作家の竹田恒泰が、2025年参議院選挙における自民党の歴史的大敗を分析する。その敗因は、野党の魅力不足ではなく、岸田・石破両氏による党内保守派の粛清と、国民の不安への無策が複合的に絡み合った「自業自得」の結果だと指摘する。
岸田・石破による「自壊」と保守派の粛清
2025年の参議院選挙で自民党は歴史的な大敗を喫した。作家の竹田恒泰氏は、この結果を単なる野党の不人気に帰するのではなく、自民党自身の内部に原因があったと指摘する。産経新聞も「自民党の大敗は自業自得」と評している。
竹田氏は、今回の自民党の惨敗は「岸田・石破 この2人で本当に自民党をぶっ壊しましたね」と断言する。両氏の政策、特にLGBTQ+や選択的夫婦別姓への推進が、自民党の基盤を支える保守層の強い反発を招いたという。
従来の自民党は、革新的な政策が不評であれば、党内の保守派が主導権を握る「党内政権交代」によって党のバランスを保ってきた。しかし、竹田氏によると、岸田・石破両氏によって保守派議員の「粛清」が行われた結果、「党内政権交代が起きる保守の基盤がなくなっちゃった」と述べている。これにより、自民党はもはや「保守政党と言えるかどうかも微妙なところ」になってしまった。
前回の衆院選では、保守系の候補者が「辻斬りみたい」に公認を外され、今回の参院選でも「党をなんとかいい方向に持っていきたいと期待する保守派の先生たちがみんな落ちた」ことが、自民党の弱体化を決定づけたと竹田氏は強調する。
国民の不安への「浅ましき」対応
今回の敗因は、国民が抱える切実な不安に自民党が全く応えられなかったことにもある。産経新聞政治部長の酒井氏も、「自民党の大敗は起こるべくして起こった」「国民の不安に参院戦の最後まで答えられなかったから」と分析している。
国民が抱える不安は多岐にわたる。物価高による生活不安、少子化や年金に関する将来への不安、外国人にまつわる日常の不安、そして中国の軍拡に代表される安全保障環境への不安などだ。
特に外国人問題に対する自民党の対応は、竹田氏から見て「浅ましさ」が際立っていたという。自民党は公約に「違法外国人ゼロ」を掲げ、選挙戦中に司令塔組織の新設を打ち出したが、これは「かねがね問題とされており」と指摘されている。参政党が「日本人ファーストって考えて外国人問題が選挙の争点になっちゃった」結果、自民党が慌てて外国人問題に飛びつき、「少しでも票欲しさに」「自分たちで選挙の争点を定めることができなかった」姿勢は「浅ましい」と竹田氏は批判する。
石破政権下で憲法改正の議論が進まず、安定的な皇位継承の対応も先送りされ、選択的夫婦別姓を推進するような姿勢を示した一方で、選挙が近づくと「保守層の支持を繋ぎ止めるため、急に外国人問題に飛びついたというこんたんが見え見えだった」と竹田氏は厳しい目を向ける。昨年、衆院選で与党過半数割れを招いた石破首相が「責任を取らず続投」し、「発言や政策は変節を繰り返した」にもかかわらず、自民党が続投を容認し続けたことが、今回の「自業自得」な事態を招いたと結論付けられた。
低迷する野党の現状
自民党が大敗したにもかかわらず、野党第一党である立憲民主党は「議席増えない」「同じ議席数だった」ことから、「完全におちぶれた」と竹田氏は評価する。これは「魅力がないから伸びなかった」ためだと竹田氏は見ている。
産経新聞は、安保関連法の違憲部分を説明できない立憲民主党の代表らに「政権を委ねられるのか」と疑問を呈し、「バラバラの野党による民主党政権の悪夢が再現すれば国民の不安はさらに増すだろう」と懸念を示している。
今回の参院選における自民党の大敗は、党内の保守基盤の弱体化と、国民が抱える切実な不安に対する政治の無策、そして場当たり的な対応が決定的な要因であった。野党もまた国民の期待に応えきれていない状況で、国民は「政権の枠組みを争う悠長な政治ゲームをやってる場合ではない」と突きつけられている。
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