙カーに自身のイラストを施すなど、「とにかく若さを前面に出している」戦略をとった。これは支持層の高齢化対策として、「若い人も取り込んでいきたい」という意図があった。

しかし、大石氏の分析では、これらの戦略にもかかわらず、愛知選挙区の安江候補は落選しており、若年層戦略が即座に結果に結びついていない現実が浮き彫りになった。

公明党が現在直面している課題は深刻だ。創価学会員の高齢化に加え、学会員の中に他党を支持し始める層が出現しており、従来の盤石な組織票が揺らいでいる。自民党が厳しい状況にある中で、従来の選挙協力が得られなくなり、公明党単独での戦いを余儀なくされる可能性が高まっている。また、自民党との連携による政策決定が、創価学会員の理念と乖離しているという不満も表面化している。新たな支持層の獲得は急務だが、まだ目立った成果は出ていない。

公明党は、「今後選挙でどうなっていくのか」、また「自民党がこれからどうなるか分かりませんよ」という状況下で、「公明党はどういう立ち位置で政治に望むのか」が注目される。次回の参議院選挙、そしていつ行われるか不明な衆議院選挙に向けて、公明党は組織改革と戦略の見直しが喫緊の課題となるだろう。

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